歯を失ったり、欠けてしまったりしたときに検討されるのが、「セラミック」や「インプラント」です。どちらも見た目を美しく整える治療として知られていますが、実は目的や治療法、そして費用や寿命は大きく異なります。
違いを理解せずに選んでしまうと、思ったような結果が得られず、再治療が必要になることもあります。
この記事では、セラミックとインプラントの仕組みや費用、寿命、見た目の違いをわかりやすく解説します。それぞれの特徴を正しく理解することで、あなたの歯の状態に合った治療を選択できるようにしましょう。
目次
この記事を監修した医師

谷川歯科医院 副院長
谷川 淳一
Tanigawa Junichi
歯科医師。日本口腔インプラント学会専修医。小児歯科治療や小児矯正、インプラント治療を得意とし、他の歯科医師への指導も行う。
患者様一人ひとりと真摯に向き合って治療方針を決めていくことを信条としている。
セラミックとインプラントは何が違う?

セラミックやインプラントは、どちらも失った歯の機能や見た目を補う治療ですが、目的や方法は大きく異なります。セラミックとインプラントについて、以下の3つを解説します。
- それぞれの役割(歯の根と被せ物)
- 保険適用・費用・治療期間の違い
- 長持ちさせるために重要なポイント
それぞれの役割(歯の根と被せ物)
セラミック治療とインプラント治療は、どちらも見た目や噛む力を回復させるために行われますが、目的と範囲が異なります。
セラミックは、歯の被せ物や詰め物に使われる素材の名前です。虫歯治療で削った部分や、欠けてしまった部分を補修する際に使われます。土台となる歯がしっかりしていることが、セラミック治療の前提条件となります。
インプラントは、虫歯や歯周病、事故などで歯を根っこから失った場合に行う治療法です。顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込む、外科手術を伴う治療です。人工歯根の上に、土台と人工の歯(被せ物)を取り付け、噛む機能を回復させます。
セラミックは歯の一部分を補う素材であり、インプラントは歯を土台から作り直す治療法という根本的な違いがあります。
保険適用・費用・治療期間の違い
治療を選択するうえで、保険が使えるか、費用や期間がどのくらいかかるかは重要なポイントです。セラミック治療とインプラント治療には、以下のような違いがあります。
| 項目 | セラミック治療 | インプラント治療 |
| 保険適用 | 基本的に自由診療(CAD/CAM冠など一部保険適用あり) | 原則的に自由診療(先天性の疾患などを除く) |
| 費用相場 | ・詰め物:4~9万円 ・被せ物:8~18万円 | 1本あたり30~50万円 |
| 治療期間 | 約1~2か月(通院2回~) | 約3か月~1年 |
セラミック治療は、見た目の美しさや耐久性を追求する場合、基本的に保険適用外の自由診療となります。一定の条件を満たせば、ハイブリッドセラミックという素材を使った白い被せ物が、保険で認められることもあります。
インプラント治療は外科手術を伴い、人工歯根と顎の骨が結合するのを待つ期間が必要なため、治療完了までには数か月~1年ほどかかります。費用も比較的高額になりますが、失った歯の機能を回復させる方法として、有効性は高く評価されています。(※1)
長持ちさせるために重要なポイント
セラミックもインプラントも、ケアやメンテナンス次第で寿命が大きく変わってきます。
長持ちさせるために、以下のポイントを心がけましょう。
| ポイント | 具体的な内容 |
| 毎日の丁寧なセルフケア | ・毎日の歯磨きが基本 ・歯間ブラシやデンタルフロスを使い、境目や隙間に汚れが残らないよう丁寧な清掃が大切 |
| 歯科医院での定期的なメンテナンス | ・セルフケアでは落としきれない汚れを除去し、お口の中の状態を専門的にチェックしてもらうために、定期的な通院が不可欠 ・噛み合わせの状態を確認 |
ある研究では、インプラント治療後の噛み合わせは、時間の経過とともにわずかに変化することが報告されています。(※2)定期検診で噛み合わせの状態を専門的に確認し、必要に応じて微調整を行うことが推奨されています。
噛み合わせのバランスが崩れると、インプラントや被せ物に過度な負担がかかり、破損する原因になりかねません。セラミック治療にも共通で、定期検診で噛み合わせをチェックし、良い状態を維持することが歯を長持ちさせます。
インプラント治療の構造をわかりやすく解説

インプラントは、見た目だけでなく噛む力や機能も再現できる精密な治療です。その構造を理解しておくことで、治療の流れやメリットをより深く理解できます。
インプラントを支える3つの主要なパーツを解説します。
インプラント体(人工歯根)とは?
