「歯が1本抜けただけ」と、治療を先延ばしにしていませんか。先延ばしの判断が、将来のあなたの見た目や健康、数十万円単位のお金を失うことにつながるかもしれません。抜けた歯の放置という小さな問題が、全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、インプラント、ブリッジ、入れ歯の1本あたりの費用相場からメリット・デメリットまでを比較します。取り返しのつかない事態になる前に、あなたに最適な治療法を選択しましょう。
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この記事を監修した医師

医療法人あかり会歯科
脇田奈々子
Wakita-Nanako
大阪大学歯学部卒業後、同大学予防歯科学教室にて医員として勤務。
現在は大阪市内の歯科医院で、予防歯科からインプラント、矯正治療まで幅広く対応している。治療の先の心のケアにもつながる“医療としての美容歯科”として、ボツリヌス治療、ヒアルロン酸注入、リップアートメイクにも注力している。
「口元の健康と美を通じて、最後まで美味しく食べ、自信を持って笑える人生」をサポートすることを理念としている。
歯が抜けたまま放置するとどうなる?

歯が抜けたまま放置をすることで以下の症状が起きます。
- 噛み合わせや顔の歪み
- 隣の歯が倒れやすくなる
- 反対側の歯が延びてくる
- 虫歯や歯周病を発症しやすくなる
- 認知症を発症しやすくなる
歯はそれぞれが独立しているのではなく、すべての歯が連携して機能しているため、たった1本失われるだけで全体のバランスが崩れます。抜けた歯の放置は、お口の中だけの問題に留まらないので、注意してください。
噛み合わせや顔の歪み
歯が抜けたまま放置することのリスクの1つが、噛み合わせや顔の歪みです。
歯は上下左右で互いに力を支え合い、精巧なバランスを保っています。1本でも歯が抜けると、バランスがすぐに崩れ始めるでしょう。無意識のうちに抜けた部分での食べ物の咀嚼を避けるようになり、片側の歯ばかりで噛む癖がついてしまいます。
片側の歯に偏って噛む癖がつくと、顎の骨や筋肉に異常な負担がかかり、上下の歯の噛み合わせが徐々にズレていきます。噛み合わせのズレは、以下のような顎関節症の症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
- 口を開け閉めするとカクカク、ジャリジャリと音が鳴る
- 口が大きく開けられない、または開けると痛みがある
- 顎周りの筋肉に痛みやこわばりを感じる
噛み合わせの乱れは、顔の筋肉のバランスも崩してしまいます。片側の筋肉ばかりが使われることで、見た目にも影響を与え、顔の歪みにつながることがあります。
隣の歯が倒れやすくなる
隣の歯が倒れやすくなることも、歯が抜けたまま放置するリスクです。
歯が1本抜けると両隣の歯と反対側の噛み合っている歯は支えを失ってしまい、空いたスペースに向かって徐々に傾斜したり、移動したりします。歯が移動すると、以下のような問題が起こります。
- 歯並び全体の乱れ
- 噛む機能の低下
- 将来の治療への悪影響
歯が抜けたスペースは、時間が経つほど狭くなっていく傾向です。問題が悪化する前に、早めに対処することがおすすめです。
虫歯や歯周病を発症しやすくなる
歯が抜けたままの状態は、お口の中の衛生環境を悪化させる原因で、虫歯や歯周病のリスクを高めます。
歯が抜けて隣の歯が倒れ込んだり、反対側の歯が伸びてきたりすることで、歯と歯の間に複雑でいびつな隙間が生まれます。複雑な隙間には歯ブラシの毛先が届きにくく、食べかすや歯垢(プラーク)が溜まりやすくなってしまい、汚れの温床となりがちです。
汚れの蓄積は虫歯や歯周病につながるので、早めに抜けた歯の治療を行うことが大切です。
認知症を発症しやすくなる
歯が抜けたままにすると、口腔内の病気に加えて認知症も発症しやすくなります。
噛むことは、食事を楽しむだけでなく、脳の健康を維持するためにも重要です。歯を使って噛むことで物理的な刺激が脳に伝わり、脳の血流を増やして脳細胞を活性化させます。歯が抜けたままになると、噛む刺激が脳に届かず、脳細胞の機能が衰えかねません。
実際に、残っている歯の本数が少ない人ほど、アルツハイマー型認知症などを発症するリスクが高まるという研究結果が報告されています。(※1)
お口の健康を守ることは、生涯にわたって食事をおいしく食べるためだけではありません。将来の脳の健康を守ることにも直結する健康投資です。
歯が抜けたときの主な治療法
歯が抜けたときの主な治療法には、以下の3つがあります。
- ブリッジ治療
- 入れ歯(部分入れ歯)
- インプラント治療
ブリッジ治療
