風邪で歯が痛い原因と応急処置|迷ったら歯医者に行くべき?判断基準を解説

「風邪を引くと、なぜか上の奥歯がズキズキ痛む」「噛むと歯が浮くような違和感がある」とお悩みではありませんか?

実は「一般社団法人 日本鼻科学会」や「一般社団法人 日本口腔顔面痛学会」によると、鼻の奥の炎症(副鼻腔炎:ふくびくうえん)による神経の圧迫や、免疫力の低下をきっかけとした虫歯・歯周病の悪化など、風邪を引くと歯が痛くなる原因が複数が存在します。

本記事では、風邪で歯が痛む・歯が浮いたように感じる「5つの原因」と自宅でできる「応急処置」の方法、そして「歯医者に行くか迷った時の判断基準」を解説します。

風邪症状が治まったあとに隠れている「お口や歯の健康リスク」や、「精密な診断」の重要性についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

※激しい歯の痛みや高熱がある場合、または症状が数日〜1週間以上続いても治まらない場合は、自己判断で放置せず、速やかに医療機関を受診してください。


なぜ風邪で歯が痛む・浮く?考えられる主な5つの原因

風邪を引いたとき、歯が痛くなったり歯が浮いたような感覚がしたりと違和感を感じるのは、虫歯だけが原因とは限りません。 

お口や鼻の構造、全身の免疫反応など、複数のメカニズムが関係して歯の痛みやお口の中の違和感を引き起こしている可能性があります。
ここでは、風邪のときに歯が痛くなる主な5つの原因をまとめました。

【風邪の時に歯が痛くなる主な原因】

考えられる原因主な症状・特徴
副鼻腔炎(上顎洞炎:じょうがくどうえん)による神経圧迫上の奥歯が痛む、目の下や頬の重だるさ、頭を下げると響く
歯根膜(しこんまく)の炎症・うっ血噛むと歯が浮くような感覚、歯が全体的にムズムズする、高い位置で当たる気がする
免疫力低下による虫歯・歯周病の悪化ズキズキとした急な痛み、過去に治療した歯の痛み、歯茎の強い腫れや出血
発熱・無意識の食いしばり熱が上がると痛みが強くなる、体調不良によるストレスや寒気で朝起きた時に顎がだるい
脳の錯覚(放散痛:ほうさんつう)・リンパ節の腫れ痛む歯の場所が特定できない、喉の痛みや首周りのリンパ節の腫れを伴う

それぞれのメカニズムと具体的な症状について、詳しく解説します。

▼見出しの目次
原因①:副鼻腔炎による上の奥歯の神経圧迫
原因②:歯根膜の炎症とうっ血による「歯が浮く」感覚
原因③:免疫力の低下による歯周病や「隠れ虫歯」の悪化
原因④:発熱時の血流増加(うっ血)や体調不良時の食いしばり
原因⑤:脳の錯覚(放散痛)やリンパ節の腫れによる影響

原因①:副鼻腔炎による上の奥歯の神経圧迫

風邪を引いたときに「上の奥歯」が痛む場合、鼻の周辺にある空洞の炎症「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」が歯の神経を圧迫していることが原因として考えられます。

副鼻腔炎が原因の場合、歯の痛みに加えて、目の下や頬周辺の重だるさ、頭を下に向けると響くような痛みを伴うことが多いのが特徴です。

一般社団法人 日本鼻科学会の診療ガイドラインによると、風邪などのウイルス感染をきっかけに副鼻腔に細菌感染が生じて「急性鼻副鼻腔炎」が発症することがあります。

また、俗に「蓄膿症(ちくのうしょう)」と呼ばれる慢性副鼻腔炎の方は、風邪をきっかけに症状が悪化することがわかっています。

副鼻腔(ふくびくう)の一部である「上顎洞(じょうがくどう)」は、上の奥歯の根元(歯根:しこん)と非常に近い位置にあります。

そのため、上顎洞に膿や鼻水が溜まって腫れると近接する歯につながる神経を圧迫し、「風邪を引く(急性副鼻腔炎に罹患する、または蓄膿症の症状が強まる)と歯が痛い」と感じる原因の一つになるのです。

実際に、一般社団法人 日本口腔顔面痛学会の資料によると、上顎洞疾患(じょうがくどうしっかん)に罹った人の18%(およそ5人に1人)に歯の痛みが起こるというデータも報告されています。

