編集部コラム | 保険診療と自費診療における「根管治療」の違いとは

目次

根管治療(歯の神経の治療)とは?
根管治療で天然の歯を残すメリット
自費の根管治療と保険の根管治療の違い
神経を取った歯のリスク

 

根管治療(歯の神経の治療)とは?

 
根管治療とは、歯の根の中にある歯髄(神経)と血管が通っている「根管」の治療のことです。これは、虫歯が大きく進行し、歯髄近く、もしくは歯髄にまで及び、今管内が菌に感染してしまった時に選択する治療法です。
治療手順としては、まずは虫歯を除去し、虫歯菌に感染した歯髄や、根管内の汚染された組織を可及的に取り除いたうえで消毒し、ゴム様の根管封鎖目的の歯科材料を緊密に詰めます。 根管内の汚染組織を取り除いた状態にすることで、虫歯に侵されていない部分の天然の歯を残せます。

経験がある方もいらっしゃるかもしれませんが、虫歯で痛みが出ていても放置していたら、痛みがウソのように止まることがあります。 これは、虫歯が治ったわけではありません。 放置され繁殖した虫歯菌が歯髄を侵し、やがて歯髄が壊死して痛みを感じなくなっただけです。 さらに進行すると、歯の根の先に膿が溜まって再び痛みだす恐れもあるため、早期に歯科医院で適切な治療を受けることが大切です。
 

根管治療で天然の歯を残すメリット

 
歯を失っても、入れ歯やブリッジ、インプラント治療などで歯を補えるため、抜歯すればよいのではと思う方もいらっしゃるようですが、果たしてそうでしょうか。
天然の歯を残すと次のメリットを得られるため、大きな虫歯になった場合でも根管治療を受けてでも残せるだけ残すことをおすすめします。

【噛む力やクッション性を維持できる】

天然の歯には歯根膜がありますが、インプラントにはありません。

歯根膜は、歯の根と顎の骨の間に存在する組織で、噛む力を調整したり、クッションの役割を果たしたりします。

天然歯を残すことで、歯根膜の機能を維持できます。

 
【歯根周囲の骨の吸収を抑制できる】

歯を抜いてしまうと、その歯を支えていた骨が吸収してしまいます。

それは少なくともその前後の歯にも影響し、支えが弱くなってしまいます。

自身の歯を残すことは、その骨の吸収抑制作用があります。

 
【最後の一手としてインプラント治療(または入れ歯治療)の選択肢を先延ばしできる】

インプラントは、人工の歯根を用いることで、天然歯に近い噛み心地を得られる優れた治療ですが、寿命は平均10~20年とされています。

もし、インプラントの寿命が尽きたときは、もう一度インプラント治療を行うことは困難です。

そのため、できる限り天然の歯を残し、歯を失った際の最後の一手、インプラント治療になる状況を先延ばしすることが大切です。

また、インプラントが困難となれば、入れ歯が最終手段となりますが、やはり天然歯には劣ります。

 

自費の根管治療と保険の根管治療の違い

 

自費の根管治療と保険の根管治療の違いは次のとおりです。

費用 治療期間 器具・機材 薬剤・セメント
保険診療 数千円程度 治療時間:約30分
通院:4~5回
肉眼もしくは拡大鏡・
ステンレスファイルなど
症例を問わず
同じものを使用
自費診療 約7万~15万円 治療時間:約60~90分
通院:1~3回
マイクロスコープ・
ニッケルチタンファイルなど
症例に合わせて
数種類を使い分ける

 

各項目の違いについて、詳しくみていきましょう。

【費用】

自費診療の根管治療では、費用が全額自己負担となりますが、保険診療で使えない器具や機材、薬剤を使用できるので治療精度が飛躍的に上がります。

費用は歯科医院によって異なり、相場は約7万~15万円と幅があります。

一方で、保険診療の根管治療は、1~3割の自己負担となるため、費用は1本あたり数千円です。

 
【治療期間】

自費診療の根管治療は、1回約60~90分の治療を1~3回行います。

対して保険診療の根管治療は、1回約30分の治療を平均4~5回と、通院回数が多くなります。

 
【器具・機材】

保険診療の根管治療に使用する器具は、根管内を拡大して観察するための「拡大ルーペ」、根管内の汚染組織を取り除く「ファイル」などです。

手指感覚に頼ることも多く、感覚的なため、治療精度、成果は、術者の経験に大きく左右されます。

対して自費診療の根管治療では、高倍率の「高性能マイクロスコープ」を使用することで根管内を見ることで感覚に頼らない視認ができます。

そのため、根管内を不用意に傷つけにくく、また、根管内を扱う器具は、汚染組織を取り除きやすく複雑な根管形態に対応できる柔軟性がある「ニッケルチタンファイル」などを使用します。

 
【薬剤・セメント】

自費診療の根管治療では、根管内の洗浄や消毒、根管を密閉するために使用する薬剤やセメントを症例によって使い分けることが可能です。

対して保険診療の根管治療では、使用できる薬剤やセメントが保険上のルールで限られています。

 

このように、自費診療の治療では使用できる器具や機材、薬剤に制限がないため、治療の成功率を高めたり、治療後の再発を防いで歯の寿命を延ばしたりできます。

生涯にわたる歯の健康を考えて、自費診療の根管治療を検討することが大切です。
 

神経を取った歯のリスク

 
歯の神経を取れば、一生虫歯にならないと思われる方もいらっしゃるようですが、それは間違いです。
歯髄を取り除くと歯に栄養が行きわたらなくなるため、どうしても歯そのものが脆くなります。

その結果、大きな負荷が加わった場合に、割れたり欠けたりすることがあり、結果的に抜歯を余儀なくされる可能性があります。

 
さらに、根管内に汚染物質を取り残した場合には、再び炎症が起きて再治療が必要になったり、最悪のケースでは抜歯せざるを得なくなったりする恐れもあるのです。

そのため、根管内の汚染物質を洗浄や消毒を繰り返し徹底的に行い、最終的に密閉を高いレベルで行う必要があります。

自費診療の根管治療では、高性能マイクロスコープやニッケルチタンファイルを使用できるため、治療の精度と成功率が格段に上がります。

 
ご自身の歯を1本でも多く長く残したい方は、自費診療の根管治療を検討してみてください。

生涯、ご自身の歯で食事や会話を楽しみたい方は、まずは歯科医院へご相談ください。

 

この記事の執筆監修者

 
dr-hirakawa平河 貴大 先生 (ひらかわ歯科医院 院長)

経歴:九州大学歯学部 卒業

所属学会:日本歯科保存学会

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