【医師監修】セラミック治療とは?種類や費用、メリット・デメリットを徹底解説

笑うと見える銀歯や黄ばんだ差し歯など、口元のコンプレックスで、心から笑うことをためらっていませんか。口元の悩みは、天然歯と見分けがつかないほどの美しさを実現するセラミック治療が解決の鍵かもしれません。

セラミックは見た目の美しさだけでなく、変色に強く、虫歯の再発リスクが低いのも大きな魅力です。近年の研究では耐久性が9年以上と報告されており、強度の高さが証明されています。(※1)

この記事では、セラミック治療の種類や費用、銀歯との違いを解説します。後悔しない選択のために、メリットとデメリットを正しく理解し、あなたに最適な治療法を見つけましょう。

この記事を監修した医師

明石 陽介
Akashi-Yosuke

愛知学院大学歯学部卒業

口腔外科、一般歯科診療に携わり
現在は、愛知県内の歯科医院にて訪問歯科診療を中心に活動。通院が難しい方にも安心して歯科治療を受けていただけるようサポート。
義歯治療や摂食嚥下の支援にも力を入れ、患者様一人ひとりの生活に寄り添った診療を大切にしている。


セラミック治療とは?

セラミック治療は、「笑うと銀歯が見えて気になる」「食事中に金属の味がする」といった見た目や機能の悩みを解決できる歯科治療の一つです。虫歯治療などで歯を削った部分を補う詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)に、セラミックという陶材を用います。

セラミック治療の理解を深めるために、「①治療の目的・特徴」と「②銀歯・CAD/CAM冠」との違いを詳しく解説します。

治療の目的と特徴

セラミック治療の目的は、大きく分けて審美性と機能性の回復の2つです。銀歯や歯の着色・変色が気になる部分を、自身の天然歯のような自然な見た目に整えます。

セラミック治療は、虫歯で削った部分を精密に補い、しっかりと噛む機能を回復させることも重要な目的です。歯と補綴物(詰め物・被せ物)の適合性が高く、歯を長持ちさせることにもつながります。

セラミック治療の特徴は、以下のとおりです。

特徴具体的な内容
自然で美しい見た目・天然歯の透明感や個々人の異なる歯の色合いに寄り添う仕上がり
・変色しにくく長期間きれいな状態を保ちやすい
体への優しさ(高い生体親和性)
・金属を一切使わないオールセラミックの場合、金属アレルギーの心配がない
・表面が滑らかで汚れが付着しにくく、虫歯の再発リスクを抑えることが可能
優れた耐久性強度が高く、飲食物による着色や傷がつきにくい

セラミックは、適切なセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスにより、長期間安定した状態を保つことが可能になります。

虫歯治療では、保険が適用される銀歯(金銀パラジウム合金)やCAD/CAM冠(白いプラスチックのブロック)も選択できます。

銀歯・CAD/CAM冠との違い

セラミック治療との違いは以下のとおりです。

項目具体的セラミック銀歯CAD/CAM冠
見た目天然歯に近い自然な白さと透明感があり、変色しにくい銀色で目立つ白色だがセラミックより透明感は劣り、経年的に変色しやすい
耐久性硬くてすり減りにくいため、長期間の使用に耐える強度は高いが、硬すぎて周りの歯を傷めることがあるセラミックより柔らかく、すり減りやすい
虫歯の再発リスク汚れが付着しにくいため、リスクが低い金属が劣化して歯との間に隙間ができやすく、再発のリスクがある表面に汚れが付着しやすく、再発のリスクがある
体への影響金属アレルギーの心配がない(オールセラミックの場合)金属アレルギーを引き起こす可能性があり、歯ぐきが変色することもある金属アレルギーの心配はない
費用金属自由診療のため比較的高額保険適用のため安価条件を満たせば保険適用