原因②:歯根膜の炎症とうっ血による「歯が浮く」感覚

風邪のときに歯を噛み合わせた際、「歯が浮くような感覚」「なんとなく歯がムズムズする」といった違和感がある場合、歯の根元にある「歯根膜(しこんまく)」という組織のトラブルが原因と考えられます。

歯根膜とは、歯の根である「歯根」とそれを支える顎の骨である「歯槽骨(しそうこつ)」の間にある繊維状の組織のことです。

歯根膜は厚み0.2㎜程度と非常に薄いですが、歯を噛み合わせるときの強い力を和らげる「クッション機能」や、食べ物の触感を伝える「センサー機能」など重要な役割があります。

風邪やウイルス感染による免疫力の低下や血流の乱れが起こると、歯根膜の周辺で過剰な炎症反応が生じ、結果として歯の違和感につながることがあります。

これは、2024年に米国国立衛生研究所(NIH) / PubMed Central(PMC)に掲載された『Inflammation and immune response in the development of periodontal disease: a narrative review』(歯周組織における炎症と免疫応答のナラティブレビュー)でも示唆されています。

全身の免疫状態が変化することで、歯周組織(ししゅうそしき)で炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)が過剰に放出しやすくなることがわかりました。

つまり、風邪を引くと歯根膜などに血液やリンパ液が集まってうっ血しやすくなり、歯周組織が腫れることで物理的に歯が押し上げられ、「噛むと普段よりも高い位置で歯が当たる気がする」といった症状を招く原因となるのです。

原因③:免疫力の低下による歯周病や「隠れ虫歯」の悪化

風邪による体力や免疫力の低下が引き金となり、歯周病や「隠れ虫歯」の症状が進行して急な歯の痛みの原因となることがあります。

特に注意が必要なのが、過去に歯の被せ物や詰め物の治療(補綴治療:ほてつちりょう)を行った経験がある方です。

補綴物の下で目視での確認が困難な虫歯が再発する「二次カリエス(いわゆる隠れ虫歯)」が生じているケースが少なくありません。

通常、健全な状態であれば体内では免疫細胞(白血球など)がお口の中の虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑え込んでいます。

しかし、公益財団法人 日本歯科医師会などの調査によると、風邪などのウイルス感染により免疫力が低下すると、お口の中の細菌の活動を抑えきれなくなり、慢性化していた炎症が急激に悪化(急性化)することがわかっています。

その結果、「普段はまったく痛みを感じなかった治療済みの歯が急にズキズキ痛み出す」「歯茎が急に赤く腫れ上がる」といった症状として表面化するのです。

原因④:発熱時の血流増加(うっ血)や体調不良時の食いしばり

発熱に伴う血流の変化や、体調不良による無意識の「食いしばり」も、風邪を引いた時に感じる歯の痛みの原因の一つです。

風邪を引いたときには、熱が上がったタイミングで歯の痛みが強くなったり、朝起きた時に顎のだるさとともに上下の奥歯の痛みを感じたりするケースがあります。

体温の上昇による全身の血流増加に伴い、お口の中の血管も膨張して歯の神経が圧迫され、歯茎などの歯周組織がうっ血することが原因の一つと考えられています。

さらに、風邪によるだるさや緊張から、寝ている間などに無意識に強く歯を食いしばってしまうことにより、上下の奥歯が痛む原因となりえます。

一般社団法人 日本口腔顔面痛学会が公開している資料『“原因不明の歯痛”の原因(非歯原性歯痛)』においても、食いしばりなどによる咀嚼筋(そしゃくきん:噛むための顔周りの筋肉)の疲労が上下の奥歯の歯痛を引き起こすことが指摘されています。

原因⑤:脳の錯覚(放散痛)やリンパ節の腫れによる影響

歯そのものには問題がないにもかかわらず、脳が痛みの部位を勘違いして歯痛として感じてしまう「放散痛(ほうさんつう)」という現象があります。

顔から頭にかけては「三叉神経(さんさしんけい)」という大きな神経ネットワークが走っています。

風邪によって喉の痛みや耳の炎症が起こると、三叉神経を通じて痛みの信号が脳に送られますが、その際に脳が同じ神経の経路にある「歯の痛み」として誤認してしまうことがあります。