ブリッジ治療は、失った歯の両隣にある健康な歯を支柱(土台)にし、歯を削って形を整え、そこに橋をかけるように連結した人工の歯を被せて固定する方法です。固定式のため、入れ歯のように毎日取り外す必要はありません。
ブリッジ治療のメリットとデメリットは、以下の表のとおりです。
| メリット | デメリット |
| ・違和感が少ない ・固定式で装着後の違和感が少ない ・噛む力が強く食事の楽しみを損ないにくい ・見た目が自然 ・治療期間が短い ・保険が適用される場合がある | ・健康な歯を削る必要がある ・支えの歯に負担がかかる ・清掃が難しい ・適用できない症例がある |
入れ歯(部分入れ歯・総入れ歯)
入れ歯は、抜けた歯の部分に入れる人工の装置のことです。残っている歯に金属のバネ(クラスプ)をかけて固定します。1本でもご自身の歯が残っている場合は部分入れ歯を、すべての歯を失った場合は総入れ歯を使用します。
入れ歯のメリットとデメリットは以下の表のとおりです。
| メリット | デメリット |
| ・幅広い症例に対応できる ・健康な歯をほとんど削らない ・外科手術が不要 ・費用を抑えられる | ・違和感や異物感が出やすい ・噛む力が弱い ・ズレたり外れたりすることがある ・毎日の手入れが必要 |
インプラント治療
インプラント治療は、歯が抜けた部分の顎の骨にチタン製の人工歯根(インプラント体)を埋め込む手術を行い、上部に人工の歯を装着する治療法です。上部の人工歯にはセラミックや金属などの素材が使われます。
インプラントのメリットとデメリットを以下の表にまとめました。
| メリット | デメリット |
| ・天然歯のように噛める ・見た目が自然 ・周囲の歯を守れる ・顎の骨が痩せるのを防ぐ | ・外科手術が必要 ・治療期間が長い ・費用が高額になる |
インプラント治療は、技術の進歩が著しい分野です。細菌の付着を防いで感染リスクを低減させたり、骨との結合をより強固にしたりする研究も進められています。(※2)
治療法別の費用

歯が抜けたときの治療の費用は、健康保険の適用の可否や選択する材料の種類、お口の中の状態によっても変動します。ご自身の希望やライフスタイルと照らし合わせながら、治療法を考える参考にしてください。
治療法別の費用は以下のとおりです。
- ブリッジの費用(2〜50万円)
- 入れ歯の費用(5千〜50万円)
- インプラントの費用(30〜50万円)
ブリッジの費用(2〜50万円)
ブリッジの費用は、保険が適用されるか、より見た目や機能性を重視した自費治療を選ぶかによって2〜50万円と幅があります。健康保険が適用される場合、1本の歯を補うのに約2〜4万円(3割負担)が費用の目安です。
ブリッジ治療は、費用を抑えられる点がメリットです。一方、見た目が目立ちやすい、金属アレルギーのリスクがある、時間とともに変色しやすいなどのデメリットもあります。
自費治療を行う場合、以下のように素材を自由に選べるため、より自然で美しい見た目と高い耐久性を実現できます。
| 素材の種類 | 費用の目安(3本連結の場合) | 主な特徴 |
| ジルコニアボンド | 40〜60万円 | ・強度の高いジルコニアのベースに表面にセラミックを盛っているのでより天然歯に近い ・透明感があり自然な見た目。見た目と強度どちらも兼ね備えている |
| ジルコニア | 30~50万円前後 | ・人工ダイヤモンドと呼ばれるほど強度が高い ・奥歯など、強い力がかかる部分にも使用可能 ・見た目が白く、耐久性にも優れる |
自費治療は高額ですが、審美性や長期的な安定性を求める方にとって、満足度の高い選択肢となるでしょう。
入れ歯の費用(5千〜50万円)
入れ歯治療は、保険適用と自費治療で使い心地が変わり、5千〜50万円と費用も違います。
保険適用の入れ歯は、3割負担の場合、部分入れ歯で約5千〜1.5万円、総入れ歯で約3万円が目安です。費用を安く抑えられる一方で、厚みがあるため違和感が出やすい、食べ物の温度が伝わりにくい、留め具の金属が目立つなどの欠点もあります。
自費診療の入れ歯治療では、より快適で見た目が良く、機能的な入れ歯を作ることが可能です。自費診療の入れ歯治療の種類と費用の目安は、以下のとおりです。
| 種類 | 費用の目安 | 主な特徴 |
| 金属床義歯 | 30~50万円前後 | ・歯茎に触れる部分が薄い金属でできている ・違和感が少なく、食べ物の温度が伝わりやすい ・丈夫で長持ちし、変形しにくい |
| ノンクラスプデンチャー | 15~40万円前後 | ・金属のバネがないため、見た目が自然で目立たない ・柔らかい素材で歯茎にフィットしやすく、装着感が良い |
インプラントの費用(30〜50万円)
インプラント治療は、1本あたり30〜50万円が一般的な相場です。一部の特殊なケースを除き、原則として保険が適用されない自費治療となります。治療費には、通常、以下のような内容が含まれています。