セラミックは費用面では高額になります。しかし、見た目の美しさや体への優しさ、歯を長持ちさせるという点で、保険適用の素材にはない多くの利点を持っています。

セラミック治療の種類

セラミック治療には、さまざまな種類があります。それぞれに特徴や適した場所が異なるため、歯科医師と相談することが大切です。

ここでは、代表的なセラミックの種類として、以下の5つを紹介します。

種類審美性強度適応部位費用目安(税込)
ラミネートベニア◎ とても自然△ 薄く割れやすい前歯のみ約8〜20万円/1本
オールセラミック◎ 天然歯に近い透明感○ 通常使用で問題ない前歯〜小臼歯約10〜20万円/1本
ジルコニアセラミック○ 種類により透明感に差◎ 非常に強い前歯〜奥歯約10〜20万円/1本
ハイブリッドセラミック△ やや劣る△ 経年で劣化の可能性あり小臼歯〜前歯
※保険適用条件あり
約5〜15万円/1本
メタルボンドセラミック○ 色調は調整可能だが透明感は劣る◎ 内部に金属で高強度奥歯、ブリッジなど広範囲約8〜15万円/1本

①自然で美しい仕上がりのラミネートベニア

ラミネートベニアは、主に前歯の見た目を集中的に改善するための治療法です。歯の表面をごくわずかに(0.3〜0.5mm程度)削ったあと、セラミック製のネイルチップのような薄い板を貼り付けます。歯を削る量が少ないため、歯への負担を抑えられるのが特徴です。

ラミネートベニアは以下のような方におすすめです。

  • ホワイトニングで白くならなかった歯の色を改善したい方
  • 前歯の歯と歯の間のわずかな隙間(すきっ歯)が気になる方
  • 歯の先端が少し欠けていたり、形が不揃いだったりする方
  • 短期間で前歯の見た目を整えたい方

ラミネートベニアは歯を大きく削る必要がないため、治療期間が比較的短い利点があります。しかし、セラミックが薄く、強い衝撃で割れる可能性があります。

元の歯の色が濃い場合は、完全に隠しきれないこともあるでしょう。噛み合わせの状態によっては適応できない可能性もあるため、事前の診断が重要です。

②審美性と生体親和性に優れたオールセラミック

オールセラミックは、金属を一切使わず100%セラミック素材だけで作られており、インレーやクラウンとして用いられます。

オールセラミックの主な特徴は以下のとおりです。

特徴具体的な内容
高い審美性・天然歯と見分けがつきにくいほど、自然で美しい仕上がりを期待できる
優れた生体親和性・金属を全く含まないため、金属アレルギーの心配がない
・体に優しく、金属の溶け出しによる歯ぐきの黒ずみも防げる
長期的な安定性・表面が滑らかで汚れ(プラーク)が付着しにくく、変色もほとんどしない
・長期間にわたって白く美しい状態を保つことができる

近年、オールセラミック用の素材としてリチウムダイシリケートが注目されています。リチウムダイシリケートの修復物は9年間の追跡調査で高い耐久性を示したと報告されており、適切な設計と管理のもとで、長期的に安定して機能することが期待できます。(※1)

ただし、強い力がかかる奥歯では、リチウムダイシリケートは割れるリスクが高いため注意が必要です。

③奥歯にも対応できる高強度なジルコニアセラミック

ジルコニアセラミックは、硬度が高く耐久性に優れたジルコニア製の被せ物です。その強度の高さから人工ダイヤモンドと呼ばれることもあり、噛む力が強くかかる奥歯の治療にも、安心して使用できるのが大きなメリットです。

ジルコニアセラミックは以下のような方におすすめです。

  • 強い力がかかる奥歯を白く自然な見た目にしたい方
  • 歯ぎしりや食いしばりの癖があり、修復物の破損が心配な方
  • 強度と美しさの両方を高いレベルで実現したい方
  • 金属アレルギーが心配な方

ジルコニアは安全性や審美性が高い素材ですが、種類によってはオールセラミックが持つ透明感にやや劣ります。一方、最近では透明感を高めたジルコニアも開発され、前歯にも問題なく使用できるケースが増えています。(※2)

④経済的で保険の白い歯よりも長持ちなハイブリッドセラミック

ハイブリッドセラミックは、セラミックの微粒子とレジン(歯科用プラスチック)を混ぜて作られた素材で行われる治療法です。セラミックの美しさと、レジンの持つ適度な柔軟性を兼ね備えた特徴を持ちます。

