夜になると歯が痛い原因は?今すぐできる対処法とやってはいけないNG行動を解説

日中は全く気にならなかったのに、「夜になって急に歯が激しく痛い」という経験はありませんか?

体の構造上、横になることで頭部への血流が増加したり、副交感神経の働きによって血管が拡張したりするため、夜間帯は歯の痛みが出やすくなっています。 

また、「歯が痛い」といっても、歯やそれを支える歯周病などに原因がある痛み(歯原性歯痛:しげんせいしつう )と、それ以外の原因で痛むケース(非歯原性歯痛:ひしげんせいしつう )があり、痛みの原因によって治療法が異なります

この記事では、今すぐ痛みを和らげたい方に向けて、ご自宅でできる応急処置や痛みを悪化させるNG行動、そして夜に歯が痛くなる原因と治療法について詳しく解説します。


今すぐ痛みを和らげる!夜に歯が痛いときの応急処置4つ

夜間に歯が痛み出した際は、まずは以下の代表的な対処法で痛みを抑え、翌日の受診までしのぎましょう。
ただし、これらはあくまで一時的な応急処置です。

歯が痛い時の対処法4つのイメージ画像

痛み止め(市販の鎮痛剤)を服用する

まずは市販の痛み止め(解熱鎮痛剤)を服用して、痛みをやわらげましょう。
ご自宅の薬箱を探す際や、夜間にコンビニや薬局で市販薬を購入する際は、パッケージの「成分」欄を確認し、以下の成分が含まれているかを目安に、ご自身の体質や状況に合ったものを選んでみてください。

成分名特徴・選び方の目安
ロキソプロフェン痛みや炎症を抑える作用が強いとされています。即効性を求める場合によく選ばれる成分です。
イブプロフェン痛みや炎症を抑えるとともに、解熱効果にも優れています。バランスが良く使いやすい成分です。
アセトアミノフェン作用は穏やかですが胃への負担が少なく、子どもや妊婦さん、高齢の方でも比較的使いやすい成分です。

【服用時の注意点】
購入・服用する際は、パッケージの効果・効能欄に「歯痛」と記載されているかを確認してください。
痛みが強いからといって規定量より多めに飲むのは大変危険です。用法・用量を正しく守って服用してください。

痛む部分を頬の外側から冷やす

痛みのある部位を頬の外側から優しく冷やすと、血流が抑えられて痛みが落ち着くことがあります。
薬箱から痛み止めを取り出すついでに、冷却シートを探して患部側の頬に貼るのがおすすめです。

他にも水で濡らしたタオルや、タオルで巻いた保冷剤などが活用できます。
ただし、氷などを直接口に含んだり、急激に冷やしすぎたりすると、神経を刺激してかえって痛みが悪化することがあるため注意が必要です。

体を少し起こし気味にする(頭部への血流を抑える)

薬を飲んで冷やしたら、横になる姿勢を少し工夫しましょう。
夜間の歯痛は、横になることで頭部への血流が増大し、血管が神経を圧迫することで引き起こされることが多くあります。 

そのため、クッションや枕を重ねて少し頭を高くしたり、座椅子にもたれかかるようにして体を起こし気味にしたりすると、患部への血流が穏やかになり痛みが和らぐことがあります。

余力があれば、優しくうがいをして口内を清潔にする

もし洗面所へ行く余力があれば、うがいをおすすめします。
歯と歯の間や虫歯の穴に食べカスが詰まっていると、それが神経を圧迫して痛みを引き起こす原因になります。

 冷たい水はしみて痛むことがあるため、ぬるま湯で優しくうがいをして、お口の中を清潔に保ちましょう。

なお、アルコール成分が強いマウスウォッシュなどは、神経を刺激して痛みを悪化させる恐れがあるので使用を控えてください。
歯磨きをする場合は、患部を強く刺激しないよう、毛先の柔らかいブラシでそっと磨いてください。

どうしても痛みが我慢できない場合は「夜間救急」へ

応急処置をしても痛みが引かない、眠れないほどの激痛が続くといった場合は、無理をして朝まで我慢せず、夜間や休日に対応している救急外来を利用しましょう。

受診可能な医療機関は、以下の方法で調べることができます。

①自治体のホームページを確認する
お住まいの市役所や区役所のホームページには、「休日・夜間急病診療所」の案内が掲載されています。「〇〇市 歯科 夜間救急」などで検索してみましょう。

②地域の歯科医師会のホームページを見る
各地域の歯科医師会が、その日の夜間や休日に対応可能な「当番医」を指定して公開している地域もあります。

③医療情報ネット(ナビイ)を活用する
厚生労働省が提供している全国共通の医療機関検索サイトで、現在診療を行っている最寄りの急病診療所などを探すことができます。
※お電話の場合は、各都道府県の「救急医療情報センター」へお問い合わせください。

