根管治療を終えたはずなのにズキズキと続く痛み。「もしかして治療が失敗したのでは…?」と、不安な気持ちになっていませんか。
この記事では、治療後の痛みがいつまで続くのか、その目安と長引く原因を詳しく解説します。ご自宅でできる対処法から、すぐに歯科医院へ行くべき危険なサインまでを詳しく見ていきましょう。
根管治療後にズキズキする痛みはよくあること?

根管治療を終えた後、歯にズキズキとした痛みが出ると、「治療がうまくいかなかったのでは?」と不安になりますよね。
しかし、治療後の痛みは多くの方が経験するもので、決して珍しいことではありません。これは体の正常な反応であり、ほとんどの場合は時間とともに自然と治まっていきます。
根管治療は、虫歯菌に侵された神経や血管を取り除き、歯の根の中を清掃・消毒する繊細な処置です。この過程で、歯の根の周りの組織が一時的に刺激を受け、痛みとして感じられるのです。
一時的な痛みのメカニズムとは?
治療後に一時的な痛みが出るのは、体が治ろうとする過程で起こる自然な「炎症反応」です。
根管治療のあとに痛みや違和感が出るのは、いくつかの要因が重なっているためです。まず、治療中に使用するファイルという細い器具で根の中を清掃する際、根の先端にある繊細な組織にごく小さな傷がつくことがあります。
さらに、体はこの刺激を「ケガ」と判断し、治そうとする過程で免疫反応が起き、炎症や痛みのもととなる物質が発生します。加えて、消毒のために使われる薬剤がわずかに根の外へ漏れ出し、周囲の組織を刺激することも、痛みを感じる一因です。
これらの反応は、体が一生懸命に治癒しようとしている証拠であり、通常は数日から1週間ほどで落ち着いていきます。
治療直後に痛みが出やすい理由
特に、治療を受けた当日から翌日にかけて痛みが強く感じられることがあります。
治療中は局所麻酔が効いているため痛みを感じることはほとんどありませんが、麻酔の効果は2〜3時間ほどで薄れていきます。その頃になると、治療による刺激が徐々に現れ、痛みとして感じられるようになるのです。
さらに、治療によって引き起こされた炎症反応は、個人差はあるものの24時間から48時間でピークに達するとされており、特に治療当日の夜から翌日にかけて痛みが強くなる傾向があります。
ズキズキ感がある=失敗ではない
治療後にズキズキとした痛みを感じると、「治療が失敗したのではないか」と心配になる気持ちはよく分かります。
しかし、これまでご説明したように、治療後の痛みは体の正常な治癒過程で起こる一時的な症状であることが大半です。そのため、ズキズキ感があるからといって、すぐに治療の失敗と結びつける必要はありません。
むしろ、体が治そうと頑張っているサインと考えるといいでしょう。
根管治療後のズキズキする痛みはいつまで続くのか?

治療が終わったはずなのに続くズキズキとした痛み。「この痛みは一体いつまで続くのだろう」と、多くの方が不安に感じることでしょう。
痛みが続く期間は、治療前の炎症の強さや処置の複雑さ、そして個人の体質によって変わります。そのため、一概に「何日で治まります」と断言することはできません。
しかし、一般的な痛みの経過を知っておくことは、ご自身の状態を客観的に判断する上でとても大切です。ここでは、痛みが続く期間の目安を具体的に解説します。
平均的な痛みの持続期間
根管治療後の痛みのピークは、治療当日〜翌日にかけて現れることがほとんどです。
治療による刺激で生じる炎症反応は、治療後24〜48時間以内に最も強くなる傾向があります。そしてその後、痛みは徐々に和らいでいくのが一般的です。
平均すると、強い痛みは1〜3日ほどで落ち着いていきます。ただし、以下のような要因で痛みの期間には個人差があります。
- 治療前の炎症の強さ
- 治療の難易度
- 個人の体質や痛みの感じ方
通常は何日くらいで治まる?
多くの場合、強いズキズキ感は2〜3日で和らぎ、その後は軽い痛みや違和感へと変化していきます。そして、治療後1週間もすれば、ほとんど痛みを感じなくなるのが通常の経過です。
ご自身の状態を確認できるよう、痛みの経過の目安を以下に示します。
期間 | 痛みの状態の目安 |
治療当日~翌日 | 痛みが最も強く出やすい時期です。処方された痛み止めを適切に使いましょう。 |
治療後2~3日 | 鋭いズキズキ感は弱まり、鈍い痛みに変わってくることが多いです。 |
治療後1週間以内 | ほとんど痛みを感じなくなるか、噛んだ時などに軽い違和感が残る程度になります。 |
もし治療後1週間を過ぎても強い痛みが続く、あるいは一度治まった痛みがぶり返すような場合は、我慢せずに歯科医院へ連絡してください。
違和感や軽い痛みが残る期間の目安
ズキズキとした強い痛みが引いた後も、軽い違和感が残ることがあります。
これは、治療で刺激を受けた歯の根の周りの組織(歯根膜)や骨が、完全に回復するのに少し時間がかかるためです。
- 噛むと少し響く感じがする
- 歯が浮いたような感じがする
- なんとなく重たい感じがする
このような軽い違和感は、1〜2週間ほど続くことも珍しくありません。
この期間は、治療した歯で硬いものを噛むのは避けるなど、なるべく安静に保つことが大切です。違和感が日に日に軽くなっていくようであれば、治癒に向かっているサインなので心配いりません。
根管治療後のズキズキが続くときの対処法