ハイブリッドセラミックの主な特徴は以下のとおりです。

特徴具体的な内容
経済性オールセラミックやジルコニアに比べて費用を抑えられる
体への優しさ適度な柔らかさがあるため、噛み合う相手の歯を傷つけにくい
審美性と耐久性レジンよりも変色しにくく、強度も高い傾向にある

オールセラミックなどの純粋なセラミック素材と比較すると、ハイブリッドセラミックは長期間の使用で水分を吸収し、少しずつ変色する可能性があります。強度も劣るため、強い力がかかる部位では摩耗や破損のリスクが高まります。

しかし、費用をできるだけ抑えたい方にとっては、ハイブリッドセラミックは検討価値があるでしょう。小臼歯など、一定の条件を満たせば保険が適用される場合もあります。(※3)

⑤金属で補強された耐久性の高いメタルボンドセラミック

メタルボンドセラミックは、内側に金属のフレーム(土台)を使い、その外側にセラミックを焼き付けた被せ物です。セラミック治療のなかでは長い歴史と豊富な実績があり、信頼性の高い治療法の一つです。

メタルボンドセラミックの主な特徴は以下のとおりです。

特徴具体的な内容
高い耐久性・内側が金属で補強されているため、丈夫で割れにくい
・奥歯など、強い力がかかる部位にも問題なく使用できる
豊富な実績長年にわたって多くの症例で使用されてきた安心感がある

一方で、メタルボンドは内側の金属が光を遮断するため、オールセラミックほどの透明感は出せません。長年使用して歯ぐきが下がると、歯と歯ぐきの境目の金属部分が見えて黒い線のように見えるブラックマージンという現象が起きることがあります。金属アレルギーをお持ちの方にも使用できません。

審美性を最優先にする場合、オールセラミックやジルコニアが選ばれることが多くなりました。しかし、強度と信頼性から、現在でもメタルボンドは症例によっては有効な選択肢です。

セラミック治療のメリット

セラミック治療がもたらすメリットとして、以下の5つを紹介します。

①自然な見た目になる

②白さが長持ちする

③虫歯が再発しにくい

④耐久性が高い

⑤金属アレルギーの心配がない

①自然な見た目になる

セラミック治療のメリットの一つは、天然の歯と見分けがつかないほど、自然で美しい見た目に仕上がることです。

セラミックは天然の歯と同じような光の透過性を持つ素材です。光が当たると、天然歯と同様に複雑な反射と透過が起こり、自然な白さや輝きが生まれます。銀歯やレジンよりも、色調や透明感を天然の歯に近づけられます。

治療の際には、隣り合う歯の色や形に合わせて、歯科技工士が一つひとつ手作業で色味を調整します。各患者さんのお口に合わせた、オーダーメイドの歯を作ることが可能です。特に人目に付きやすい前歯の治療において、審美性の高さは大きな利点といえるでしょう。

②白さが長持ちする

セラミックの歯は、治療直後の美しい白さが長期間にわたって持続することも大きなメリットです。

保険診療で使われるレジンは水分を吸収する性質があり、コーヒーやお茶、カレーなどの色の濃い飲食物の色素を取り込みやすいです。色素を吸収して時間が経つと、徐々に黄ばんだり変色したりしてしまいます。

しかし、セラミックは陶材であり、表面が滑らかで緻密な構造をしています。水分や色素をほとんど吸収せず、汚れ(プラーク)も付きにくい素材です。毎日の食事で色の濃いものを楽しんでも、変色の心配はほとんどありません。

もちろん、適切なケアを怠れば汚れは付着します。しかし、日常の丁寧な歯磨きと歯科医院での定期的なクリーニングを続けることで、白く輝く歯を長く保てます。

③虫歯が再発しにくい

虫歯が再発しにくいことも、セラミック治療のメリットです。

治療した歯が再び虫歯になることを二次虫歯(二次う蝕)と呼びます。二次虫歯は、歯と詰め物・被せ物との間にできたごくわずかな隙間から、虫歯菌が侵入することで発生します。二次虫歯になると、詰め物や被せ物を外して再治療が必要です。

