【医師監修】オールセラミックとは?メリット・デメリットと費用の目安を解説

鏡を見るたびに、「過去に治療した銀歯が気になって自然に笑えない」と考える経験はありませんか。

近年、金属を一切使わず、天然歯の色合いや透明感に近いオールセラミック治療が注目されています。オールセラミックは、変色が少なく汚れも付着しにくいため、口の健康を長期的に維持できる治療法です。

この記事では、オールセラミックが持つメリット・デメリットから、種類ごとの特徴、気になる費用の目安までを詳しく解説します。納得のいく選択で、自然な笑顔とお口の健康を手に入れましょう。

この記事を監修した医師

脇田奈々子
Wakita-Nanako

大阪大学歯学部卒業後、同大学予防歯科学教室にて医員として勤務。

現在は大阪市内の歯科医院で、予防歯科からインプラント、矯正治療まで幅広く対応している。治療の先の心のケアにもつながる“医療としての美容歯科”として、ボツリヌス治療、ヒアルロン酸注入、リップアートメイクにも注力している。
「口元の健康と美を通じて、最後まで美味しく食べ、自信を持って笑える人生」をサポートすることを理念としている。


オールセラミック治療とは?

オールセラミック治療は、セラミックで作られた詰め物や被せ物を使い、歯の機能と見た目を回復させる方法です。虫歯や事故で歯の一部が失われた際に用いられます。人目に付きやすい前歯の治療では、美しさと機能性を両立できるのが大きな魅力です。

オールセラミック治療について、以下の点を解説します。

  • オールセラミックの特徴
  • オールセラミックの寿命

オールセラミックの特徴

オールセラミックが持つ特徴は以下の3つであり、それぞれの要素は口の健康を長く維持するうえで重要です。

観点特徴
審美性・光の透過性があり天然歯のような自然な見た目に仕上がる
・色調整が細かくでき、隣の歯と違和感なくなじむ
金属を使わない・金属アレルギーの心配がない
・歯茎の黒ずみ(メタルタトゥー)を防げる
清掃性・表面が滑らかで汚れが付きにくい
・着色や汚れ(プラーク:歯垢)の付着を抑え、虫歯の再発リスクも低減する

オールセラミックの寿命

オールセラミックの一般的な寿命は、7~10年が目安とされています。しかし、適切なケアを続けることで、10年以上にわたって使い続けることも可能です。

ただし、以下のような習慣を持つ方は、オールセラミックの寿命が短くなるおそれがあるため注意してください。

  • フロスや歯間ブラシでのセルフケアが不足している
  • 定期的な通院をしていない
  • 歯ぎしりや食いしばりの癖がある

セルフケアを怠ると、オールセラミックの土台や隣の歯が虫歯になる可能性があります。オールセラミックと歯の境目を入念にブラッシングし、定期的に歯科医院でクリーニングしましょう。歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合は、マウスピースの使用やボツリヌス治療がおすすめです。

オールセラミックの4つのメリット

ここでは、オールセラミックが持つ以下の4つのメリットを詳しく解説していきます。

①審美性が高い

②変色や着色がしにくい

③金属アレルギーの心配がない

④耐久性が高い

①審美性が高い

オールセラミックの魅力は、審美性が高いことです。金属を使わず、セラミックの陶材だけで作られているため、以下のような特徴を持ちます。

特徴内容
透明感とツヤ光を透過する性質があり、天然歯に近い透明感とツヤを再現できる
自然な色調の再現色のバリエーションが豊富で、隣の歯に合わせて色を調整できる
歯茎の変色がない金属を使わないため、歯茎の黒ずみや不自然な見た目の心配がない

オールセラミックにより自信を持って笑えるようになると、生活の質を向上させられるでしょう。

②変色や着色がしにくい

オールセラミックのメリットの一つが、変色や着色がしにくい点です。

毎日口にするコーヒーやお茶、カレーなどの食事によって、歯の色は少しずつ変化します。保険診療で使われるプラスチック(レジン)は、表面に微細な傷がつきやすく、時間とともに水分や色素を吸収し、黄ばんでしまう性質があります。

オールセラミックは陶器の一種であり、表面がガラスのように滑らかで安定した素材です。水分や色素を吸収しないため、治療後の白さと輝きを長期間維持できます。歯との間に隙間もできにくく、細菌が侵入しにくいので、虫歯の再発リスクの低減も期待できます。

