編集部コラム | 【医師監修】歯磨きの時間はどのくらいが最適か

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みなさんは、1回の歯磨きに何分くらい時間をかけていますか?

今回の記事では歯磨きをする上で知って欲しい、以下のポイントをお伝えしていきます。

 ・歯磨きをする上で一番大切なこと

 ・理想的な歯磨きの時間

 ・歯を磨きすぎることで起きてしまうデメリット

最後まで読むことで病気を予防する正しい歯ブラシの知識が身につきますので、是非ご一読ください。

 

目次

まずは歯磨きにかける時間よりも大切なことを抑えましょう
歯磨きにかける理想的な時間
歯磨きが長すぎることのデメリット
まとめ

 

まずは歯磨きにかける時間よりも大切なことを抑えましょう

 
まずは歯磨きをする上で一番大切なこと。

それは、自身に合った歯ブラシでしっかりと汚れを取ることと、歯間清掃用具を使うことの2つです。

 

【しっかりと汚れを取る】

歯磨きをする上で大切なことは、当然ですが汚れがしっかりと取れていることです。テレビやスマホを見ながら、同じところばかり磨いていては何分かけても全体の汚れが取れません。

可能であれば手鏡を使って、難しいようであれば洗面所の鏡の前で、自分がどこを磨いているのか確認しながら歯磨きをするようにしましょう。

歯科医院では、磨き残しを赤く染め出して、磨けていない部分を確認してもらえます。実際に染め出して確認すると、意外と汚れが落とせていないことがよくわかります。

今は市販品もありますので、それを活用してもいいと思います。

 

【歯間清掃用具を使う】

時間をかけて丁寧に磨いたとしても、残念ながら歯ブラシだけでは限界があります。

歯ブラシで磨けるのは、歯の表面と咬む面の溝だけです。虫歯になりやすい歯と歯の隣接面の汚れは取れません。

歯と歯の隣接面の汚れは、フロスや歯間ブラシなどの歯間清掃用具を使うことで落とせます。

歯ブラシと歯間清掃用具をセットで使うことではじめて、お口全体の汚れが取れます。

歯並びによってはフロスや歯間ブラシが使いにくい人もいるかと思います。フロスは指に巻くタイプやホルダーが付いているもの、歯間ブラシは材質やサイズが様々です。歯科医院で、自分にはどのタイプがあっているのか教えてもらうと良いでしょう。

 

歯磨きにかける理想的な時間

 
上記を踏まえて歯磨きにかける理想的な時間はどれくらいでしょうか。

歯並びや指の器用さによって個人差があるのですが、最低でも5分以上磨くようにすると良いでしょう。

 

【歯磨きは最低でも5分以上】

通常子供の歯は20本、大人の歯は28本あります。

歯を磨く時は、奥歯1~1.5本くらいのサイズの歯ブラシを使い、頬側・舌側・咬む面の3つの面を意識して磨くようにしましょう。

その際は、歯と歯茎の溝の汚れを取るようにすると歯周病予防の効果も高まります。

磨くときに、左上から順番に磨く、など自分の中で磨く順番を決めておくと磨き残しが少なくなります。また、利き腕側の前から3~4本目あたりの歯は、ブラシの向きを替える部分なので磨き残す人が多く、注意が必要です。

以上のように、気をつけて磨いていると最低でも5分はかかるでしょう。

目安は、上の歯2分、下の歯2分、仕上げに全体1分の計5分です。

また、歯ブラシも定期的に交換するようにしましょう。ブラシの先が開いていなくても、ブラシのコシがなくなってしまうと清掃効果は落ちてしまいます。

1ヶ月毎に交換するのがオススメです。

 

【夜寝る前の仕上げ磨きが一番重要】

忙しくて歯ブラシの時間が取れない人もいるかと思います。そういう人でも、夜寝る前の歯磨きだけはしっかり行うようにしましょう。

夜寝ている間は、唾液の分泌量が半分以下に減少してしまいます。唾液の効果として、虫歯の細菌の活動を抑える能力と、溶けた歯を再度固くする再石灰化の効果があります。

虫歯を防ぐ唾液の量が減ってしまう夜は、虫歯と歯周病の進行リスクが高くなります。寝る前にしっかりと歯磨きをして口の中の細菌の数をできるだけ少なくすることが重要です。

 

歯磨きが長すぎることのデメリット

 
歯ブラシと歯の模型歯磨きは長ければ長いほどよい、というわけではありません。
 
硬い歯ブラシで同じ箇所を長時間擦ることで歯の表面が削れたり、歯肉が傷ついて下がってしまったりといった問題が起こります。

 

【エナメル質が削れる】

硬い歯ブラシで長時間同じ箇所を擦ることで、歯の表面を覆っているエナメル質が削れてしまいます。表面のエナメル質が削れてしまうとその部分から虫歯になりやすくなったり、冷たいものがしみやすくなったりする知覚過敏が起こります。

軽度であれば、経過観察で大丈夫ですが、多くのエナメル質が削れてしまうと歯科医院で詰め物などをする必要があるので注意しましょう。

歯磨きは、表面の汚れだけを取れれば良いので、一本の歯に対して10~20回程度磨くだけで大丈夫です。

 

【歯肉が痛む】

長時間の歯ブラシは歯茎も傷つきます。

歯茎が傷ついては治ることを繰り返していくうちに、歯茎のラインが下がる歯肉退縮を起こしてしまいます。

歯肉退縮を起こしてしまうと、汚れが付きやすい形状になるだけではなく、歯の根が露出してしまうので、知覚過敏も起こりやすくなります。

一度下がってしまった歯茎のラインは修復することが難しいため、予防することが重要になります。

歯周病予防のためには、基本的に普通か柔らかめの歯ブラシを使うようにしましょう。

 

まとめ

 

この記事では、歯磨きに必要な時間や気をつけるべきことについてお伝えしてきました。

歯ブラシで重要なのは、時間ではなく、汚れを取り切ること。その際には、自身にあった正しい道具を選んで歯だけではなく、歯の隣接面の汚れを取ることも大切です。

自分でやっているやり方が正しいのか不安な場合は、歯科医院で聞いてみましょう。正しいやり方やその人の歯並びにあった道具を教えてもらえるので、一度相談してみてはいかがでしょうか。

 

※電動歯ブラシを使われている方は、こちらの記事もお読みください

電動歯ブラシの意外な落とし穴 →

 

この記事の執筆監修者

 
dr-hirakawa平河 貴大 先生 (ひらかわ歯科医院 院長)

■経歴

九州大学 農学部 卒業

九州大学 歯学部 卒業

九州大学病院にて研修後、ウェルカムデンタルクリニックにて研鑽

■所属学会

日本歯科保存学会

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