セラミックは、コンピューター制御で精密に削り出して作製されるため、歯との隙間を小さくできる点が特徴です。実際に、セラミック修復物は歯との間に生じる隙間(辺縁隙間)が小さいことを示した研究報告もあります。(※4)

歯とセラミックの隙間が少ないと、虫歯菌の侵入経路を物理的に遮断でき、虫歯になりにくいでしょう。セラミックの表面は滑らかでプラークが付着しにくいため、細菌の温床になりにくい利点もあります。

一方、銀歯は、時間とともに接着剤が溶け出したり、金属自体がわずかに変形したりします。接着剤の溶出や金属変形は、歯との間に隙間につながり、虫歯菌が入り込みやすくなります。特にマイクロスコープを用いた精密な治療では、歯とセラミックの隙間を極限までゼロに近づけるため、二次虫歯のリスクをさらに抑えることが可能です。

被せ物の下で気づかないうちに虫歯が進行してしまうケースも少なくありません。

セラミックは歯を長期的に守り、再治療のリスクを減らすための有効な選択肢といえます。

④耐久性が高い

セラミックは、耐久性が高い点もメリットです。

セラミック治療で使われるジルコニアは、噛む力が強くかかる奥歯の治療にも、問題なく使用できるほどの強度を誇ります。食事の際にしっかりと咀嚼でき、すり減りにも強い点が特徴です。

ジルコニア以外のセラミックも長期的な耐久性が示されています。リチウムディシリケート製の被せ物は9年後も高い生存率を誇り、長期間にわたり臨床で機能することが示されています。(※1)

⑤金属アレルギーの心配がない

皮膚のかぶれや原因不明の体調不良といった金属アレルギーに悩まされる方がいますが、セラミック治療ではほとんど心配いりません。

金属アレルギーは、お口の中で金属が溶け出し、体内に取り込まれることで生じます。オールセラミックやジルコニアセラミックは、金属を一切使用していないため、金属アレルギーの発症を避けられます。

金属アレルギーだけでなく、セラミック治療は溶け出した金属の沈着で歯ぐきが黒ずんでしまうメタルタトゥーの心配もありません。体への優しさを考えた場合、セラミックは生体親和性が高く、安全な治療法といえるでしょう。

ただし、メタルボンドセラミックは金属を使用しており、金属アレルギーのリスクがあるため注意してください。

セラミック治療のデメリット

セラミック治療を検討する際に知っておくべきデメリットは、以下の3つです。

①保険適用外で治療費が高額になる

②割れたり欠けたりすることもある

③歯を多めに削る必要がある

①保険適用外で治療費が高額になる

一部の例外を除き、セラミック治療は公的医療保険が適用されないため、銀歯などと比べると、自己負担額は高額です。

セラミック治療には高品質な材料費だけでなく、精密な技術料も含まれます。天然歯のような自然な色と形を再現するには、高度な技術を持つ歯科技工士の手作業が欠かせないためです。精密な機器を用いて、歯にぴったりと合う補綴物を作製することが必要です。

セラミック治療と銀歯・CAD/CAM冠の自己負担額の違いを以下の表に示します。

治療の種類自己負担額の目安(1本あたり)
セラミック治療約3~20万円
CAD/CAM冠約5,000~1万円
銀歯約3,000~5,000円

初期費用は高額ですが、セラミック治療は長期的な視点で見ると利点もあります。セラミックは歯との適合性が高く、虫歯が再発しにくいため、再治療の回数を減らせる可能性があります。結果的に、生涯で歯にかかる総医療費を抑えられることも少なくありません。

セラミック治療費は医療費控除の対象になることも覚えておきましょう。医療費控除は、一年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告で税金の一部が戻ってくる制度です。ご自身のケースが対象になるかは、国税庁のページをご確認ください。

②割れたり欠けたりすることもある

現在の歯科用セラミックは大幅に強度が向上していますが、破損のリスクはゼロではありません。自身の天然の歯でも、強い力がかかれば欠けてしまうことがあるのと同じです。

特に、以下のような場合には破損のリスクが高まるため注意が必要です。

破損リスク具体的な内容
歯ぎしりや食いしばりの癖がある睡眠中の歯ぎしりは、セラミックが破損する原因になり得る
事故や転倒による強い衝撃スポーツや不慮の事故で顔を強くぶつけると、歯やセラミックが欠けることがある
硬いものを噛む習慣氷や硬い飴、ナッツ類などを頻繁に噛む習慣は、歯に過度な負担をかけ破損の原因になり得る