- 診断・検査料(CT撮影)
- 手術料
- 材料費
歯科医院によっては、これらを別々に提示している場合もあるため、事前に総額でいくらかかるのかを確認することが大切です。
顎の骨の量が不足している場合には、骨を増やすための追加手術(骨造成)が必要になることもあります。骨造成を行う場合の費用は、別途5〜30万円程度です。
インプラント治療は、保険適用されないものの、医療費控除の対象となる場合があります。治療を行う前に、医療費控除の対象になるか歯科医院に尋ねてみましょう。
保険適用の有無と自費治療の違い
歯が抜けたときの治療は、保険診療と自費診療の2つです。どちらを選ぶかによって、治療法や使用できる材料、費用が変わります。
ここでは、保険適用と自費診療の違いに関する以下の4つの内容を解説します。
①保険でできる治療とできない治療
②保険でできる治療
③保険でできない治療
④自費診療のメリットとデメリット
保険でできる治療とできない治療
保険でできる治療とできない治療の違いは、使用できる材料と治療法の選択肢の幅にあります。それぞれの治療法が保険適用されるのか、下の表で確認してみましょう。
| 治療法 | 保険適用 | 自費診療 |
| ブリッジ | ◯(銀歯、硬質レジンなど) | ◯(セラミック、ジルコニアなど) |
| 入れ歯 | ◯(プラスチック製) | ◯(金属床、ノンクラスプデンチャーなど) |
| インプラント | ×(原則として適用外) | ◯ |
保険でできる治療
保険でできる治療としては、銀歯や、プラスチック製の入れ歯があります。
保険診療の目的は、あくまで失った歯の機能を回復させることです。見た目の美しさ(審美性)よりも機能性が優先されます。
ブリッジでは一般的に銀歯と呼ばれる金属か、条件を満たせば硬質レジンも使えます。銀歯は見た目が目立ち、金属アレルギーのリスクがある一方、プラスチックは強度に限界があるため奥歯には使えません。時間が経つと水分を吸収して変色しやすい欠点もあります。
入れ歯は費用を安く抑えられますが、厚みを持たせる必要があるため、装着時に違和感が出やすいです。食べ物の味や温度が伝わりにくく、食事を楽しみにくいと感じる方もいます。
保険でできない治療
審美的な要素が強い以下の治療は、原則として保険適用されません。
- インプラント
- 審美性の高い入れ歯
- 天然歯に近い透明感を持つジルコニアボンド
- 強度と美しさを両立したジルコニア
- 薄くて丈夫な金属で作られた入れ歯(金属床義歯)
自由診療は自己負担額が高くなる一方、材料や治療法に制限がないため、質の高い選択が可能です。
自費治療のメリットとデメリット
自費診療は費用が高くなりがちな一方で、金額に見合う多くのメリットがあります。デメリットも正しく理解したうえで、ご自身に合った治療法を選ぶことがおすすめです。
自費治療のメリットとデメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
| ・見た目が自然で美しい ・機能性や耐久性が高い ・身体に優しい材料を選べる ・先進的な材料の選択肢がある | ・費用が高額になる ・治療期間が長くなることがある |
費用だけでなく、見た目や機能性、将来的な再治療のリスクなども含めて総合的に判断することが、後悔しない治療選びにつながります。
費用を抑えるために知っておきたいこと

最終的な金銭的負担を軽くするために、事前に知っておきたい以下の3つのポイントを解説します。
- 治療後まで含めた総額で考える
- 長く使える治療が結果的に負担を減らす
- セルフケアが重要となる
治療後まで含めた総額で考える
治療には初期費用だけでなく、メンテナンスの費用もかかるため、最初に提示される金額だけを見て判断することは避けてください。
それぞれの治療法にかかる初期費用とメンテナンス費用は、以下のように違います。
| 治療法 | 初期費用 | 治療後の費用 |
| ブリッジ | 保険適用なら比較的安価 | ・定期的なクリーニングが必要である ・破損すると、ブリッジごと作り直す可能性がある ・支台歯の神経の治療が必要になる可能性がある |
| 入れ歯 | 保険適用なら最も安価 | ・数年ごとに作り直しや調整が必要になる可能性がある |
| インプラント | 自費治療のため高額 | ・定期メンテナンスが必須 ・適切に管理すれば長期間使用できる可能性が高い |
初期費用が最も安い入れ歯(保険診療)でも、数年おきに作り直していけば、総額では他の治療法と変わらないこともあります。治療計画を立てる際は、メンテナンス費用や再治療のリスクも含めたトータルコストを歯科医師にしっかり確認しておきましょう。
長く使える治療が結果的に負担を減らす