③金属アレルギーの心配がない(生体親和性が高い)

金属アレルギーの心配がないことも、オールセラミックのメリットです。

歯科治療で広く使われる銀歯は、口の中で唾液に触れると、金属イオンとして溶け出します。金属イオンが体内に取り込まれると、金属アレルギーを起こし、口内炎や歯茎の炎症、皮膚のかぶれ、湿疹などの症状が現れる可能性があります。

オールセラミックは金属を使用しないメタルフリー治療です。金属アレルギーを持っていたり、アレルギー発症のリスクを避けたりしたい方でも、安心して治療を選択できます。

金属アレルギーだけでなく、金属イオンが歯ぐきに沈着して黒ずむメタルタトゥーを防げる点もオールセラミックの特徴です。一度できた黒ずみは自然には消えないため、オールセラミックは、体の健康と歯茎の美しさの両方を守る、体に優しい治療法です。

④耐久性が高い

近年のオールセラミックの品質は向上しており、強い力がかかる奥歯にも対応できる強度を備えています。

特に、CAD/CAMというコンピューターで設計・作製を行うシステムで作られたオールセラミックは、耐久性が高いです。CAD/CAMを用いて作製されたオールセラミックのクラウン(被せ物)は、奥歯の強い咬合力にも十分耐えられると報告されています。(※1)

セラミックは表面が硬く、すり減りにくい性質も持っています。長期間使用しても噛み合わせが変化しにくく、口全体のバランスを安定させやすいことも利点です。

オールセラミックのデメリット

ここでは、オールセラミック治療で考えられるデメリットとして、以下の4つを詳しく解説します。

①費用負担が大きい場合も

②歯を削る量が多くなる

③変色の可能性がある

④強い衝撃で割れるリスクがある

①費用負担が大きい場合も

オールセラミック治療を検討するうえで課題となるのが費用面です。オールセラミック治療は審美歯科治療に分類され、公的医療保険が適用されないため、治療費は全額自己負担となります。

治療にかかる費用の目安は、以下のとおりです。

  • セラミックインレー(詰め物):1本あたり5~10万円
  • セラミッククラウン(被せ物):1本あたり10~20万円

費用が高額な理由は、品質の高い材料を使用し、高度な技術が必要となるからです。自由診療だからこそ、精密な型採りや噛み合わせの調整を行えます。虫歯の再発リスクを抑え、歯を長持ちさせることにもつながるでしょう。

セラミック治療は、条件を満たせば医療費控除の対象になります。医療費控除とは、一年間に支払った医療費の合計が一定額を超えた場合、確定申告で所得税の一部が還付される制度です。還付を受けるには治療の領収書が必要なため、大切に保管しておきましょう。

②歯を削る量が多くなる

歯を削る量が多くなることも、オールセラミックのデメリットです。

オールセラミックの詰め物や被せ物は、歯を削ったスペースにある程度の厚みを持たせる必要があります。厚みのある詰め物を入れるには、土台となる自身の歯をその分削る必要があり、金属の被せ物などよりも多く削る傾向です。

歯は一度削ってしまうと、二度と元には戻りません。歯を削る量が増えるほど、歯の中心にある神経に近づき、しみやすくなったり、歯の寿命に影響を与えたりする可能性もあります。

もともとの虫歯の大きさや歯の位置、噛み合わせの状態によっては、ある程度削らざるを得ない場合もあります。どのくらい削る必要があるのか、歯科医師と相談したうえで治療を受けましょう。

③変色の可能性がある

オールセラミックは変色しにくいものの、特定の条件下では変色したように見えることがあります。これは、セラミック自体が変色するわけではなく、以下のような原因で見た目が変化している可能性があります。

条件内容
接着剤の経年劣化使用する接着剤が時間とともに変色し、セラミック越しに色が透けて見えることがある
土台の歯の変色神経を抜いた歯は黒ずみやすく、セラミックが光を通すため、変色が透けて見えることがある

④強い衝撃で割れるリスクがある

強い衝撃で割れるリスクがあることも、オールセラミックのデメリットです。

オールセラミックは硬い素材ですが、金属と比べると、強い力が一点に集中したときの粘り強さで劣ります。粘り強さが低いと変形しないため、強い衝撃で欠けたり割れたりするリスクがあります。