破損のリスクを軽減するために、歯科医院ではさまざまな対策を講じています。歯ぎしりの癖がある方には、就寝時に歯を守るマウスピース(ナイトガード)の装着がおすすめです。

万が一破損した場合に備え、多くの歯科医院では保証制度を設けています。保証制度を検討される方は、治療前に保証期間や保証範囲、適用条件をクリニックに確認してください。

③歯を多めに削る必要がある

セラミックの被せ物を作る際、銀歯などに比べて歯を削る量がやや多くなる場合があります。治療した歯を長期間にわたって健康に保てるよう、セラミックの強度と適合性を担保する必要があるためです。

セラミックはある程度の厚みを持たせることで、噛む力に耐える十分な強度を発揮します。厚みが不十分だと、食事中の力で割れてしまうリスクが高まるため、必要な厚みを確保できるだけのスペースを作ることが必要です。

歯と被せ物の適合性も重要です。歯と被せ物の間にできたごくわずかな隙間は、虫歯菌の侵入口となり、二次虫歯の原因になるためです。歯と被せ物の隙間が小さくなるように、歯を削って調整する必要があります。

セラミック治療で後悔しないために知っておきたい失敗例と対策

セラミック治療は、見た目の美しさや機能性の向上を目指せる一方で、選び方や治療過程に注意を払わないと、後悔につながることもあります。以下の表は、セラミック治療で起こりやすいトラブルと、それを防ぐためのポイントです。

失敗例主な原因主な対策
色が合わず浮いて見える色合わせの不足、歯科技工士の技術不足・治療前にシェードガイドで丁寧に色を確認
・技術力の高い技工士と提携する医院を選ぶ
割れた・欠けた噛み合わせの調整不足、素材選びのミス・噛み合わせを精密に診断できる医院を選ぶ
・歯ぎしりにはナイトガードを活用する
歯ぐきの境目が黒ずんだ被せ物の適合不良、金属溶出による変色・精密な型取りができる医院を選ぶ
・オールセラミックやジルコニアなど金属を使わない素材を選ぶ
歯がしみる・痛む歯の削りすぎ、神経への刺激・必要以上に削らない治療を行う医院を選ぶ
・治療後の保証制度の有無も確認する

これらの対策を意識することで、セラミック治療によるトラブルの多くは未然に防ぐことができます。治療前に不安な点はしっかり歯科医師に相談し、納得してから進めることが大切です。

セラミック治療の寿命はどのくらい?長持ちさせる秘訣

セラミック治療の寿命は適切なケアを行えば、10〜15年といわれています。長く使い続けるためには、日々のセルフケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスが重要です。以下のような習慣を心がけましょう。

【セラミックを長持ちさせるためのポイント】

  • 歯とセラミックの境目を丁寧に清掃する
  • フロスや歯間ブラシを毎日使う
  • 3か月〜半年ごとに歯科検診を受ける
  • 噛み合わせのチェックを定期的に行う
  • 専門的なクリーニングを受ける

特に歯と被せ物の境目は汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病の原因になることもあります。日常のケアとプロのサポートを両立させることが、セラミックを長持ちさせる秘訣です。

後悔しないセラミック治療のための歯科医院選びのポイント

セラミック治療で後悔しないためには、歯科医院選びが何より重要です。見た目だけでなく、機能面や将来的なトラブルを防ぐためにも、以下のようなポイントをチェックしておきましょう。 

  • カウンセリングが丁寧で、メリット・デメリットをしっかり説明してくれるか
  • 精密な診断・治療のための設備(マイクロスコープ、CTなど)が整っているか
  • 症例実績が豊富で、写真などを見せてくれるか
  • 連携している歯科技工士の技術は高いか
  • 治療後の保証制度やメンテナンス体制が充実しているか