痛みをさらに悪化させる!夜の歯痛におけるNG行動

痛みを紛らわそうとしたり、気になってついやってしまったりする行動が、かえって痛みを激化させてしまうことがあります。
せっかく応急処置で落ち着かせた痛みをぶり返させないためにも、以下の行動は避けてください。

夜の歯の痛みにおけるNG行動を表すイラスト

患部を指や舌で直接触る・刺激する

痛む部分が気になって、つい指で触ったり舌で押し込んだりして「どのくらい痛いか」を確かめようとしていませんか?
手や口内の細菌が患部に入り込んで炎症を悪化させる恐れがあるだけでなく、物理的な刺激が過敏になっている神経に直接伝わり、痛みがさらに強くなってしまいます。
歯垢や食べカスを取ろうとして爪楊枝などで無理にいじるのもNGです。患部には極力触れず、そっとしておきましょう。

長時間の入浴や体を温める行為

「お風呂に入ってリラックスすれば眠れるかもしれない」と思うかもしれませんが、これも逆効果です。

 湯船にゆっくり浸かるなどして体を温めると、全身の血行が良くなります。
すると、患部の血管も拡張して神経をさらに強く圧迫し、ズキズキとした痛みが増幅するリスクが高いです。
歯が痛い夜は入浴を避け、ぬるめのシャワーでサッと済ませるようにしてください。同様の理由で、激しい運動など脈拍が上がる行動も控えて安静に過ごしましょう。

お酒を飲む(飲酒)・タバコを吸う(喫煙)

「お酒を飲んで痛みを麻痺させよう」「タバコを吸ってストレスを落ち着かせよう」とするのは大変危険です。
アルコールは血行を急激に促進させるため、入浴と同じように血管の膨張を引き起こし、痛みが劇的に悪化する原因になります。
また、タバコに含まれる成分は神経を直接刺激するほか、有害物質が炎症を悪化させたり、薬の効き目を悪くしたりするリスクがあるため控えましょう。

夜の激痛は歯や歯茎の炎症?「歯原性歯痛」の主な5つのケース

「歯原性(しげんせい)歯痛」とは、文字通り、歯そのものや、歯茎など歯を支える周辺組織のトラブルが原因で起こる痛みです。
夜間に血流が増えることで激化しやすい、代表的な5つの原因を解説します。

夜に歯が痛くなる主な原因(歯原性の場合5つ)

重度まで進行した虫歯(歯髄炎・根尖性歯周炎)

夜間に歯が痛む原因として最も頻度が高いのが、虫歯が歯の血管や神経が通る「歯髄(しずい)」まで到達した「歯髄炎(しずいえん)」です。
心臓のドクンドクンという拍動に合わせてズキズキと痛む「拍動痛(はくどうつう)を伴うことが特徴です。

また、過去に神経を抜いた歯の根元に膿がたまる「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」が急性化した場合も、夜間に激しい痛みを伴うことがあります。

キーンと一過性の痛みが走る「知覚過敏」

「寝る前に歯磨きをしてうがいをした時」や「夜中に目が覚めて冷たい水を飲んだ時」などに、キーンと鋭い痛みが走る場合は「知覚過敏(ちかくかびん)」が疑われます。

知覚過敏による痛みは、刺激が加わった瞬間に痛み、数秒から数十秒程度でスッと治まる「一過性の痛み」であるのが特徴です。

一方で、先述した重度の虫歯(歯髄炎)による痛みは、横になった時の血流増加によって、何もしていなくてもズキズキとした激痛が「持続的」に続くという明確な違いがあります。
「痛みがずっと続いているか、すぐに治まるか」が、虫歯か知覚過敏かを見分ける一つの目安になります。

歯周病による歯茎の炎症

歯周病が進行すると、歯を支える骨や歯茎に炎症が起きます。
日中は免疫力が働いて症状が抑えられていても、夜間に疲労やストレスで免疫力が低下すると、細菌の活動が活発になって歯茎が急激に腫れることがあります。
これが、夜間に重い鈍痛が続く原因になります。

親知らず周辺の炎症(智歯周囲炎)

親知らずの周辺は歯ブラシの毛先が届きにくく、プラーク(歯垢:しこう)や食べカスなどの汚れが非常にたまりやすい場所です。

親知らずの歯茎の周囲で細菌が増殖して炎症を起こし、「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」を起こすと、激しい痛みや腫れが出ます。
体調不良時や夜間に症状が強く出やすいトラブルの代表格です。