以下の方は、オールセラミックが割れるおそれがあり、注意が必要です。

  • 就寝中に歯ぎしりや食いしばりの癖がある
  • 日中、無意識に歯を強く噛みしめる癖がある
  • 氷などの硬いものを頻繁に噛む習慣がある

歯科材料の進歩で、近年セラミックの強度は向上しています。ジルコニアに代表される強度の高いセラミックも登場し、通常の食事での破損はまれになりました。

神経の治療を行なった歯は脆くなりやすいことが一般的です。しかし、歯をオールセラミックで修復することで、歯全体の強度を高め、将来の破折(はせつ)を防ぐ効果を期待できる研究結果も示されています。(※2)

オールセラミックの種類とほかの素材との比較

セラミックの歯には、さまざまな種類があります。それぞれの素材が持つ長所と短所の正しい理解が、治療後の満足度を大きく左右します。ここでは、以下に示す代表的なセラミックの種類と、従来からある金属の素材との違いを詳しく解説します。

  • ジルコニア
  • e.max(イーマックス)
  • ハイブリッドセラミックとの違い
  • メタルボンド・銀歯との違い
  • 選び方のポイント

ジルコニア

ジルコニアは、人工ダイヤモンドと称されるほどの高い強度と耐久性を持つセラミックです。特に機械的性質(強度)、光学的性質(見た目)、生物学的性質(体への優しさ)のバランスが良いと評価されています。

もともとは医療分野で人工関節に使われるなど、信頼性は折り紙付きです。歯科では、強い力がかかる奥歯の被せ物や、複数の歯をつなぐブリッジ治療で使われています。ある研究では、インプラント治療に用いたジルコニアは13年間維持したと報告されています。(※3)

ジルコニアのメリット・デメリットは以下のとおりです。

項目内容
メリット・硬くて割れにくく、奥歯など噛む力が強い部分にも使える
・金属不使用で金属アレルギーの心配がない
デメリット・硬さゆえに、噛み合う天然歯をすり減らす可能性がある
・e.maxなどに比べて透明感がやや劣ることがある

ジルコニアは丈夫さと美しさを高いレベルで両立させたい方、特に奥歯の治療を検討している方にとって頼りになる選択肢となります。

e.max(イーマックス)

e.maxは、特殊なガラスセラミックを主成分とする素材です。天然の歯が持つ特有の透明感や、光が内側から透けるような質感を高いレベルで再現できる特徴があります。

優れた審美性から、e.maxは特に人目に付きやすい前歯の治療で第一選択となる素材です。まるで自身の歯と見分けがつかないほど、自然で美しい仕上がりを追求できます。

もう一つのe.maxの利点は、硬さが天然の歯に近いことです。ジルコニアのように硬すぎないため、噛み合わせる相手の歯を傷つけにくく、口全体のバランスを保てます。

一方、e.maxはジルコニアほどの強度がなく、噛む力が強かったり歯ぎしりの癖があったりする方の奥歯に使う際は注意が必要です。

e.maxは、前歯をはじめとした見た目の美しさを最優先したい方におすすめできる素材です。

ハイブリッドセラミックとの違い

ハイブリッドセラミックは、セラミックの細かい粒子と歯科用プラスチック(レジン)を混ぜて作られた素材です。(※4)セラミック100%のオールセラミックとは異なり、プラスチックが混ざっているため、性質にいくつかの違いが生まれます。

オールセラミックとハイブリッドセラミックの比較を、以下の表にまとめました。

項目オールセラミック(ジルコニア、e.max)ハイブリッドセラミック(レジン)
主な素材
セラミック100%
セラミック粒子+プラスチック
審美性◎天然歯のような透明感があり、変色しにくい〇自然な白さだが、経年的に着色・変色しやすい
耐久性◎表面が硬く、すり減りにくい△比較的柔らかく、長期間の使用で摩耗しやすい
清掃性◎表面が滑らかで汚れが付着しにくい〇表面に傷がつきやすく、汚れ(プラーク:歯垢)が付着しやすい
費用高価(自由診療)比較的安価(一部保険適用あり)

ハイブリッドセラミックは、オールセラミックよりも柔らかく、適度なしなやかさがあるため、周りの歯を傷つけにくいメリットがあります。費用を抑えられ、一部の症例では保険が適用される点も特徴です。