また、風邪で首周りのリンパ節が腫れることで、顎周辺の組織が圧迫され、それが歯や歯茎の痛みとして感じられるケースも存在します。

病院へ行くまでの間に自宅でできる「歯の痛み」に対する応急処置と注意点

風邪で体調を崩し、免疫力が低下している状態では、十分な睡眠時間の確保と水分補給をしっかりと行い、安静にして体を休めることが大切です。

なお、高熱や全身のだるさなどの強い症状が見られる場合、内科または耳鼻科(耳鼻咽喉科)を受診することが推奨されます。

ここでは、あくまで一時しのぎであることを前提とした、「歯の痛み」を和らげるための自宅ケアの方法をご紹介します。

▼見出しの目次
①解熱鎮痛剤を複数服用することは避ける
②入浴は避け、患部を冷やす
③ぬるま湯で優しくうがいをし、お口を清潔に保つ
④【要注意】歯の痛みを悪化させる3つのNG行動

①解熱鎮痛剤を複数服用することは避ける

風邪を引いたときに高熱や頭痛がある場合、解熱鎮痛剤(ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどが含まれる薬)を服用するケースが一般的ですが、歯の痛みを和らげる効果も期待できます。

ただし、風邪の症状を抑えるために市販の「総合感冒薬(風邪薬)」を飲んでいる場合、そこに「歯が痛い」という理由で解熱鎮痛剤を追加で服用すると、成分が重複して副作用を引き起こすリスクがあります。

自己判断での複数服用は避け、必ず薬剤師または医師へ相談した上で用法・用量を守って使用してください。

②入浴は避け、患部を冷やす

風邪で歯が痛いときに入浴する(お風呂に浸かる)と、全身の血流増加に伴い、お口の中の血管も膨張して歯の神経への圧迫が強まり、痛みが増す原因となります。

体力の消耗を避けるためにも、風邪を引いたときはシャワーのみで済ませるか、清潔な濡れたタオルで体を拭くといった対応が推奨されます。

なお、歯が痛む場所の頬に腫れや熱感がある場合は、水で濡らして絞ったタオルや、冷却シートなどを用いて適度に冷やすことで、血流を緩やかにし、痛みを一時的に軽減できる可能性があります。

ただし、肌に直接保冷剤を当てたり、氷を直接口に含んだりすることは、風邪で体力を消耗している身体にとって負担になるため推奨されません。

③ぬるま湯で優しくうがいをし、お口を清潔に保つ

風邪で体調が悪いときは、普段通りに丁寧な歯磨きをすることが難しくなり、お口の中に食べカスやプラーク(歯垢:しこう)といった虫歯の原因が増えたり、歯茎の炎症(歯周病)が悪化したりするリスクがあります。

歯が痛むときは無理に強くブラッシングしようとせず、人肌程度の「ぬるま湯でのうがい」や、アルコール成分の入っていない「低刺激性の洗口液(マウスウォッシュ)」を用いて、優しくお口をゆすぐ程度にとどめると良いでしょう。

ただし、冷たすぎる水で勢いよくゆすいだり、アルコールが入っているマウスウォッシュを使用したりすると、歯の神経が刺激されてかえって痛みが増す原因となるリスクがあるので注意してください。

④【要注意】歯の痛みを悪化させる3つのNG行動

応急処置を行う一方で、無意識に行ってしまいがちな「痛みを悪化させる行動」にも注意が必要です。以下の3つの行動は避けましょう。

【アルコール(お酒)の摂取】
アルコールは全身の血行を急激に促進するため、歯の神経への圧迫が強まり、痛みが増す原因になりえます。
また、風邪薬や解熱鎮痛剤との併用は重篤な副作用を引き起こす危険があるため、体調不良時は禁酒が原則です。

【痛む歯や歯茎を直接触る】
歯が痛いときは、つい気になって指や舌などで触ってしまうことがありますが、刺激を与えることは避けましょう。
風邪で免疫力が低下している状態では、炎症を悪化させる原因となるリスクが高いからです。

【長時間のスマホやPC作業】
「風邪を引いたら安静に」が体調を早期回復させるための鉄則ですが、「他に何もすることがないから」といってベッドなどで長時間のスマホやPC作業を行うと、姿勢の乱れや無意識の「噛み締め(食いしばり)」を誘発しやすいとされています。
結果として、顎や歯根膜(しこんまく)への負担を増加させる原因になるので、長時間の作業は避け、ゆっくりと安静にして身体を休めてください。

風邪を引いたときの歯の痛みで歯医者に行くべき?|受診の判断基準

風邪のときに歯が痛くなる原因が多岐にわたることをお伝えしましたが、「自分は歯医者(歯科医院)に行くべきか?」と迷っている方に向けて、受診の判断基準を解説します。

※一般的に、風邪を引いたときは、内科・耳鼻咽喉科への受診が推奨されますが、歯の痛みやお口の違和感が気になる方は歯科医院を受診することも検討してください。

▼見出しの目次
①耳鼻咽喉科の受診が推奨されるケース(風邪・副鼻腔炎由来)
②歯科医院の受診が推奨されるケース(歯そのものの異常)
③風邪が治っても痛みが続く、迷った場合は「診断目的」での歯科受診を検討

