編集部コラム | 気圧で歯が痛い人には虫歯があるって本当?痛みの原因と予防法

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昔からの言い伝えの1つに「古傷が痛むと雨がふる」という言い回しがあります。

以前に骨折したり重傷を負ったことがあり、その傷に痛みを感じるようになると、晴れていた天気が次第に曇り、次第にどんどん悪化して雨が降る、という経験則によるものです。

実は、この言い伝えにはちゃんとしたメカニズムがあります。

 

こういった気候や天気の変化が原因となって現れる身体の不調を「気象病」といいます。

気象病の症状は様々で、頭痛・めまいが最も多く、その他には吐き気、喘息、疲労感、関節の痛み、気持ちの落ち込みなどがあります。

季節の変わり目、梅雨や台風の多い時期といった、気候の変化が短時間で起きる時期や、航空機に乗るなど気圧の変化が急激に起きる際には、これらの症状が現れやすくなると言われています。

言い換えると、天気がおだやかで安定している時期は症状の出現が減るという特徴もあります。

 

目次

歯科用語では気圧性歯痛や航空性歯痛と呼ばれる
気圧の変化で歯が痛くなる仕組み
虫歯があると痛みを感じやすい
痛みを予防する方法
気圧の変化で歯が痛くなってしまう場合は歯科医院へ

 

歯科用語では気圧性歯痛や航空性歯痛と呼ばれる

 

低気圧に悩まされる女性天気予報ではよく、気圧についての説明が出てきます。
 
この気圧とは、大気の圧力を指します。
 
天気予報で「高気圧が張り出して気温が上昇します」とか、「低気圧に覆われて曇り、ところにより雨が降るでしょう」など聞いたことがあると思います。

気圧が低いということは、低気圧に覆われたエリアでは、その上空にある空気の量が少ない、空気による圧力が低いということでもあります。

またエベレスト、ヒマラヤ、日本アルプスや富士山のような高い山の山頂付近は空気が薄い、呼吸がしにくくなるという話を聞いたことがあると思います。

この「自分の上にある空気の量が少なくなる(=圧力が下がる)」という状況が気象病の原因です。

 

気象病の症状の中には「歯の痛み」という症状もあります。

歯科用語では気圧性歯痛や、航空性歯痛と呼ばれることがあります。

文字通り、天気の気圧の変化、航空機で移動する際に歯が痛くなります。

 

気圧の変化で歯が痛くなる仕組み

 

顔の断面図のイラスト気圧の変化によって、なぜ歯の痛みが出るようになるのでしょうか?
 
上顎では、目の下、鼻の外側に空洞があります。
 
上顎洞といいます。

この空洞は鼻と繋がっていて、風邪など炎症によって膿が溜まると上顎洞炎、いわゆる蓄膿という症状を呈します。

上顎の歯の神経は、この上顎洞の底にあたる部分に存在します。

そのため、気圧が変化して上顎洞の内部の気圧が変化すると、この神経に直接刺激が加わり、痛みとして感じます。

また、上下の歯どちらでも、虫歯が存在すると気象病として痛みが出やすい、と言われています。

虫歯と気圧にどのような関係があるのでしょうか?

 

虫歯があると痛みを感じやすい

 

歯の構造のイラスト虫歯は皆さんご存知の通り、虫歯菌が食べかすを栄養にして酸を作り出し、ゆっくりと歯を溶かしていく病気です。
 
歯の構造は大きく3つの層からなります。

一番外側がエナメル質、その内側に象牙質、そして中心部に歯髄という神経の空間があります。

歯髄は痛みや冷たさなどを感じることができます。

 

このエナメル質はとても硬い組織で、食べ物を噛み切ったり、すりつぶしたりすることができます。

そして歯髄の中の気圧は、硬いエナメル質に歯が覆われることによって、外部の気圧の影響を受けないようになっています。

しかし、虫歯でエナメル質、象牙質が溶かされると、歯髄にある神経に様々な刺激が伝わりやすくなっていきます。

その中には、冷たさだけでなく、気圧の変化というのもあります。

つまり歯髄に気圧の変化が伝わりやすくなることで、歯の痛みを感じやすくなってしまう、というわけです。

 

痛みを予防する方法

 

ここまで、気圧の変化によって歯に痛みが出るメカニズムを説明しました。

誰しも痛みは避けたいものでしょう。

かといって天気の変化は私たちにどうすることもできません。

ではこの痛みを予防する方法はあるのでしょうか?

 

まず明らかに虫歯がある方は、虫歯の治療を受けましょう。

虫歯になっているところがあれば、虫歯の除去、場合によっては神経の除去まで必要なこともあるでしょう。

そして虫歯で失った部分を詰め物、被せ物などで復元し、噛み合わせを作るところまで、しっかり最後まで治療し終えるようにしましょう。

 

その次に、虫歯にならないよう維持することも大切です。

虫歯の治療が終わっても、新たな虫歯ができないように定期的なメンテナンスを受けることで、虫歯の早期発見、早期治療につながり、気象病による痛みの出現を回避することができるでしょう。

 

もちろん自宅での歯磨きも重要です。

自分の歯磨きについて、歯科医師、歯科衛生士に相談して、最適な管理方法を聞いてみてください。

歯ブラシの種類、デンタルフロス(糸ようじ)、歯間ブラシを併用するなど、皆さんそれぞれにあった日々のケア方法を提案してもらいましょう。

上顎洞炎があると、上顎の歯に痛みが出やすくなります。

鼻づまりがしやすかったり、鼻炎や花粉症があると上顎洞炎になりやすいので、耳鼻咽喉科で相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。

 

気圧の変化で歯が痛くなってしまう場合は歯科医院へ

 

天気や気圧の変化に伴って歯の痛みが出るという場合は、虫歯など何かしら原因があるはずです。

歯科医院で相談し、レントゲン検査や歯石除去などを受けて虫歯の有無を確認してもらいましょう。

 

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