歯科医院で治療をしていて、歯科医師・歯科衛生士に「フェストゥーンがありますね」などと言われたことはありませんか?
普段の生活においては、あまり聞きなれない言葉かと思います。
今回はこのフェストゥーンについて、それは一体どういうものなのか、また日々どういったことに注意しなければいけないのか、などを解説します。
フェストゥーンとは何のことか

フェストゥーン(festoon)とは、歯ぐきの辺縁、歯に近い側の部分の歯ぐきがロール状(帯状)に腫れぼったくなった(肥厚した)状態をいいます。
歯磨きの時にしっかり磨こうとして、やや硬めの毛の歯ブラシを使って、歯ぐきを強い刺激でゴシゴシ磨くことをオーバーブラッシングと言いますが、このオーバーブラッシングによってフェストゥーンができやすくなります。
逆に、歯磨きをおろそかにしていたりすると、歯磨きが行き届いていない部位に食べかす(プラーク)が長期間留まることになり、それが歯ぐきを刺激することに繋がってフェストゥーンができやすくなります。
よくできる場所としては、犬歯や小臼歯の外側(頰側)にできやすい、という特徴があります。
フェストゥーンにならないための予防法
フェストゥーンを予防するにはどうすればいいのでしょうか?
まず、適切なブラッシング圧について見てみましょう。
適切な歯ブラシを歯にあてる際にかける力は、約100〜200g程度が理想的と言われています。
これは、歯ブラシを歯に当てた時に、毛先が広がらないくらいです。
しっかり磨こうと思うあまり過度に力を加えてしまうと、毛先が広がってしまい、逆に清掃効率を下げることになります。
電動歯ブラシや、音波歯ブラシを使っている方も、この当てる力は意識して使うようにしましょう。

次に、噛み合わせについても確認する必要があります。
歯ぎしりや、食いしばりをしていませんか?
これは、自分で気づくことはなかなか難しく、家の人に指摘されないと気づくことができません。
歯の噛む面がすり減っていたり、下の歯の内側に丸い骨の張り出しがある方は、長い間、歯ぎしりや食いしばりをしている可能性があります。
歯ぎしりや食いしばりは、歯の縦方向や横方向など、様々な方向に、食事の時と比べて何倍もの大きな力がかかります。
この力は、周囲の歯ぐきや、歯を支える骨にもダイレクトに伝わってしまうので、歯ぐきにフェストゥーンができやすくなります。
歯ぎしりや、食いしばりの可能性がある方は、歯科医院で治療を相談しましょう。
もしかしたら、その関係で噛み合わせの治療も検討する場合が出てくるかもしれません。
強すぎるブラッシングはクレフトの原因になる可能性も

歯磨きをする際のブラッシングの力が強すぎると、オーバーブラッシングになってしまい、歯ぐきには様々な症状が現れます。
先ほどのフェストゥーンの他に、磨きすぎによる傷や、歯肉退縮、クレフトというのがあります。
磨きすぎによる傷は、歯ぐきに大小様々なアフタ、潰瘍ができるものです。
歯ブラシが当たって痛かった、など、ご本人にも思い当たる出来事がある場合が多いです。
歯肉退縮はフェストゥーンの逆で、歯磨きによる著しい歯ぐきのすり減りだけでなく、歯磨き粉に含まれる研磨剤成分が歯ぐきを傷めることで、歯ぐきがすり減っていきます。
クレフトとは、歯ぐきがV字やU字のように裂けることを指します。
原因は歯ブラシのほか、噛み合わせも要因になっている場合があります。
この裂け目は横方向に広がって、歯根が露出していくようになってしまいます。
粉瘤が原因の場合の治療
オーバーブラッシングによって歯ぐきに現れる症状として、フェストゥーンの他に、磨きすぎによる傷、歯肉退縮、クレフト、を見てきました。
フェストゥーンは歯肉が腫れぼったくなる一方、磨きすぎによる傷、歯肉退縮、クレフトは、どれも歯ぐきが下がる症状です。
しかし、フェストゥーンも歯ぐきの炎症が起きている状態を示しており、炎症の悪化に伴って、次第に歯肉が下がっていきます。
つまりフェストゥーンは、その後に歯ぐきが下がってしまう予兆でもあるのです。
唇のできものを予防するには
歯の健康を守るためには、日々のご家庭での歯磨きは非常に重要です。
しかし、皆さんそれぞれに合った、正しい歯磨きの仕方ができている方は、そう多くはないでしょう。
また、オーバーブラッシングになってしまっている方は注意が必要です。
歯磨きでの磨き残しがない状態を維持するまで頑張る必要はありませんが、正しい歯磨き方法を知っておくことは、とても大切です。
まずはかかりつけの歯科医院で、皆さんそれぞれに合ったふさわしい歯磨きの仕方を相談してみてください。
赤や青色の染色液を使ったプラークの染め出しを行って、自分の磨けていない場所をはっきりさせてもらい、その部分を磨くにはどのような歯ブラシを選び、歯ブラシをどのように持って、どの程度の力加減で歯に当てるべきかなど、様々なチェックポイントを確認しましょう。
そして、歯の裏側や奥歯のすみずみまでしっかり磨けるよう、正しい歯磨き方法を身に着けたいものです。