歯が抜けた後、長く支える治療を選ぶことが費用面での負担を減らせます。どれだけ長持ちするかという耐久性を基準にして、治療法や使用する素材を選んでください。安価な素材は、数年で劣化したり、壊れたりして再治療が必要になることがあります。
丈夫で長持ちする素材としては、オールセラミックやジルコニアが代表例です。初期費用が高いものの、耐久性が高くて壊れにくいので、結果的に経済的な負担の軽減につながることがあります。
セルフケアが重要となる
歯が抜けた後の治療費を抑えるためには、セルフケアが重要です。どのような治療法を選んでも、歯を長持ちさせるためには、治療後の日々のセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。
お手入れを怠れば、虫歯や歯周病になり、再治療が必要になってしまいます。治療後のセルフケアは、以下の点を特に意識しましょう。
- 歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやスーパーフロスを使う
- 毎食後や就寝前に入れ歯を外し、専用のブラシで優しく洗浄する
- インプラント専用の歯ブラシや歯間ブラシを使用する
スーパーフロスとは、糸の両端が硬くなっている特殊なフロスのことです。セルフケアだけでは落としきれない汚れもあるため、数か月に一度は歯科医院で専門的なクリーニングや検診を受けることが、歯の寿命を延ばす鍵となります。
治療の選び方と注意点
歯が抜けたあとの治療法を選ぶ際には、目先の費用だけにとらわれないことが重要です。ご自身のお口の状態やライフスタイル、将来の健康まで含めて総合的に考えることが、後悔しない治療選びに欠かせません。
治療法の選び方と注意点の3つのポイントは以下のとおりです。
- 残っている歯の状態や年齢で選ぶ
- 精密な診断・治療が長期的なコストを左右する
- 治療後のメンテナンス費用も考慮する
残っている歯の状態や年齢で選ぶ
どの治療法が最適かは、お口の中の状態や年齢、生活スタイルによって異なります。特徴を理解して選択することが大切です。
以下の表を参考に、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
| 治療法 | おすすめな方 | 注意すべき点 |
| ブリッジ | ・年齢が若い方 ・両隣に健康で丈夫な歯がある方 ・外科手術を避けたい方 | ・健康な歯を大きく削る必要がある ・支えとなる歯に負担がかかる ・清掃が難しい |
| 入れ歯 | ・多くの歯を失った方 ・高齢の方 ・全身疾患がある方 ・費用をできるだけ抑えたい方 ・外科手術が困難な方 | ・違和感や話しにくさ、ズレが出やすい ・硬いものが噛みにくいことがある ・バネをかける歯に負担がかかる ・定期的な調整や作り直しが必要になることがある |
| インプラント | ・見た目や噛み心地を天然の歯に近づけたい方 ・残っている健康な歯を削りたくない方 ・食事や会話を心から楽しみたい方 | ・外科手術が必要になる ・治療期間が長い ・費用が高額になる ・全身の健康状態によっては適用できない場合がある ・治療後の定期メンテナンスが必須 |
精密な診断・治療が長期的なコストを左右する
治療後も長期的に安定した状態を保つためには、治療前の精密な診断が欠かせません。精密な情報にもとづいた治療計画は、治療の成功率を高め、合併症のリスクの低減が可能です。
使用する材料の選択も長期的なコストに関わります。先進的な材料は、長期的な安定性や再治療リスクの低減に貢献する可能性があります。適切な材料を選ぶことは、将来のコストを抑えるための賢明な投資です。
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)のような精密治療が可能な機器を使うことも、長期的なコストを下げる選択肢の一つです。患部を拡大して診断・治療ができ、インプラント周囲炎などのリスクも低減できます。(※3)
治療後のメンテナンス費用も考慮する
治療した歯を長く快適に使い続けるためには、セルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスが必要です。歯科医院では、検診や専門的なクリーニング、清掃方法の指導などが行われます。
治療後の1回あたりのメンテナンス費用は、保険適用の場合は数千円、インプラントなど自費診療では5,000〜15,000円程度が一般的です。治療法を選択する際には、治療にかかる初期費用だけでなく、将来的なメンテナンス費用も含めた総額で考えましょう。
後悔しない医院選びのポイント
後悔しない医院選びのポイントは以下のとおりです。
- 丁寧にカウンセリングしてくれるか
- マイクロスコープやCTなどの設備が整っているか
