編集部コラム | 歯茎が再生するって本当?気をつけてほしい注意点

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最近では、自立して生活できる年齢を長く保とうという「健康寿命」が重視されつつあります。

80歳で20本以上の歯を残そうという「8020運動」が提唱されていましたが、その後には8520(85歳で20本以上の歯を残そう)や9020(90歳で20本以上の歯を残そう)なども言われるようになっています。

自分の歯でしっかり噛めることは、とても大切なことです。

自分の歯を長く維持するためには、歯を支える骨や歯茎も良好な状態を維持していただきたいのですが、様々な原因で歯茎が下がってしまうという方がおられます。

そのような方々に向けて、歯科医療の分野では、歯茎や歯槽骨を再生させる治療、再生療法が注目されています。

 

目次

歯茎を再生させる治療とは
なぜ歯茎が下がってしまうのか
歯茎の再生治療の注意点
歯茎が下がってしまわないように気をつけること
歯茎を再生させるには早めの治療を

 

歯茎を再生させる治療とは

 

顔の付いた歯が並んだイラスト歯茎を再生させる治療とは、わかりやすく言うと、失われてしまった歯茎の組織を回復させる治療になります。
 
再生させたい組織が歯肉だけなのか、その下にある骨(歯槽骨)まで再生できる可能性があるのか、目的によって治療戦略が変わってきます。

歯肉だけの再生治療には、ヒアルロン酸注入や、結合組織移植術、歯肉弁側方移動術、歯肉弁歯冠側移動術などがあります。

また、骨を再生させる治療には骨誘導再生法 (GBR:Guided Bone Regeneration)、エナメルマトリックス(エムドゲイン)・bFGF(リグロス)・多血小板血漿(PRP)投与といった方法があります。

それぞれの治療法の詳細については、かかりつけの歯科医院で治療を提案された時に、詳しく聞いてみてください。

 

なぜ歯茎が下がってしまうのか

 

なぜ歯茎が下がってしまうのでしょうか。

その原因の根源にあるものは「歯にかかる力の問題」です。

具体的な内容と、日々注意することについて見ていきます。

 

1.噛み合わせ

歯が抜けてしまった口のイラスト歯にかかる力、という点では、まず噛み合わせによるものがあります。
 
受け口(下顎前突)、出っ歯(上顎前突)、開咬、虫歯や歯周病で歯を失ったなど、理想とする噛み合わせに比べて噛み合う部位が少ない場合、噛む力が特定の歯に集中してしまうことになります。

そしてその結果、歯周病へとつながります。

 

2.歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしり、食いしばりは普段の食事の際に咀しゃくする時と比べて、何倍も大きな力が歯にかかっています。

しかも、歯ぎしりでは歯を横に倒すような力がかかります。

この影響で歯周病になりやすいと言われています。

また近年では、寝ている間の無意識の時にだけ起きるのではなく、日中でも歯ぎしりや食いしばりをしていることが明らかになってきました。

これをTCH(歯列接触癖)と言います。

 

3.歯みがき

歯みがきの時にしっかり磨こうと思うあまり、ついつい力強くブラシを当てていませんか?

また、その当てる部位が歯だけでなく、周囲の歯肉にも当たっていませんか?

歯ブラシが強く当たることで、歯肉がダメージを受けてすり減ってしまい、歯茎が下がる要因になります。

 

4.歯周病

歯周病の原因は、先ほどの噛み合わせの問題、歯ぎしりや食いしばりの癖、歯みがきの仕方の他に、喫煙、飲酒、糖尿病なども原因の1つになります。

 

歯茎の再生治療の注意点

 

歯茎の再生療法について、その注意点は何でしょうか?

まず、再生療法は万能ではない、ということです。

その理由としては、先ほど述べた通り、まず「歯茎が下がる原因は何なのか」という点について明らかにする必要があるからです。

歯茎が下がった原因が残っている限り、下がった歯茎に再生療法を行っても、その治療効果が得られない、もしくは、一旦歯茎が改善したかのように見えて、その状態を維持できないという可能性があるのです。

 

歯茎が下がってしまわないように気をつけること

 

曲線を描く歯茎と歯のイラストまず、歯茎が下がった原因についての対応が必要です。
 
歯が無い部分にはブリッジ、入れ歯、インプラントなどの治療で歯を入れて、噛み合わせを回復させることが必要です。

歯みがきの仕方についても確認が必要です。

歯茎が下がってしまった場所は、歯ブラシを力強く擦っていませんでしたか?

かかりつけの歯科医師、歯科衛生士に相談して、皆さんそれぞれに合った歯ブラシの種類、歯みがきの方法、そして歯みがきのタイミングを確認してもらいましょう。

 

喫煙している方は、紙巻きたばこ、加熱タバコにかかわらず、禁煙するように変えていきましょう。

最近は禁煙外来を設けている病院もありますので、医療機関で相談してみることもいいでしょう。

 

糖尿病がある方は、食事療法、運動療法、内科治療など、内科医と相談して治療しましょう。

糖尿病が存在すると歯周病は悪化してしまい、ひいては狭心症や脳梗塞が起きやすくなることもわかっています。

歯ぎしり、食いしばりについては、枕をソバ殻のタイプに変えたり、マウスピースを使用するなど、かかりつけの歯科医院で対応策を相談してみましょう。

 

歯茎を再生させるには早めの治療を

 

ここまで、歯茎が下がる原因と治療法を見てきました。

下がった歯茎の治療だけでは解決しない、もしくは、再生したあとの状態を維持できないことがお分かりいただけましたでしょうか。

歯茎が下がらないように予防すること、そして、これ以上歯茎が下がらないようにすることを目指しましょう。

 

歯茎が下がっても放っておくと、歯と歯茎の間の隙間が広がってしまったり、骨にまで影響がでてくることが考えられます。

原因はそれぞれで異なる場合があるので、まずは、かかりつけの歯科医院で相談してみてください。

 

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