インプラント体とは、歯を失った部分の顎の骨に直接埋め込む、人工の歯根のことです。インプラント体が骨と結合し、天然歯の根と同じように機能します。
主な素材は、人体との親和性が高いチタンやジルコニア(セラミックの一種)です。骨と結合しやすい性質を持ち、アレルギー反応も起こりにくいとされています。
チタンとジルコニアの特徴は以下のとおりです。
| 素材 | 特徴 |
| チタン | ・長年にわたり世界中で使用されており、安全性と信頼性の高い実績がある ・骨と密に結合する特徴がある |
| ジルコニア | ・金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配がある方にも適している ・素材自体が白いため、歯ぐきが薄い方でも金属色が透ける心配が少ない |
近年、3Dプリント技術を用いて、患者さん一人ひとりの骨の状態に合わせた精密なインプラント体が製造されることもあります。(※3)このような技術革新は、治療の精度向上に大きく貢献しています。
アバットメント(連結部)の役割
アバットメントは、骨の中に埋まっているインプラント体と、お口の中に見える被せ物とをつなぐ連結部分です。外からはほとんど見えませんが、インプラント全体の安定性を支えるパーツです。アバットメントには、主に以下のような役割があります。
- インプラント体と被せ物を連結する
- 被せ物が正しい噛み合わせになるように角度や位置を調整する
- インプラント体に適切に噛む力を伝達する
素材にはチタンやジルコニアなどが使われており、どの素材を選ぶかが、インプラントの耐久性や長期的な安定性に大きく関わります。
ある研究では、ジルコニア製のアバットメントは、チタン製に比べて疲労に対する寿命が長い可能性も示唆されています。(※4)どの素材を選ぶかは、インプラントを長持ちさせるための重要な判断の一つです。
上部構造(被せ物)としてセラミックが使われる理由
上部構造とは、お口の中で実際に見える「人工の歯」の部分です。機能性だけでなく、見た目の美しさも求められるため、セラミックが選ばれることが多くあります。
セラミックが選ばれる主な理由は、以下の3つです。
| 理由 | 具体的な内容 |
| 天然歯のような自然な見た目 | ・ご自身の歯が持つ透明感や光沢、繊細な色合いを高いレベルで再現できる ・周囲の歯と見分けがつかないほど自然に仕上がるため、前歯の治療に適している |
| 汚れがつきにくく衛生的 | ・表面が滑らかで、歯垢(プラーク)などの細菌が付着しにくい ・清潔な状態を保ちやすいため、インプラント周囲炎のリスクを低減する |
| 身体に優しい素材 | ・金属を一切使用しないオールセラミックは、金属アレルギーの心配がない ・歯ぐきとの親和性も高く、金属イオンによる歯ぐきの変色や黒ずみが起こりにくい |
それぞれの素材の特性を理解し、精密に組み合わせることで、見た目だけでなく機能性や安全性も長く保てます。
セラミックインプラント(ジルコニアインプラント)という選択肢
インプラントと聞くと金属製をイメージしがちですが、近年は金属を使用しないセラミックインプラントも注目されています。その特徴やチタン製との違い、前歯での治療に選ばれる理由を解説します。
金属を使わないインプラントとは?