治療後の痛みが続くと、「このまま様子を見て良いのか」と不安になりますよね。痛みが我慢できないほど強い場合や、日に日に悪化する際は、迷わず歯科医院へご相談ください。
しかし、そうなる前にご自身で痛みを和らげ、悪化を防ぐ方法がいくつかあります。ここでは、ご自宅でできる応急処置について、注意点も交えながら詳しく解説します。
痛み止めの正しい使い方と注意点
歯科医院から痛み止めが処方されている場合は、まずその指示に従って服用してください。市販の痛み止めを使う際は、いくつかの注意点を守る必要があります。
ポイントは、痛みが強くなってから慌てて飲むよりも、少し痛み始めたタイミングで早めに服用することです。その方が、痛みの原因物質が作られるのを効率良く抑えられます。
【痛み止めを使うときのポイント】
- 用法・用量を厳守する
- 服用間隔を必ずあける
- 空腹時を避けて服用する
痛み止めは、あくまで一時的に症状を抑えるためのものです。長期間飲み続けなければならない場合は、原因が解決していないサインです。
冷やす?温める?効果的なケア方法
痛みや腫れをやわらげるためには、頬の外側から濡れタオルや冷却シートを使って優しく冷やすのが効果的です。ただし、氷や保冷剤を直接肌に当てるのは避けましょう。
冷たすぎる刺激は血行を悪化させたり、凍傷の原因になったりするため、必ずタオルなどで包んで使用することが大切です。
一方で、患部を温めるのは逆効果になることがあります。血行が促進されると炎症や痛みがかえって強まるため、痛みが引くまでは長時間の入浴やカイロの使用は控えましょう。
また、飲酒や激しい運動も同様に血流を高めて症状を悪化させる可能性があるため、痛みが強い間は避けるのが望ましいです。
自分でできるケアとやってはいけないこと
痛み止めや冷却以外にも、日常生活で少し気を付けるだけで回復を助けられます。ご自身でできるケアと、回復を妨げる行動を知っておきましょう。
治療後は、歯に負担をかけないようにやわらかい食事を選ぶことが大切です。おかゆやスープ、ヨーグルトなど、噛まずに済むものがおすすめです。また、寝るときには枕を少し高くして頭を上げると、血流が穏やかになり、ズキズキとした痛みがやわらぐことがあります。
口の中を清潔に保つことも重要です。治療中の歯のまわりは、毛先の柔らかい歯ブラシを使って、優しく丁寧に磨きましょう。不衛生な状態は細菌の繁殖を招き、炎症が悪化する原因になります。
一方で、治療した部分を指や舌で触ったり押したりするのは避けてください。刺激が加わると、治りが遅くなることがあります。また、喫煙も控えた方が良いでしょう。タバコに含まれるニコチンが血管を収縮させ、患部への酸素や栄養の供給を妨げてしまいます。
根管治療後のズキズキが治まらないときに再受診すべきサイン

治療による正常な反応としての痛みは、1〜3日をピークに和らぎます。一つの目安として、治療後1週間が経過しても痛みが変わらない場合は要注意です。
特に、以下のような状態が続くときは、我慢せず歯科医院へ連絡しましょう。
【再受診を検討するセルフチェックリスト】
- 治療から1週間経っても、ズキズキする痛みが全く引かない
- 日が経つにつれて、痛みが弱まるどころか強くなってきている
- 痛み止めを飲まないと、仕事や家事など日常生活に支障が出る
- 噛んだときの痛みが、治療直後から変わらない、または悪化した
- いったん治まったはずの痛みが、再びぶり返してきた
これらのサインは、根管内に細菌が残っている可能性があります。放置すると感染が広がる恐れもあるため、早めに相談することが大切です。
腫れ・膿・強い痛みを伴う場合の対応
ズキズキとした痛みだけでなく、次のような症状が現れた場合、緊急性が高いサインであり、様子を見るべきではありません。期間にかかわらず、できるだけ早く歯科医院を受診してください。
【すぐに受診すべきサイン】
- 強い腫れ:治療した歯の周りの歯茎だけでなく、顔(頬やあご)まで明らかに腫れている。
- 膿の排出:歯茎にニキビのような白いおできができ、そこから膿が出ている。
- 激しい痛み:処方された痛み止めを飲んでも全く効かないほどの強い痛みがある。
- 全身の症状:発熱や倦怠感など、体調にも不調が現れている。
これらの症状は、歯の根の中で起きた感染が顎の骨にまで広がっているサインです。早急な処置が必要なため、ためらわずに歯科医院へ連絡しましょう。
まとめ
今回は、根管治療後のズキズキとした痛みについて、その期間や原因、対処法を解説しました。
治療後の痛みは体の正常な反応であることが多く、通常は1〜3日をピークに和らぎ、1週間ほどで落ち着きます。まずは処方された痛み止めを使い、安静に過ごしましょう。
ただし、1週間を過ぎても痛みが引かない、日に日に強くなる、歯茎が大きく腫れるといった症状は、体が発している大切なサインかもしれません。
「これくらいなら…」と我慢せず、少しでも不安なときは早めに歯科医院へ相談してください。
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