歯ぎしり・食いしばり(咬合性外傷)

「虫歯も歯周病もないのに歯が痛む」という場合、無意識の歯ぎしりや食いしばりが原因かもしれません。
歯の噛み合わせの不具合などが要因となり、就寝中に強い力で噛み締め続けてしまうと、歯の根元にあるクッションの組織(歯根膜:しこんまく)や周囲の筋肉に過度な負担(咬合性外傷:こうごうせいがいしょう)がかかり、強い痛みを引き起こします。

目に見えない「歯のヒビ(破折)」

硬いものを噛んだ衝撃や、長年の噛み合わせの負担、あるいは上記の食いしばりなどが原因で、歯に目に見えない微小なヒビ(破折)が入ることがあります。
肉眼では確認しにくい細かな隙間から細菌が内部に入り込んで炎症を起こすため、日中は気づきにくく、夜間の血流増加によって突如として激しい痛みが現れるケースがあります。

特に歯の被せ物や詰め物(補綴治療)を行った方に起きやすいとされています。

虫歯じゃないのに夜痛むのはなぜ?ストレスも関係する「非歯原性歯痛」5つの原因

特に虫歯や歯周病などの症状はないのに、なぜか夜になると歯が痛い――。
冒頭でもお伝えしたように、虫歯ではなくても「夜に歯が痛む」という現象はそれほど珍しくはありません。

歯や歯茎などの周辺組織を原因としない痛みは、「非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)」と呼ばれます。

日本口腔顔面痛学会のガイドラインを参考に、 「虫歯以外」で夜間の時間帯や日中のストレスと特に関連が深い5つの原因を解説します。

非原性歯痛による痛みのイラスト

① 顎の筋肉の疲労からくる痛み(筋・筋膜性歯痛)

非歯原性歯痛のなかで、最も頻度が高いのが筋肉に由来する痛みです。
お口を動かす「咀嚼筋(そしゃくきん)」「側頭筋(そくとうきん)」「咬筋(こうきん)」などが疲労し、筋肉の中に「トリガーポイント(コリのしこり)」ができると、そこから離れた場所にある歯へ痛みのシグナルが送られます。

これを「関連痛」と呼び、虫歯ではなくても歯が痛い原因の多くとなっています。


【夜になると歯が痛いのはどうして?】
日中の仕事や家事でのストレスによる緊張、あるいは就寝中の無意識な「歯ぎしり・食いしばり」によって、夜間に顎の筋肉の疲労はピークに達します。
そのため、夜間に「奥歯全体が重だるく痛む」「どの歯が痛いのかはっきりわからない」といった虫歯に似た鈍痛が発生しやすくなります。

② 鼻の奥の炎症による痛み(上顎洞疾患による歯痛)

上の奥歯の根元は、「上顎洞(じょうがくどう)」という鼻の奥にある空洞と非常に近い位置(あるいは接する位置)にあります。

風邪やアレルギー性鼻炎などが原因でこの空洞に膿がたまる病気(上顎洞炎/蓄膿症・副鼻腔炎:ちくのうしょう・ふくびくうえん)が起きると、周囲の神経が圧迫されて「上の奥歯が痛む」ようになります。

【夜になると歯が痛いのはどうして?】
日中の起きている体勢(立位や座位)に比べ、夜間に布団に横になる(仰向けや横向きになる)と、上顎洞内の体液や膿の圧力が変化し、上の奥歯の根元を直撃するように圧迫が強まります。
そのため、夜になると上の奥歯が響くようにズキズキ痛むという特徴的な症状が現れます。

③ 頭痛の発作に伴う痛み(神経血管性頭痛による歯痛)

片頭痛(へんとうつう)や群発頭痛(ぐんぱつづつう)といった頭の血管の拡張に伴う頭痛発作は、時に頭部だけでなく、歯や顎の神経にまで強い痛みを引き起こすことがあります。 

【夜になると歯が痛いのはどうして?】
特に「群発頭痛」は、夜間や就寝後の深夜・早朝といった特定の時間帯に発作が起きやすいことで知られています。
血管が急激に拡張する激しい痛みが顔面や歯に伝わるため、「夜中に突然、歯が引き裂かれるように痛むが、数時間経つと何事もなかったかのように痛みが消える」といった虫歯とは全く異なる痛みの波が特徴です。

④ 神経そのものの異常による激痛(神経障害性疼痛による歯痛)