①耳鼻咽喉科の受診が推奨されるケース(風邪・副鼻腔炎由来)

痛みが特定の歯ではなく顔の全体的あるいは鼻周辺に及んでいる場合は、副鼻腔炎(ふくびくうえん)が原因である可能性が高いため、耳鼻咽喉科の受診を推奨します。

一般社団法人 日本鼻科学会の『副鼻腔炎診療の手引き(日本鼻科学会編・金原出版株式会社)』(2024年4月改訂)によると、顔面痛や圧迫感(頬周辺の痛みなど)、膿性の鼻汁などがある場合、副鼻腔炎が疑われます。

「全体的にぼんやり痛む」「頭を下に向けると響く」「黄色い鼻水やひどい鼻づまりがある」といった症状がある場合は、内科・耳鼻咽喉科で相談しましょう。

なお、風邪による一時的な炎症であれば、風邪の回復とともに時間が経てば(数日〜1週間程度で)痛みが落ち着く傾向にあります。

②歯科医院の受診が推奨されるケース(歯そのものの異常)

特定の歯に明確な痛みなどの異常を感じる場合は、お口の中の細菌による虫歯や歯周病が原因である可能性が高いため、歯科医院の受診が推奨されます。

具体的には、「歯にズキズキ・ズキッとした鋭い痛みがある」「冷たいものや熱いものがしみる」「特定の1本の部分で噛むと激しく痛む」といった部分的な異常を感じるケースです。

公益社団法人 日本口腔外科学会によると、歯自体に原因がある場合、副鼻腔炎が原因の場合とは異なり、「片側」だけに痛みが起こることが多いと示されています。

免疫力の低下によって進行した虫歯や歯周病は、放置しても自然に回復することはなく、適切な治療が必要です。

③風邪が治っても痛みが続く、迷った場合は「診断目的」での歯科受診を検討

大前提として、風邪による全身のだるさや鼻の症状が強い場合は、まずは内科や耳鼻咽喉科を受診して風邪そのものの治療を優先することが大切です。

しかし、「風邪は治ったのに歯の痛みだけが続く」「副鼻腔炎なのか虫歯なのか、自分では判断できない」と迷う場合は、歯科医院で「診断」を受けることを検討してください。

歯の根と副鼻腔の炎症は非常に密接に関わっており、双方の領域にまたがる疾患です。

一般社団法人 日本鼻科学会における意識調査でも、診断においては二次元のレントゲンよりも三次元で確認できる「CT」が極めて有用(耳鼻咽喉科医の98%が支持)とされており、診療科を超えた連携が必要であることが示唆されています。

そこで、歯科医院を受診し、歯科用CTを使用すれば、歯の根の周囲だけでなく、副鼻腔に炎症が起きていないかも客観的に確認しやすくなります。

「虫歯の治療で歯を削るかも」と過度に身構えることなく、原因を特定するための手段として受診することは、適切な処置への重要な第一歩となります。

歯の痛みが引いても放置はNG|歯科用CT・マイクロスコープを用いた精密検査の重要性

風邪が治って歯の痛みが引いたとしても、油断は禁物です。

原因が副鼻腔炎や蓄膿症ではなく、過去に治療を行った歯の虫歯の再発(二次カリエス)だった場合、歯科医院での再治療が必要となります。

詰め物や被せ物といった補綴物(ほてつぶつ)の下で、見えない虫歯が進行し続けるリスクが高いからです。

自己判断で放置すれば、最終的に虫歯が歯の神経に至り、「根管治療(こんかんちりょう:歯の神経の治療)」や抜歯が必要となる事態を招きかねません。

そこで、歯科用CTやマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いた精密な診断が重要になります。

精密な診断に歯科用CTとマイクロスコープの重要であることを示したイラスト

歯科用CTは三次元的(立体的)な画像診断が可能であり、歯の根の先や顎の骨の状態を客観的に確認することに役立ちます。

また、マイクロスコープは、肉眼と比較しておよそ20倍に視野を拡大して患部を観察することができます。

歯科用CTとマイクロスコープを用いることで、肉眼では見つけるのが困難な微細な歯のヒビや、過去の詰め物の下に生じたわずかな段差、歯茎の奥に隠れた炎症など、痛みの原因を客観的に確認・検査することが可能になります。