これらの項目がしっかりしている医院は、治療の質が高く、万が一の際も安心して相談できます。

治療の精度を極限まで高める「マイクロスコープ精密セラミック治療」

セラミック治療の成否は、いかに歯とセラミックを精密に適合させられるかにかかっています。そこで効果を発揮するのが、肉眼の最大20倍以上で患部を拡大できるマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)です。

マイクロスコープを用いることで、以下のような精度の高い治療が可能になります。

  • 虫歯に侵された部分だけをミリ単位で確実に取り除き、健康な歯を最大限に残す
  • 歯とセラミックの間にすき間ができないよう丁寧に整え、二次虫歯を防ぐ
  • 接着前に歯をきれいに整え、しっかり密着して外れにくくする

「せっかく高い費用を払うなら、最高の精度で治療を受けたい」と考える方には、マイクロスコープ導入の有無を医院選びの基準にするのもおすすめです。

セラミック治療の費用や期間

セラミック治療にかかる費用相場や治療の具体的な流れ、通院期間の目安を解説します。治療計画を立てる際の参考にしてください。

種類別・部位別の費用相場

セラミック治療の費用は、保険適用外の自由診療のため、歯科医院によって設定が異なります。使用するセラミックの素材や治療する歯の部位によっても費用が変動するので、治療前に、必ず詳細な見積もりを確認しましょう。

歯1本あたりのセラミック治療の費用相場を、種類別で以下の表にまとめました。

種類費用相場(目安)
ラミネートベニア5~15万円
オールセラミック8~20万円
ジルコニアセラミック4~10万円
メタルボンド6~15万円

一般的に、前歯のように見た目の精密さが求められる部位は、費用が高くなる傾向にあります。より複雑な色調の再現や、高い技術を持つ歯科技工士による作業が必要になるためです。

費用だけで素材を選ぶことには注意が必要です。特に金属アレルギーの方は、金属が使用されるメタルボンドの使用は避けてください。自身の体質やセラミック治療に求める内容に合った種類を選択することが大切です。

自己負担額を軽減したい方は、医療費控除の活用も検討しましょう。

セラミック治療の流れ

セラミック治療は、カウンセリングからセラミック歯の装着まで、いくつかのステップを踏んで進められます。治療の全体像をあらかじめ知っておくことで、安心して治療に臨むことができます。

一般的な治療の流れは以下のとおりです。

1.カウンセリング・診査診断

2.事前処置(必要な場合)

3.歯の形成(土台づくり)

4.型取り

5.仮歯の装着

6.セラミック歯の試着と調整

7.装着

患者さん一人ひとりに合った治療を行うためにも、細かく確認をしながら進めていくことになります。

通院回数や治療期間の目安

セラミック治療にかかる期間は、お口の状態や治療する歯の本数によって異なり、一般的な目安は通院回数が2〜4回程度、治療期間が2週間〜1か月程度です。

ただし以下の表に示すようなケースでは、通院回数や治療期間が長くなることがあります。

通院回数や治療期間が長くなるケース具体的な内容
虫歯や歯周病の治療が必要な場合セラミック治療を始める前に、お口の中の環境を整える必要がある
歯の神経の治療が必要な場合根管治療は複数回の通院が必要となることが多く、治療期間も数か月に及ぶことがある
治療する歯の本数が多い場合複数の歯を治療する場合は、形成や型取りの工程が増え、通院回数も多くなる

最近では、セラミック歯を設計・作製できるCAD/CAMシステムを導入している歯科医院もあります。CAD/CAMシステムを利用する場合、最短1日で治療が完了することもあります。

ただし、CAD/CAMシステムは対応できる症例に限りがあるため、担当の歯科医師に直接確認しましょう。

まとめ

セラミック治療は、銀歯の見た目や金属アレルギーといったお悩みを解決できる優れた選択肢です。自然な美しさだけでなく、虫歯の再発リスクが低く、白さが長持ちするという健康面でのメリットも多くあります。

一方で、自由診療のため費用が高額になることや、強い衝撃で割れるリスクもゼロではありません。ご自身の希望(見た目・強度・費用など)を明確にし、納得のいく治療を受けることが大切です。

あなたのお口の状態やライフスタイルに合った最適な治療法を一緒に見つけていくためにも、セラミック治療を検討されている方はお気軽にご相談ください。


参考文献

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