歯の周辺を走る顔の神経(三叉神経:さんさしんけい)自体が、周辺の血管に圧迫されたり、ウイルスによって傷ついたりすることで起こる痛みです。

【夜になると歯が痛いのはどうして?】
原因となる 代表的なウィルスとして、「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」があります。
ウイルスが歯の神経の元に侵入すると、皮膚に水ぶくれが出る前段階として、虫歯のない歯に24時間絶え間ない持続的な激痛をもたらします。

これらは夜間に身体がリラックス(副交感神経が優位に)なり、末梢の血流が増えることで、神経の過敏さが一層引き立ち、夜も眠れないほどの激痛に感じられます。

⑤ ストレスや心理社会的要因による痛み(精神疾患・特発性歯痛)

医療機関でのあらゆる精密検査(レントゲンやCTなど)を行っても、歯にも、筋肉にも、神経にも物理的な異常が一切見つからない「原因不明の歯痛(特発性歯痛:とっぱつせいしつう)」という病態も存在します。

【夜になると歯が痛いのはどうして?】
人間は心理的なストレスや不安、解決の難しい悩みなどを抱えていると、脳が痛みをコントロールするシステム(脳内モルヒネなどの鎮痛機構)がうまく働かなくなってしまいます。
日中は仕事や趣味などの刺激で脳の意識が逸れていますが、夜間、静かな部屋で布団に入ると周囲の刺激がなくなり、脳が「痛みのシグナル」だけに集中してしまうため、夜になるほど慢性的な歯の痛みを強く感じやすくなります。

夜の激しい歯痛を繰り返さないために!精密診断と精密治療の重要性

夜も眠れないほどの激しい歯痛がある場合、まず原因を特定する必要があります。

夜間の歯の痛みの原因が、歯や周辺組織の治療が必要な「歯原性歯痛」なのか、それ以外のアプローチが求められる「非歯原性歯痛」なのかを特定するには、精密な診断が可能な歯科医院を受診することが重要です。

また、診断後の治療においても、精密な治療が歯の痛みを繰り返さないための重要な基準になります。
以下に歯科医院選びの参考となる基準を記載します。

精密な診断のための歯科用CTと、精密な治療のためのマイクロスコープの画像

①精密な診断のための設備:歯科用CT

歯科医院を受診すると、まずはお口の中の診査やレントゲン撮影、場合によっては「歯科用CT」による検査を行います。

従来のレントゲンは2次元(平面)的な画像ですが、歯科用CTを活用することで、歯や顎の骨、神経や血管の走行、さらに上の奥歯に隣接する「上顎洞(じょうがくどう)」の状態を3次元(立体)の3D画像で詳細に捉えることができます。

これにより、目に見えない歯の根っこの先の病巣(根尖性歯周炎)の広がりや親知らずの立体的な傾きだけでなく、非歯原性歯痛の原因となる上顎洞炎(副鼻腔炎)の有無なども客観的に確認することができ、誤診のリスクを減らすための精度の高い初期診断に期待できます。

②精密な治療のための設備:マイクロスコープ

診断の結果、「歯の神経の治療(根管治療:こんかんちりょう)」や、詰め物・被せ物の下に隠れた「微小なヒビ(破折)」へのアプローチなど、歯科的な治療が必要だと分かった場合に大きな力を発揮するのが「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」です。

歯の内部にある神経や血管が通る管(根管:こんかん)は、非常に細く暗いうえに複雑に枝分かれしています。
そこでマイクロスコープを使用することで、患部を肉眼の数十倍にまで拡大し、明るい光で照らしながら客観的に確認して治療を行うことが可能になります。

複雑な構造の奥までしっかりと目で捉えながら処置できるため、細菌の取り残しを防ぎ、再発リスクを抑えた精密な治療が期待できます。

特に、歯の詰め物や被せ物の下の虫歯など、一見「虫歯じゃない」と思えるようなケースで有効です。
マイクロスコープは歯の補綴物の適合性を上げることに貢献し、隙間から細菌が入り込み再び虫歯となるリスクを極力防くことが期待できるからです。

まとめ:痛みが落ち着いても放置せず、早めに歯科医院を受診する

夜に歯が痛くなった際は、痛み止めや冷却などの応急処置で翌日をしのぐことが第一です。

しかし、痛みが一時的に治まったとしても、それは根本的な原因が解決したわけではありません。
虫歯や歯周病、見えない歯のヒビなどは、放置すればするほど進行し、最終的には抜歯となるおそれがあるからです。

体からのSOSのサインを見逃さず、翌朝になったらできるだけ早めにかかりつけの歯科医院を受診し、適切な検査と治療を受けましょう。


出典・参考資料

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたコラムであり、特定の治療や効果を保証するものではありません。また、医師による監修記事ではありません。具体的な症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

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