金属を使わないインプラントとは、すべてのパーツを金属ではなくセラミック素材で構成するインプラント治療のことです。
主に使用される素材は「ジルコニア」で、白く自然な見た目と高い強度を兼ね備えており、人工ダイヤモンドとも呼ばれています。金属を使わないことで、見た目の美しさと体へのやさしさを両立できるのが大きな特徴です。
近年では、3Dプリントなどの製造技術の進歩により、ジルコニアのような材料を用いて、より精密なインプラントを作製する研究も進んでおり、治療の選択肢はさらに広がっています。(※3)
チタンとの違い(見た目・強度・アレルギー)
チタンインプラントとジルコニアインプラントには、以下のような特徴があります。
| 項目 | チタンインプラント | ジルコニアインプラント |
| 見た目 | グレーの金属色 | 天然歯に近い自然な白色 |
| 強度 | 十分に高い | 金属に匹敵する高い強度 |
| 生体親和性 | 骨と強固に結合する(長い歴史と実績あり) | 骨との結合も良好(実績が増加中) |
| アレルギー | リスクは低いが、稀に報告あり | 金属ではないため、アレルギーのリスクがない |
| プラーク付着 | 付着しやすい傾向 | 表面が滑らかで付着しにくい |
ジルコニアのメリットの一つに、表面が滑らかで、汚れ(プラーク)が付着しにくい性質があります。この性質によって、細菌の繁殖を抑えやすくなり、インプラントの寿命を左右するインプラント周囲炎の予防にもつながります。
ジルコニアを用いて作られた被せ物(クラウン)が、3年間の追跡調査で良好な臨床結果を示した報告もあります。(※2)
前歯の審美領域で選ばれる理由
ジルコニアインプラントは、前歯部などの審美領域(見た目が重視される部分)で選ばれることが多い治療法です。見た目の印象を左右する前歯には、しっかりと噛める機能性だけでなく、美しさが求められるためです。
ジルコニアインプラントが前歯の治療に適している主な理由は、ジルコニアが持つ白さと透明感にあります。隣の歯と見分けがつかないほど自然な見た目を再現でき、根元も白いため、歯ぐきが下がっても目立ちにくく、長く美しさを維持しやすいです。
口元の美しさを大切にしたい方には、ジルコニアインプラントが自然な見た目と高い満足度を両立できる選択肢となります。
治療選択で迷ったら?判断の基準3つ
セラミックとインプラントの治療の選択は、生活の質に関わります。後悔のない選択をするための判断基準として、以下の3つを解説します。
①抜歯の必要性(歯を残せるかどうか)
②失敗リスクと保証制度を比較
③治療後のケアと通院のしやすさ
①抜歯の必要性(歯を残せるかどうか)
治療法を選ぶうえで重要な点は、ご自身の歯根を残せるかどうかです。
セラミック治療とインプラント治療を選択する主なケースは以下のとおりです。
【セラミック治療を選択するケース】
- 歯の神経を抜いた後でも、歯の大部分が残っている場合
- 歯が欠けたり、変色したりしているが、歯の根は健康な場合
- 現在入っている銀歯などを、より自然な白い歯に替えたい場合
【インプラント治療を選択するケース】
- 根の先の病巣が大きく、根管治療を繰り返しても改善が見込めない場合
- 重度の虫歯や歯周病で、歯を支える骨が失われ抜歯に至った場合
- 事故などで歯が根元から折れたり、割れたりして保存が不可能な場合
周囲の骨を溶かしたり、隣の健康な歯に悪影響を及ぼしたりするリスクがある場合は、抜歯やインプラント治療が選択肢となります。抜歯が必要かどうかによって、治療の選択肢が異なることを理解しておきましょう。
②失敗リスクと保証制度を比較
セラミック治療もインプラント治療もメリットだけでなく、事前に知っておくべきリスクが存在します。基本的に自由診療のため、多くの歯科医院では独自の保証制度を設けています。
治療の失敗リスクと一般的な保証を以下の表にまとめています。
| 項目 | セラミック治療 | インプラント治療 |
| 主な生物学的リスク | ・二次う蝕(歯との隙間からの虫歯) ・歯髄炎(土台の歯の神経への刺激) | ・骨結合不全(インプラントと骨がつかない) ・インプラント周囲炎(細菌感染による歯周病様の病気) |
| 主な機械的リスク | 強い衝撃や歯ぎしりによる破折、脱離 | ・上部構造(被せ物)の破損 ・連結ネジの緩み、破折 |
| 一般的な保証期間の目安 | 1~5年程度 | 5~10年程度 |
| 保証の主な条件 | 指定された期間ごとの定期メンテナンス受診 | 定期メンテナンス受診と適切なセルフケアの継続 |