ハイブリッドセラミックにはプラスチックが含まれているため、長期間使用すると変色したり、表面がすり減ったりする可能性があります。美しさを長期間維持したい場合は、オールセラミックのほうが適しているでしょう。

メタルボンド・銀歯との違い

歯科治療で広く使われてきた金属の被せ物とオールセラミックには、さまざまな面で違いがあります。

メタルボンドと銀歯、オールセラミックとの違いは、以下をご覧ください。

項目メタルボンド銀歯オールセラミック
構造金属フレームにセラミックを焼きつけたもの金属のみで作られるすべてセラミック素材
見た目光の透過性が低く、歯茎との境目が黒くなることがある銀色が目立ち、見た目に違和感が出やすい自然な透明感があり、天然歯に近い美しさ
金属アレルギーのリスクありありなし
虫歯の再発リスク隙間ができやすく、再発リスクがある隙間ができやすく、再発リスクがある精密な接着が可能で、虫歯の再発リスクが低い
耐久性強度が高い強度が高い強度はやや劣る

オールセラミックは、金属を用いた治療の欠点を克服し、見た目の美しさと体への優しさを両立できる治療法です。

選び方のポイント

歯科治療で自身に合った素材を選ぶためのポイントを、以下の表にまとめました。

項目選び方
歯の治療部位・前歯:審美性が必要なためe.maxなど
・奥歯:強度が必要なためジルコニア
治療で重視する内容・審美性:e.max、ジルコニア
・耐久性:ジルコニア
・費用:ハイブリッドセラミック、銀歯・メタルボンド
・体への優しさ:オールセラミック全般(ジルコニア、e.max)

歯ぎしりや食いしばりがある方には、ジルコニアとマウスピースの併用がおすすめです。

最終的には、歯科医師と一緒に最適な素材を決めていくことが大切です。納得のいく治療を選びましょう。

オールセラミックの費用

オールセラミック治療は公的医療保険が適用されず、費用は全額自己負担(自由診療)です。保険診療で使われる銀歯と比べると費用は高くなりますが、メリットも存在します。

オールセラミック治療の「1本あたりの費用目安」と「医療費控除の活用」について詳しく解説します。

1本あたりの費用目安

オールセラミック治療の費用は、治療する歯の場所や使用する素材、作製方法によって異なります。以下は、主な治療の種類と費用の目安です。

治療の種類1本あたりの
費用目安
主な用途・特徴
セラミックインレー(詰め物)5~10万円比較的⼩さな⾍⻭を削った部分に使う
セラミッククラウン(被せ物)10~20万円⼤きな⾍⻭や神経の治療後など、歯全体を覆う

費用面で不安がある場合は、デンタルローンや分割払いに対応している歯科医院もあります。利用を検討したい方は、治療前に歯科クリニックに相談しましょう。

医療費控除の活用

オールセラミック治療は高額になりがちですが、医療費控除を利用すると、費用負担を軽減できる可能性があります。

医療費控除は、1年間の医療費の合計が10万円または総所得金額の5%を超えた場合に利用できます。医療費控除額は、支払った医療費−保険金などで補てんされた金額−10万円で計算可能です。還付額は受給者の所得によって異なります。詳細はこちらをご確認ください。

オールセラミック治療が医療費控除の対象になるかは、以下のように目的によって判断されます。

分類対象になる可能性が高いケース対象にならないケース
目的虫歯・歯周病・外傷などによって失われた歯の機能を回復するための治療見た目を美しくしたい審美的な理由のみ
具体例古い銀歯の下に虫歯があり、噛む機能を回復するために治療を受ける歯の機能に問題はないが、白く美しい歯にしたいという理由で治療を受ける

見た目の改善と機能的な回復が結びついている場合は、医療費控除の対象と認められることもあるでしょう。

治療の流れ

ここでは、オールセラミック治療の流れと治療期間・通院回数、メンテナンスについて詳しく解説します。

カウンセリングから装着までのステップ

オールセラミック治療は、精密な診断と計画にもとづき、以下の流れで進められます。

1.カウンセリングと精密検査

2.口腔環境の整備と歯の形成

3.精密な型採りと仮歯の装着

4.オールセラミックの装着

5.噛み合わせの最終調整

カウンセリングや精密検査後、治療計画や費用、期間の説明を受け、納得をしたうえでオールセラミックを装着してください。最終調整後も、長持ちさせるために定期的なメンテナンスで通院することが大切です。