- 治療後までしっかりサポートしてくれるか
丁寧にカウンセリングしてくれるか
信頼できる医院かどうかを見極めるために、カウンセリングで以下の点を確認してみましょう。
- 複数の選択肢を公平に提示してくれるか
- 費用の内訳が明確か
- 質問しやすい雰囲気があるか
カウンセリングは、あなたと歯科医師が治療のゴールを共有するうえで大切なステップです。少しでも疑問や不安を感じたら、遠慮することなく質問してから治療に進みましょう。信頼できないと判断した場合は、別の歯科医院を切り替えることがおすすめです。
マイクロスコープやCTなどの設備が整っているか
治療の質や安全性は、歯科医師の技術力だけでなく、使用する設備によっても左右されます。以下のような設備が整っていれば、精密な診断・治療が可能であり、質の高い治療を受けられる可能性が高いです。
| 設備 | 設備の説明 |
| 歯科用CT | 顎の骨の厚みや高さ、神経や血管の正確な位置などを、三次元の立体画像で詳細に把握するための装置 |
| マイクロスコープ | 肉眼の数倍〜20倍以上にまで視野を拡大して、患部を直接見ながら治療を行うための装置 |
精密な診断・治療設備は、日々進化する優れた歯科材料の性能を引き出すためにも不可欠です。優れた材料を選んでも、お口の状態を正確に診断できる設備や、精密な治療を行う技術がなければ、真価を発揮させることはできません。
治療後までしっかりサポートしてくれるか
どんなに質の高い治療を受けても、治療後のケアを怠れば、再びトラブルが起きてしまう可能性があります。治療後のサポート体制が整っているかどうかも、医院選びの重要なポイントです。
治療後のサポートでは以下の点を確認しましょう。
- 継続的なフォロー体制があるか
- 専門家によるメンテナンスが受けられるか
- 万が一のトラブルに迅速に対応してくれるか
優れた素材・設備で治療しても、歯科医院によるプロフェッショナルなサポートがなければブリッジ・入れ歯・インプラントを長持ちさせられません。
まとめ
失った歯を放置することは、見た目の問題だけでなく、噛み合わせの乱れや残っている歯への悪影響など、将来的にトラブルを引き起こす可能性があります。
歯が抜けた後の治療法にはブリッジ、入れ歯、インプラントなどの選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。保険適用か自費治療かによって費用も大きく異なるため注意してください。
目先の費用だけで判断するのではなく、ご自身のライフスタイルや将来のお口の健康まで見据えて、総合的に考えることが大切です。
どの治療法が最適かは、一人ひとりのお口の状態によって異なります。後悔しない選択のために、まずは信頼できる歯科医院でしっかりと相談し、ご自身が納得できる治療法を見つけることから始めましょう。
参考文献
- Tsuneishi M, Yamamoto T, Yamaguchi T, Kodama T, Sato T.Association between number of teeth and Alzheimer’s disease using the National Database of Health Insurance Claims and Specific Health Checkups of Japan.PLoS One,2021,16(4),e0251056.
- Natarajan P, Kumar SM, Natarajan S, Sridharan DKS, Narayana Kalkura DS. “Nano-particle coated or impregnated acrylic resins in dental applications: A systematic review of in Vivo Evidence on mechanical properties, biocompatibility and clinical performance.” Journal of oral biology and craniofacial research 15, no. 6 (2025): 1190-1199.
- Chiang Y-C, Sirinirund B, Rodriguez A, Velasquez D, Chan H-L.Operating microscope-assisted reconstructive strategy for peri-implantitis: A case series report.Clin Adv Periodontics,2024,14(3),149-156.
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