セラミックもインプラントの上部構造も、コンピューター技術を駆使した精密な方法(サブトラクティブ製造など)で作製されます。近年の研究でも、補綴物と土台の適合精度(マージナルフィット)の重要性が示されています。(※5)
保証を受けるためには、通院(定期メンテナンス)が条件となっている場合がほとんどです。カウンセリングの際には、保証期間だけでなく、対象範囲(どこまで保証されるか)や条件などを書面でしっかり確認しましょう。
③治療後のケアと通院のしやすさ
セラミックもインプラントも、治療が終わってからが本当のスタートです。きちんとケアを続けることで、見た目だけでなく歯の健康を長く守ることができます。
インプラントの場合は、毎日の歯磨きに加えて歯間ブラシやタフトブラシを使い、歯と歯ぐきの境目を丁寧に掃除します。3〜6か月ごとに歯科医院でメンテナンスを受け、汚れの除去や噛み合わせのチェックを続けることが大切です。
セラミック治療は比較的お手入れが簡単で、フロスや歯間ブラシを使って清掃し、半年〜1年に一度の定期検診で状態を確認することが大切です。どちらの治療も、通いやすく信頼できる歯科医院を選ぶことが、長持ちさせるためのポイントになります。
精密治療が結果を左右する理由
セラミックやインプラントの治療を長持ちさせるには、丁寧で正確な施術が欠かせません。歯科医師の技術や経験はもちろん、使用する医療機器の性能によって、治療の仕上がりや歯の寿命は大きく変わります。
精密な治療が歯の寿命や健康を守るうえで欠かせない理由として、以下の3つを解説します。
- セラミック冠とインプラント体の連結精度が寿命に直結
- マイクロスコープで細菌の隙間や汚れを可視化
- インプラント周囲炎を防ぐ精密メンテナンスの重要性
セラミック冠とインプラント体の連結精度が寿命に直結
インプラント体と被せ物の連結部分の精度が、インプラントの寿命を決めるポイントになります。連結部分にわずかな隙間や段差があると、以下のような問題が生じてしまいます。
- 細菌の侵入と繁殖
- インプラント周囲炎のリスク上昇
- 被せ物の破損やネジの緩み
インプラントを長く使い続けるためには、連結部の精度が欠かせません。
マイクロスコープで細菌の隙間や汚れを可視化
精密な治療を実現するために、活用されているのがマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)です。マイクロスコープを使うと、肉眼の数倍〜20倍以上にまで視野を拡大できます。
マイクロスコープのメリットを、以下の表にまとめています。
| 項目 | 具体的なリメット |
| 診断と治療の精度向上 | ・歯の表面にある微細な亀裂や、被せ物のわずかな不適合を正確に診断できる ・歯を削る量を抑え、健康な部分を多く残すことが可能 |
| 細菌の侵入経路を遮断 | ・セラミックの被せ物と歯の間に隙間ができないよう、ミクロン単位での調整が可能 ・細菌の侵入経路を物理的に断ち、二次う蝕などのリスクを減らせる |
| 感染源の徹底的な除去 | ・肉眼では見落としがちな歯石やプラーク、感染した部分を除去できる ・治療の成功率を高め、再治療のリスクを低減させる |
マイクロスコープを用いて、細菌が隠れる隙間や汚れを可視化した治療は、長期的な安心につながります。
インプラント周囲炎を防ぐ精密メンテナンスの重要性
インプラントを長く使うために大切なのは、インプラント周囲炎を防ぐことです。天然の歯には細菌の侵入を防ぐ歯根膜がありますが、インプラントにはそれがないため、感染するとインプラント周囲炎と呼ばれる炎症が早く進行してしまいます。
インプラント周囲炎は次のような流れで悪化していきます。
1.インプラント周囲粘膜炎:歯ぐきに炎症が起こり、歯みがきで出血しやすくなる
2.軽〜中等度のインプラント周囲炎:炎症が広がって顎の骨が少しずつ溶け始めるが、痛みなどの自覚症状はほとんどない
3.重度のインプラント周囲炎:骨の破壊が進み、インプラントがぐらついたり膿が出たりして、場合によっては除去が必要になる
初期には症状がほとんどなく、インプラント周囲粘膜炎であれば専門的なクリーニングで改善できる可能性があります。定期的な精密メンテナンスで清掃や噛み合わせの確認を続けることが、インプラントを長く守る方法です。
よくある質問(Q&A)

日々の診療で患者さんからよくいただくご質問として、以下の4つにお答えします。
①セラミックとインプラント、どっちが良い?
