以前、勤務医として京都の医院に所属していたときに、マイクロスコープに触れる機会を得ました。
肉眼での治療では、見えているようでも実際には見落としてしまっているものもあり、マイクロスコープを使い始めてからはその視認性の高さを実感することが多かったです。以前から使用していた拡大鏡と比べても、拡大率が上がったのはもちろん、光の入り方などによってさらに見やすくなっており、驚きました。 操作に慣れないうちは、ミラーテクニックについてや直視での使い方など、マイクロスコープに関するいろいろな講習会に参加し、腕を磨きました。

勤務医時代を経て、父が歯科医院を開いていた守口市へ私も戻ることになり、医院の建て替えを行うタイミングでマイクロスコープを導入しました。
当院では根管治療の際にメインで使用していますが、それだけに限らず、むし歯などの一般的な治療にも活用しています。とくに細かい部分を拡大したいときにはマイクロスコープ、口腔内全体を見たいときには拡大鏡、といったように使い分けをしています。

マイクロスコープには写真や動画を撮る機能がありますから、患者さんに治療の流れをご自分で確認していただくことが可能になります。患者さんのお口の中を映しながら「この部分がご覧のような状態になっているので、治療をしていきます」と説明することで、納得感が高まりますし、信用していただけるようにもなるのです。

当院の傾向として、他の歯科医院で治療を受けられた方が再治療として来院されることがしばしばあります。そのような患者さんはより精密な治療を求めて、マイクロスコープを導入している当院にお越しになっていることが多いので、安心して治療を受けていただけるよう努めています。助手としてついてくれるアシスタントもマイクロスコープを使えるように教育を行いましたし、今後は衛生士も使えるようになれば、より質の高い治療を患者さんにご提供できるのではないかと考えています。

マイクロスコープがなければ歯科治療ができないわけではありませんが、きちんと治療をしておかないと、いずれまた細かなところから細菌が入りむし歯になってしまうこともありますので、後々のトラブルを避けるためにも、マイクロスコープを導入している歯科医院で、精密な治療を受けられることをおすすめしたいです。