私が初めてマイクロスコープを見たのは歯科大生時代、実家のクリニックで父が導入した時でした。当時そこまで普及していなかった中で、父が口癖のように「これからはマイクロの時代だ」とよく言っていました。それから歯科大の5年生になって、臨床実習が始まった当時も歯内療法科にもまだ２台しかなくアシストでたまに見るといったところであまりメジャーな機器ではないイメージでした。卒業してからも、大学病院の口腔外科に進み、拡大鏡は使用してましたが、マイクロスコープは全く触ったことはありませんでした。大学病院を退職するタイミングで父がよく言っていた「これからはマイクロスコープの時代だ」という言葉が頭にあったので、現在でも珍しいユニット全台マイクロ完備のクリニックに就職して本格的にマイクロスコープを使用しました。初めはしばらく使うと酔ってしまい使ってはどかしてを繰り返していて、ちゃんと使えるようになるまで苦労しました。
現在も週1日は働かせていただいている都内のクリニックは、当時ユニット８台全台マイクロ（現在ユニット14台にマイクロ12台）が入っている病院で、国内でも唯一無二だと思います。どんな診療でも使用できる環境は本当に恵まれた環境ですし、理事長のことは尊敬の念しかありません。幸運にもそのような環境にいましたのでマイクロを使わない診療の方が少ないほどマイクロはなくてはならない物になりました。クリニック開設にあたって、C Tと同じくらいマイクロの導入は当たり前のように決めていました。
根管治療はもちろんのこと、う蝕や歯周病の診査診断からう蝕治療や形成、スケーリング、S R P、外科処置などほぼ全ての処置で使用しております。
マイクロで撮影した画像や動画を、全て患者さんにお見せすると初めて見た方が多く、驚かれたり感動されたりします。そしてみなさん一様に治療に対してすごく納得されます。これまで説明をどれだけ丁寧に時間をかけても伝わらなかったことが、画像や動画を見せることで説明にかかる時間も短く、そして言葉よりも説得力があるので患者さんの満足度につながっていると実感します。

マイクロスコープに興味がある衛生士さんには指導を行っております。衛生士さんも歯石のチェックやスケーリング・S R Pに活用されています。撮影した画像や動画を見せることで、患者さんのセルフケアのモチベーション向上にも繋がります。

予知生の高い治療をコンセプトとして掲げているので、マイクロスコープはクリニックを象徴するツールです。また予防にも力を入れているので、患者さん自身のセルフケアが非常に重要になりますが、前述の通り患者さんのセルフケアのモチベーションの向上のためにも活用しております。

マイクロスコープを使用する際は、常に綺麗に画像や動画の撮影をするように心がけています。そのために定期的に視度調整（自分の見ている視野とモニターに写している画像のピントを合わせる）を行なっています。

セミナーに行くことはもちろんのこと、診療終了後に抜去歯や模型を用いて根管治療や形成、縫合の練習をしてきました。今後は歯周再生療法でのマイクロサージェリーのセミナーに参加して、研鑽を積みたいと思います。

口腔外科に進んだとき、一生縁がないものだと思っていましたが、今や新しく開設するクリニックにC Tは必須だと言われている中で、マイクロスコープはそれと匹敵すると言っても過言ではないほどマストなツールだと個人的に思います。なるべく早めに触れて、練習を積み、技術を身につけて診療に生かすことが今後の歯科医師としては必要不可欠だと思います。マイクロスコープは技術面だけでなく、患者さんにとって満足度や付加価値を高めることができます。歯科治療は多くの方が、不安や恐怖心を持って来院される方がほとんどです。説明やコミュニケーションが充たされていないと、よりマイナスなイメージは膨らみます。当院では説明不足・コミュニケーション不足を解消するために、説明のためのツールとしてマイクロスコープを活用しております。「百聞は一見にしかず」とことわざにもありますが、マイクロスコープを始め色々なツールを駆使して極力治療の「見える化」を行い、少しでも患者さんの不安や恐怖心を取り除けるように努めております。今まで治療で何をされているのか分からない、疑問に思うことがございましたら是非一度当院へご相談ください。