②金属アレルギーでも治療できる?
③前歯はセラミック?インプラント?
④セラミックインプラントはどこで受けられる?
①セラミックとインプラント、どっちが良い?
セラミックとインプラントのどちらの治療が適しているかは、ご自身の歯根が残っているかどうかで判断されます。歯の状態や目的によって選ぶ治療法が異なるため、以下のような特徴の違いを理解しておくことが大切です。
| 項目 | セラミック治療 | インプラント治療 |
| 治療の前提 | 歯の根が残っている | 歯の根がない(抜歯が必要) |
| 治療の目的 | 残っている歯の一部を補い、見た目と機能を回復 | 失った歯を人工の根から再建し、天然歯に近い機能を再現 |
| 主な特徴 | 比較的短期間で治療が可能 | 長期的な安定性と強度が高い |
無理に状態の悪い歯を残すと、周囲の骨を溶かすなどの悪影響が出ることがあります。精密検査で歯の根の状態を確認し、医学的にメリットが大きい方法を選ぶことが重要です。
②金属アレルギーでも治療できる?
金属アレルギーがある方や、金属の使用に不安がある方でも安心して治療を受けられます。心配な場合は事前にパッチテストなどのアレルギー検査を受けておくとより安心です。
セラミック治療では、金属を一切使わないオールセラミックやジルコニア素材を選ぶことで、アレルギーのリスクを避けることができます。インプラント治療でも、金属を使用しないジルコニアインプラントを選択することで、より安全性が高まります。
カウンセリング時には、金属アレルギーの有無や心配な点を医師に伝え、ご自身に合った素材や治療方法を提案してもらいましょう。
③前歯はセラミック?インプラント?
前歯の治療では、噛む力だけでなく見た目の自然さも重視されます。どちらを選ぶかは、歯根が残っているかどうかで判断されます。
以下の表で、それぞれの治療法の特徴をまとめています。
| 状況 | 適した治療法 | 特徴・内容 |
| 歯の根が残っている場合 | セラミック治療 | ・歯の変色、すき間、形の修正に適している ・ラミネートベニアで歯の表面に薄いセラミックを貼る ・オールセラミッククラウンで歯全体を覆い、自然な白さを再現できる ・短期間で仕上がり、天然歯に近い見た目を実現 |
| 歯の根がない場合 | インプラント治療 | ・人工の歯根を埋め込み、その上にセラミックの歯を装着 ・噛む力と見た目の両方を回復できる ・前歯など審美性が求められる部位では、白いジルコニアインプラントが推奨される ・長期的に安定した仕上がりが期待できる |
どちらの治療も、見た目と機能を両立させるためには精密な技術と適切な設計が欠かせません。
④セラミックインプラントはどこで受けられる?
セラミックインプラント(ジルコニアインプラント)は、専門技術と設備が必要なため、どの歯科医院でも受けられるわけではありません。安心して治療を受けるために、次の3つのポイントを確認しましょう。
- 治療実績と専門性を確認する:ジルコニアインプラントの実績や症例写真がある医院を選ぶ
- 設備が整っているか確認する:歯科用CT機器やCAD/CAM機器があるなど、精密な治療ができる病院であるか見る
- カウンセリングが丁寧か確認する:治療内容や費用、リスクまでしっかり説明してくれるかを確かめる
説明がわかりやすく、質問にも丁寧に答えてくれる医院なら、治療中も安心して通えます。信頼できる歯科医院を選ぶことが、満足のいく結果への第一歩です。
まとめ
セラミックとインプラントは似ているようで、ご自身の歯根を残せるかという点で適応が異なる治療です。
歯が残せるならセラミック治療、根っこから失ってしまったならインプラント治療が選択肢となります。近年ではジルコニアのような金属を使わない素材も登場し、選択肢は広がっています。
どの治療がご自身に最適かを知るためには、歯科医師による精密な診断が欠かせません。まずは信頼できる歯科医院へ相談し、ご自身の希望や不安をしっかりと伝えたうえで、納得できる治療法を一緒に見つけていきましょう。
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