治療期間と通院回数

オールセラミック治療にかかる期間や通院回数は口の状態によって異なりますが、目安は以下の表のとおりです。

口の状態通院回数治療期間
歯の状態が良好2~3回2週間~1か月
虫歯の治療が必要3~4回1~2か月
神経の治療が必要4回以上1~数か月

神経の治療(根管治療)が必要な場合は、歯の内部を消毒し、複数回の通院が必要となり、治療期間が長くなる傾向があります。

長持ちさせるためのメンテナンスと定期検診

オールセラミックを美しく長持ちさせるためには、治療後のセルフケアと歯科での定期的なメンテナンスが重要です。セラミックは虫歯になりませんが、土台の歯や周りの歯茎は、ケアを怠ると虫歯や歯周病になる可能性があります。

自宅と歯科でのケアの内容は、以下のとおりです。

ケアの種類内容
自宅でのセルフケア・歯と歯茎の境目を意識した丁寧な歯磨き
・フロスや歯間ブラシで歯間の清掃
・歯ぎしり対策としてナイトガードの使用
歯科医院でのケア・セラミックの欠け・割れ・緩みの確認
・土台の歯や歯茎の健康チェック
・噛み合わせの変化の確認
・専門的なクリーニング(PMTC)

定期的なメンテナンスを続けることが、再治療のリスクを減らし、長期的に見て口全体の健康と経済的な負担の軽減にもつながります。

治療後の保証期間

治療後の保証期間は、一般的に多くの歯科医院で3〜5年程度に設定されています。保証期間内であれば、破損や脱離などのトラブルにも無償もしくは最低限の費用で対応してもらえます。

歯科医院によっては、5〜10年の保証期間を設けているところもあります。どのような条件・保証内容なのかは治療を受ける前にしっかりと確認しておきましょう。

オールセラミックにはマイクロスコープの使用がおすすめ

オールセラミックの治療を成功させるためには、精密治療が可能なマイクロスコープの使用が重要です。

オールセラミックと周囲の歯に隙間が生じると、細菌が侵入しやすくなります。細菌が侵入し、繁殖することで虫歯や歯周病につながる恐れがあります。オールセラミック自体は虫歯になることはありませんが、周囲の歯が虫歯・歯周病になると再治療に至りかねません。

マイクロスコープは、患部を数倍〜数十倍に拡大した状態で治療ができる機器です。マイクロスコープを使った治療を行うことで、精密な形成・接着が可能となり、オールセラミックと歯の隙間を小さくできます。

マイクロスコープで歯との隙間を最小限にすることでゼロに近づければ、虫歯のリスクが抑えられ、長持ちにもつながるでしょう。オールセラミックの治療を検討されている方は、マイクロスコープがある歯科医院を選ぶことがおすすめです。

まとめ

オールセラミックは、天然歯と見分けがつかないほどの美しい見た目を実現できるだけでなく、金属アレルギーの心配もありません。一方で、自由診療のため費用が高額になることや、強い衝撃で割れるリスクがあるデメリットを理解しておくことが大切です。

自身の歯の状態やライフスタイル、治療で重視する内容によって適した選択肢は異なります。まずは信頼できる歯科医師に相談し、希望を伝えてみましょう。歯科に対する正しい知識と行動が、満足のいく美しい口元を手に入れるための第一歩です。


参考文献

  1. AlHelal AA. “Biomechanical behavior of all-ceramic endocrowns fabricated using CAD/CAM: A systematic review.” Journal of prosthodontic research 68, no. 1 (2024): 50-62.
  2. Roopak Bose Carlos, Mohan Thomas Nainan, Shamina Pradhan, Roshni Sharma, Shiny Benjamin, Rajani Rose. Restoration of endodontically treated molars using all ceramic endocrowns. Case Rep Dent, 2013, 2013, 210763.
  3. Humm VL, Sailer I, Thoma DS, Hämmerle CHF, Jung RE, Zembic A. “13-year follow-up of a randomized controlled study on zirconia and titanium abutments.” Clinical oral implants research 34, no. 9 (2023): 911-919.
  4. Spadoni D, Valeri C, Quinzi V, Schneider Moser U, Marzo G. “Advancing Orthodontic Aesthetics: Exploring the Potential of Injectable Composite Resin Techniques for Enhanced Smile Transformations.” Dentistry journal 13, no. 1 (2024): .