大切なご自身の歯と健康を守るためにも、歯の痛みを軽視せず、まずは歯科医院の定期健診から始めてみるのもよいでしょう。

風邪で歯が痛いときによくある質問と回答(Q&A)

風邪と歯痛に関する、よくある疑問・質問について、歯科学会や各学術団体の資料を引用しながらお答えします。

▼質問の目次
Q1. 妊娠中の風邪で歯が痛い場合、薬以外にできることはありますか?
Q2. 下の歯が痛む場合も風邪の影響ですか?
Q3. 新型コロナウイルスなどの感染症でも、同様に歯が痛むことはありますか?
Q4. 風邪が治ったのに歯痛だけが長引くのはなぜですか?

Q1. 妊娠中の風邪で歯が痛い場合、薬以外にできることはありますか?

A1. 妊娠中はホルモンバランスの変化により、元々歯茎の炎症などが起きやすい状態にあるとされています。

公益社団法人 日本産婦人科医会によると、妊娠中に歯の痛みがあり、薬の服用が難しい場合は、「無理せず体調の良い時間帯を選んで口腔ケアを行う」ことが推奨されています。

「顔を下に向けて歯を磨く」「キシリトール入りガムを噛む」などの選択肢もあります。

また、患部を適度に冷やして血流を落ち着かせることも一時的な緩和につながります。自己判断で薬を服用せず、かかりつけの産婦人科医および歯科医師へご相談ください。

Q2. 下の歯が痛む場合も風邪の影響ですか?

A2. はい、影響を受けるとされています。

一般社団法人 日本口腔顔面痛学会によると、上の歯は副鼻腔炎の影響を受けやすいですが、下の歯であっても、風邪による免疫力の低下から歯が痛むことがあります。

具体的には、親知らず周辺の炎症(智歯周囲炎:ちししゅういえん)が悪化したり、体調不良やストレスによる無意識の食いしばりで咀嚼筋が疲労し、関連痛として下の奥歯に痛みが生じたりするケースが存在すると報告されています。

Q3. 新型コロナウイルスなどの感染症でも、同様に歯が痛むことはありますか?

A3. はい、起こり得るとされています。
一般的な風邪の原因となるウイルスだけでなく、新型コロナウイルスなどの感染症においても、全身の免疫力低下や副鼻腔炎(ふくびくうえん)を併発するリスクが各学術団体の資料で指摘されています。

風邪やコロナウイルスといった感染症で副鼻腔炎が生じ、それが原因で歯根膜(しこんまく)の炎症や歯の神経が圧迫され、結果として「歯が痛い」と感じるケースがあります。

Q4. 風邪が治ったのに歯痛だけが長引くのはなぜですか?

A4. 公益社団法人 日本口腔外科学会の資料によると、風邪をきっかけに虫歯や歯周病が進行してしまった可能性が考えられます。

 また、一般社団法人 日本鼻科学会のガイドラインでも示されている通り、副鼻腔炎が慢性化し(俗に「蓄膿症」といわれる状態)、上顎洞に膿が溜まり続けている場合も痛みが長引きます。

数日経っても痛みが引かない場合は、自然治癒を見込まず、早急に歯科または耳鼻咽喉科で詳しい検査を受けることが推奨されます。

まとめ

風邪を引いた際の歯の痛みは、副鼻腔(ふくびくうえん)の炎症による歯の神経の圧迫や、免疫力の低下に伴う歯周病・虫歯の悪化など、様々な要因が複雑に絡み合って生じます。

まずは「全体のぼんやりとした痛みや鼻水があるか」「特定の歯が鋭く痛むか」といった痛みの性質を落ち着いて観察し、内科・耳鼻咽喉科または歯科医院を受診することが大切です。

すぐに医療機関の受診が難しい場合は、解熱鎮痛剤の服用、十分な睡眠時間の確保と水分補給、患部を優しく冷やすなどの応急処置を行い、身体をしっかりと休めてください。

そして、内科・耳鼻咽喉科では原因が不明だった場合や、風邪が治った後も歯の痛みが続く場合は、歯科用CTやマイクロスコープ等を活用した「歯科医院での精密な診断」を受け、痛みの根本原因を客観的に把握することをおすすめします。


出典・参考資料

※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、特定の治療法を推奨するものではありません。実際の治療にあたっては、必ず歯科医師にご相談ください。