編集部コラム | 歯槽膿漏に効果あり?どんな歯磨き粉を選べばいいのか

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目次

歯周病と歯槽膿漏は何が違うのか
歯周病に対して有効な対策とは
どんな歯磨き粉を選べばいいのか
予防のためには定期的な検診を
記事執筆監修者のご紹介

 
img_1508557671最近、テレビ番組の医療特番などで「歯科」についての特集を目にすることが多くなってきたように感じませんか。

その中で「歯周病」や「歯槽膿漏」といった言葉を耳にする機会も増えたのではないでしょうか。

また、テレビCMで歯磨き粉が紹介されている中で「歯槽膿漏によく効く!」や「歯周病の方にはコレッ!」といったように宣伝もよく聞きます。

あれだけ宣伝されると、試しに使ってみようかなという気持ちになってしまいますよね。

では、歯周病や歯槽膿漏とは具体的にどういった病気なのでしょうか?

歯磨き粉のCMではものすごく効果がありそうな宣伝をしていますが、そもそも、なぜ効果が見込めるのでしょうか?

今回は歯周病や歯槽膿漏に効果を見込める歯磨き粉とは、どういったものなのかをご説明いたします。
 

歯周病と歯槽膿漏は何が違うのか

 
img_1508557671歯周病と歯槽膿漏は別々に使われることが多いため、異なる病気だと思われがちですが、実際には同じものです。

歯周病とは、歯茎など歯の周りの組織が炎症を起こし、進行すると歯を支える歯槽骨という骨が溶けてしまい、最終的には歯を支えきれなくなり、歯が抜け落ちてしまう病気です。

歯槽膿漏とは、歯周病がかなり進行し、歯と歯茎の境目の歯周ポケットと言われる部分から膿が漏れ出る状態にまで進行した歯周病の一症状のことです。

歯周ポケットから膿が出るまで進行しているということは、重度の状態と言えます。

以前から、歯周病という言葉よりも歯槽膿漏という言葉に馴染みがある方もいらっしゃるので、上記のように歯槽膿漏の状態まで進行した状態もまとめて歯周病と同様に使われているようです。

現在では、

歯茎が炎症を起こしている軽度の状態の事を「歯肉炎」

歯槽骨が溶けるくらいまで進行した状態の事を「歯周炎」

というように、進行状況により言葉を分けて聞かれたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これらをまとめて、歯周病と言います。
 

歯周病に対して有効な対策とは

 
img_1508557671歯周病とは、お口の中にいる歯周病菌が原因で歯茎に炎症を引き起し、歯の周りの組織を壊していく「感染症」です。

痛みなどの自覚症状が無いため知らず知らずのうちに進行していきます。

これに対して歯科医院で行う治療の一つとして、「歯石取り」があります。

歯石とは、歯磨きでの磨き残しなどが原因で、歯の表面に付着した歯垢(プラーク)が固まってできたものです。

この歯石が虫歯菌や歯周病菌の巣になり、症状が進行していきます。

これらは、歯に頑固にくっついてしまうため、残念ながら歯磨きでは落とせません。

そこで、歯科医院で、専門の器具を使い、歯や歯周ポケットに付着した歯石を除去していく必要があります。

歯茎の炎症の原因である歯石を除去することにより、症状を改善していきます。

自宅で出来ることは、上記のように歯科医院で適切な処置を受け、その後歯磨きを丁寧に行い、お口の中を清潔な状態にしておくことです。

清潔な状態だと歯周病菌の数が減り、歯周病菌の数が少なければ歯周病リスクも低くなります。

歯周病菌の数を減らす手助けとして、殺菌作用のある歯磨き粉を使うとより効果的です。
 

どんな歯磨き粉を選べばいいのか

 
img_1508557671歯磨き粉にもたくさんの種類があり、どれがいいのか迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。

歯磨き粉はそれぞれ含まれている成分が異なります。

パッケージを見ただけでは歯周病に対して、有効な成分が分からない場合があるので次をご確認ください。

●殺菌効果が高いもの

大切なのはお口の中にいる歯周病菌の数を減らすことです。

丁寧な歯磨きとプラスして殺菌効果の高いものを使うとより効果的です。

≪効果的な成分≫
IPMP(イソプロピルメチルフェノール)
CPC(塩化セチルピリジニウム)
トリクロサン
クロルヘキシジン(グルコン酸クロルヘキシジン、塩化クロルヘキシジン)など

●歯茎の腫れを抑える効果が高いもの

歯周病になると最初に歯茎が炎症を起こして、腫れます。

すると歯磨き時に出血をしたり、痛かったりと歯磨きの邪魔になります。

また、歯茎が腫れると歯周ポケットも深くなり、歯ブラシの毛先が届きにくくなります。

すると歯周ポケットの中に磨き残しができ、結果として歯周病菌が増えてしまいます。

≪効果的な成分≫
イプシロンアミノカプロン酸
トラネキサム酸 など

その他に、お口の中に成分が留まりやすいものがお薦めです。

また、泡立ちのよいものや味が強いものは、しっかりすすぎたくなるため、結果として、うがいの際に良い成分がお口の中から出ていってしまいますので、そういったことのない物を選びましょう。

また、フッ素配合のものもお薦めです。

フッ素には次のような効果が見込めます。

・細菌の活動を抑える
・溶けた歯の修復
・歯質の強化

「フッ素は乳歯や生えたての永久歯に対して使うもの」という印象をもっている方もいらっしゃると思いますが、大人が使っても十分に効果を発揮してくれるので、積極的に取り入れましょう。
 

※正しい歯磨きが気になる方は、こちらの記事もお読みください

1回の歯磨きにかけるべき適切な時間 →

 

予防のためには定期的な検診を

 
img_1508557671どんなに高級な歯磨き粉を使い、どんなに丁寧に歯磨きをしたとしても、残念ながらお口の中の汚れを100%落とすことはできません。

お口の中を健康に保つためには定期的に歯科医院に通い、歯石除去などのケアを行うと同時にチェックをしてもらうことが大切です。

もちろん歯科のプロである歯科医師、歯科衛生士も定期的にメンテナンスを受けています。

それは、自分の歯磨きでは100%の歯磨きが出来ないことを知っており、歯の表面に付く汚れや歯石は、歯科医院の専用の機械を使うことで落とせることを十分に理解しているからです。

また、歯科医院を受診すれば、そこで正しい歯磨きの行い方や、患者様毎に合った歯ブラシや歯磨き粉の相談もできます。

日々の歯磨きと歯科医院での定期検診で、一緒にお口の中の健康を守っていきましょう。
 

この記事の執筆監修者

 
dr-hirakawa平河 貴大 先生 (ひらかわ歯科医院 院長)

■経歴

九州大学 農学部 卒業

九州大学 歯学部 卒業

九州大学病院にて研修後、ウェルカムデンタルクリニックにて研鑽

■所属学会

日本歯科保存学会

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