編集部コラム | 【医師監修】銀歯が臭いの原因かも?予防と解決方法

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目次

銀歯が口臭の原因となるケースとは
原因別 口臭の特徴とは
古い銀歯が口臭を招きやすいわけとは
銀歯の臭いが気になる場合の予防&解決方法
 

銀歯が口臭の原因となるケースとは

 
今回は、「銀歯」が口臭の原因となるケースをご紹介します。

【①:銀歯の間にたまる汚れ】

銀歯と天然歯の間もしくは銀歯のブリッジと歯茎との間(橋渡しになったダミー部分)に食べかすやプラークが溜まっている可能性があります。

精密に作られた銀歯でも、噛み癖や天然歯の移動、歯茎が下がるなどの原因で汚れがたまりやすくなります。また金属には、イオンの影響で、プラークが付着しやすいです。

 
【②:銀歯の中の虫歯】

一度治療したら、その先ずっとむし歯にならないという訳ではありません。

銀歯を外すとむし歯になっており、臭いがすることが多々あります。

二次カリエスとも呼ばれており、それは銀歯を外して治療しないと治りません。

 
【③:膿】

②のむし歯に気が付かないと進行して歯の神経を蝕み、最終的には歯の根の中が腐敗し、いわゆる根腐れを起こし、とても強い臭いがします。

改善には、根の治療をするために何度か通院が必要です。

 
【④:銀歯の劣化】

銀歯は、経年的な劣化ですり減りや傷もつきやすいです。

また、水や酸によって錆びることもあるため目には見えなくても劣化すると臭いがします。

これは、銀歯を新しく作り変えることで改善します。

 
【⑤:接着剤が溶ける】

銀歯を装着する時に使用する接着剤が溶けだしたり、銀歯の中で欠けたりすると隙間ができるため食べかすなどが侵入します。

ここがうまく磨けていないと、それが腐敗し、臭いの原因となります。

放置しておくとむし歯の原因にもなるため要注意です。
 

原因別 口臭の特徴とは

 
銀歯が原因で臭うのか、それ以外の原因で臭うのかを臭いの特徴とともにご説明します。

【①:銀歯が原因による口臭の特徴】

銀歯が原因の場合は、食べかすが詰まっていることが多いです。

食べ物の好みによって臭いが変わります。

口臭の原因のひとつでもあるニンニクやネギなどが好きな方は臭いが強いです。

 
【②:歯周病が原因による口臭の特徴】

メチルメルカプタンというガスを発生するため、玉葱が腐ったような臭いがします。

歯茎から出血しやすい環境でもあるため、血生臭く、血の味がすることもあります。

 
【③:全身疾患】

糖尿病により口臭がきつくなることがあります。

ケトン臭と呼ばれ、インスリンの作用によって糖質をエネルギーに変換できずにケトン体が作り出されます。

腐った果物のような臭いです。

また、他にも肝臓が悪い方は、アンモニア臭がします。場合によっては、ドブ臭さがあったり、カビ臭がします。

胃が悪い方は、食物をうまく分解できず発酵したような臭いを発することもあります。

口臭でも体調が判断できます。
 

古い銀歯が口臭を招きやすいわけとは

 
次に、古い銀歯が口臭を招きやすい理由についてご説明します。

 
【①:表面の傷】

目には見えませんが、銀歯の表面には傷が付きます。

これは、装着したばかりはありませんが古くなればなるほど傷が多くなります。

傷によってできた溝に口腔内の常在菌が付着したり、食べかすが入り込み細菌が増殖します。

この細菌によって臭いが発生します。

しかし、目にも見えないくらいの傷なので、歯ブラシでも取り除くことが難しいです。

 
【②:付着しやすい汚れ】

銀歯と天然歯との間には隙間ができます

もちろん、技工士さんが銀歯を作成するときには可能な限り精密に行いますが、限界はあります。

目には見えないミクロ単位で隙間があるのです。

フロスや歯間ブラシを通してみて臭いがする場合は、隙間に汚れが付着しているサインです。

 
【③:経年劣化】

銀歯は自費で作るセラミックとは違い金属ですので、唾液や酸による影響を受けることもあります。

これにより、銀歯が錆びてしまう可能性もあり鉄っぽい臭いを発生します。

 
【④:接着剤の溶解】

銀歯と歯は専用のセメントで接着しています。

セメントの劣化や長年の噛む圧力によりセメントが割れたり、溶解してくることがあります。

そうしてできた失われたセメント分の隙間に汚れが溜まり臭いがでます。
 

銀歯の臭いが気になる場合の予防&解決方法

 
最後に、銀歯の臭いが気になる場合の予防と解決方法をご紹介します。

【①:セラミックに代える】

銀歯は保険治療ですが、セラミックは自費治療です。

保険治療よりもより精密に作るため、適合性も良く、二次カリエス(むし歯)の予防にもなります。接着剤は溶け出さないものを使えます。

また、セラミックはほぼ歯と同じ硬さですので長年使用しても傷も付きにくいです。

唾液で錆びたり、酸によって溶けるなどという心配もありません。

 
【②:定期健診に通う】

セルフケアでは落とせない汚れも、プロフェッショナルケアによるクリーニングであれば落とすことができます。

スケーリングやPMTCなど機械を使用したクリーニングもあるので、口臭予防・むし歯予防・歯周病予防にも効果的です。

 
【③:ブラッシングを見直す】

毎日のケアが口臭に繋がるため、定期健診に頼り切らずブラッシングの指導を受けましょう。

汚れの原因・汚れが多い箇所・くせ・ブラッシング圧・ブラッシングの方法・フロスや歯間ブラシなど、他の清掃用具の使い方を正しく指導してもらえます。

また、デンタルリンスを使用するのもおすすめです。

 
いかがでしたでしょうか?

人は自分の臭いに慣れて、嗅覚が鈍くなってしまうため、自分の口臭にはなかなか気づきにくいものです。

過去に虫歯の治療を行った方の中には、銀歯にして年数が経過している方も多くいらっしゃるかと思います。

銀歯の治療をして長年使用されてきた場合には、まずは歯科医院にて定期検診を受け、相談してみてください。
 

※ブラッシングが気になる方は、こちらの記事もお読みください

1回の歯磨きにかけるべき適切な時間とは →

 

この記事の執筆監修者

 
dr-hirakawa平河 貴大 先生 (ひらかわ歯科医院 院長)

■経歴

九州大学 農学部 卒業

九州大学 歯学部 卒業

九州大学病院にて研修後、ウェルカムデンタルクリニックにて研鑽

■所属学会

日本歯科保存学会

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