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目次
-虫歯の放置が招く歯髄炎とは
-歯髄炎で引き起こされる症状
-歯髄炎の治療法とは
-歯髄炎を放置してしまうと…
虫歯の放置が招く歯髄炎とは
虫歯も最初は少しの痛みだと思って放置していても、だんだん進行して神経に近い部分まで進んでしまうことがあります。
歯の神経は変化があった時にさまざまな症状で知らせてくれて、歯の中にある神経のことを歯髄といいます。
歯髄炎の原因として代表的なものが虫歯で、神経の近くまで達してしまうと強い痛みが出ます。
軽度の炎症の場合には神経に影響はありませんが、重度の炎症になると歯髄にダメージを与えて歯髄が死んでしまう可能性があります。
また、歯髄炎を放置して進行すると、根の先に膿がたまる『根尖性歯周炎』に進行することがあります。
根の先に膿がたまると内圧が上がり、疲れた時にうずいたり、脈打つような強い痛みが出ることが多いです。
また、治療せずに進行したままだと、あごや副鼻腔などに感染が広がるリスクもあるので気をつけましょう。
歯髄炎で引き起こされる症状
歯髄炎の初期の症状は冷たいものがしみることが多く、食事などでかむと痛みが出てきます。
進行すると、熱いものがしみたり、何もしていなくてもズキズキ痛みが出ることもあります。
歯髄炎の症状には、かんだりする時に違和感があるなどの慢性症状と何もしていなくても痛みが出る急性の症状があります。
痛みの症状の変化は
- 冷たいものがしみる
- 熱いものがしみる
- 食事などでかむと痛みがでる
- 何もしていなくても痛みがある
痛みの症状で、冷たいものがしみる程度の時には、虫歯の部分を除去して詰め物をすると治療が終わることが多いです。
熱いものがしみるようになると、神経の中に虫歯菌が侵入していることが多く、感染した神経を取り除く治療が必要になるケースが多いでしょう。
そのため、冷たいものがしみている間に治療をすることが望ましいです。
歯髄炎の治療法とは
歯髄の炎症の程度で歯髄を残すことができる場合には、虫歯の治療を行います。
虫歯の部分を取り除いて、詰め物や被せ物をして炎症がなくなると症状が落ち着きます。
また、自費治療なので、少し費用はかかりますが、歯髄を保存する治療で効果を発揮してくれるのが、MTAセメントで、神経に被せて保護すると接着力が高く神経を温存しやすくなります。
歯髄を残すことが難しい場合には、根の治療が必要で、細菌感染した所を除去して神経を取り除く治療をします。
虫歯の部分や神経を除去して清掃と消毒を繰り返して根の中をキレイにして、最後に薬剤を詰めていきます。
ただ、根の形状は個人差があって異なり、根の中を目で確認できないので難易度の高い治療です。
もし洗浄や消毒が不足して、細菌が残ってしまうと、繰り返し治療が必要なこともあります。
そのため、根の治療は慎重に行う必要があり精密に行うことができるマイクロスコープなどを使用していると根の細部まで確認できるので安心です。
根の治療が終わった後には、根を補強するための土台をつけて、その後被せ物をしていきます。
歯髄炎を放置してしまうと…
歯髄炎のまま放置してしまうと次第に痛みがなくなっていきます。
これは神経が死んでしまったためです。
交通事故などの強い外傷で歯に力が加わった時に歯髄が死んでしまうこともあります。
また、日常的に強い歯ぎしりをしている場合にも神経が死んでしまう可能性があります。
むし歯で穴が空いた状態で歯髄炎が進行すると、根の中で細菌が増殖してにおいの原因になります。
また、根の中で内圧が高まって再度痛みが出てきます。
そして、その状態が続くと、根の先にまで炎症を起こして膿の袋のようなものを形成します。
膿の袋が周囲の骨を圧迫するので、かむと強い痛みが出ることもあります。
膿の袋がある間は、膿が出ることができず痛みが持続しますが、歯ぐきにおできのような『できもの』ができて、膿を排出すると、一時的に痛みが落ち着くことがあります。
ただ、根の中が細菌感染しているので、また痛みを伴うことも多く治療を繰り返すことがあります。
神経を取る治療と同じように、洗浄と消毒をしていきますが、根の中の細菌を除菌するまで洗浄と消毒を繰り返す必要があるので、膿の袋が大きいほど治療に時間や回数がかかります。
虫歯は初期の症状では冷たいものがしみる程度ですが、進行するごとに熱いものがしみたりかんだら痛み出るなど症状が変わってきます。
早い段階で治療をすると、痛みも少なく治療期間も早く終わることが多いので、歯の不具合を感じたら早めに受診することをおすすめします。
この記事の執筆監修者
阿部 顕 先生
■経歴
日本歯科大学 生命歯学部 卒業
日本歯科大学 研修医
埼玉県の開業医にて勤務
■所属学会