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食事をしている時、あくびをした時などに顎から「カクカク」、「ガクッ」など音がしたことはありませんか?
これらの音はクリック音と呼ばれ、顎の関節がずれる時に鳴る音で、顎関節症の症状のひとつです。
しかし、顎が正常であっても音がするため、必ずしもクリック音があるからといって顎関節症というわけではありません。
注意したい症状は、音と一緒に「顎の痛み」、「口の開けづらさ」を感じている場合です。
今回は、なぜ顎から音がなるのか、顎関節症の症状も含めてご紹介します。
目次
-どうして顎から音が鳴るのか
-顎が鳴るのは顎関節症の可能性がある
-顎関節症になってしまう原因
-顎関節症になってしまったらどうすれば良いのか
-まとめ
どうして顎から音が鳴るのか
普段は聞き慣れていない顎からの音は不安になります。
耳に響くような「ガクッ」と何かが外れたような音や、「カクカク」と噛むたびに音が鳴るなど症状はさまざまです。
音の原因は、顎の関節にある関節円板と呼ばれるクッションがずれるためです。
顎が、ずれた関節円板に引っかかり、乗り越えた時に「ガクッ」と大きな音が鳴ります。
手の指やひざが「ポキポキ」鳴るのと同じようなもので、顎の骨が正常でも音は鳴ることがあります。
どうして関節円板がずれてしまうのかというと、普段の噛み癖により顎をずらしていることが原因のひとつです。
噛み合わせのずれが生じると、食べ物を噛むために、顎をずらして噛みやすい位置にするため、顎の筋肉などに負担がかかります。
すると、癖により下顎がずれたりねじれてしまい、正しい位置にいることができなくなった関節円板が、顎の前に押し出されてしまうのです。
このように、顎に負担がかかると関節円板がずれて、音が鳴るという症状として現れます。
顎が鳴るのは顎関節症の可能性がある
顎は耳に近いため、小さな音でも聞こえてきて不安になります。
しかし、音がするだけでは問題ない場合が多いです。
顎の音がするから顎関節症と決めつけず、冷静にどのようなケースがあるのか確認していきましょう。
①顎関節症のリスクが高い顎の音
- ・ガクガク
- ・ガクッ
- ・カックン
- ・ジャリジャリ
- ・バキバキ
- ・バキッ
すぐに音も気にならなくなり、普段通りに過ごせる場合もありますが、一時的に関節円板が元に戻っただけの可能性もあります。
繰り返すことがある場合は注意しましょう。
②音と共に痛みを生じる
音と共に、顎に圧迫するような痛み、顎の片方もしくは両側に痛みがある場合は、顎関節症の可能性が高いです。
また、症状が悪化すると首や肩にも痛みが広がる、頭痛や耳の激しい痛みなどを引き起こすこともあります。
③顎が開けにくい
顎の骨と関節円板の引っかかりが強くなり、音が大きくなっていく場合は要注意です。
関節円板が顎の骨の上に乗ることができなくなって、顎がロックされた状態になり、口を大きく開けられなくなります。
顎関節症になってしまう原因
①ストレスによる歯ぎしり
ストレスを抱えていると、寝ている間に歯ぎしりをしてしまい、顎に過度な負担がかかって顎関節症を引き起こします。
無意識に行っているため、想像以上に強い力がかかり、顎だけでなく歯や歯ぐき、筋肉、靭帯にも大きなダメージを与えてしまいます。
起床時に顎が疲れている、お口が開けにくい場合は、歯ぎしりをしている可能性が高いです。
②集中時間にしてしまう食いしばり
デスクワークや緊張する行事などで集中や緊張をすると、食いしばりをしてしまうことが多いです。
③生活習慣
頬杖やうつ伏せで寝るなど、普段の生活習慣が積み重なり、顎に徐々に負担を与えてしまう場合があります。
また、猫背の方は頭が前方に傾いて下顎が奥に入り、ずれやねじれを引き起こしやすくなります。
④噛み合わせのずれ
合わない入れ歯をしていたり、詰めものや被せものをしていることで、噛み合わせのバランスが崩れることがあります。
噛みやすい位置に顎をずらして噛む癖ができて、片側の顎に負担がかかり、顎関節症を引き起こします。
⑤顎関節周辺の打撲や打ち身
ボクシングやトレーニングにより、顎の付近に衝撃を受けた際に、口が開かなくなることがあります。
他にも転倒や交通事故により顎を打撲することで、顎関節症を引き起こすこともあります。
⑥顎の酷使
大きく口を開け過ぎた、硬い物を噛んだなどの拍子に顎が外れたり、顎に大きな負担がかかって顎関節症を引き起こすことがあります。
⑦片側で噛む癖がある
虫歯などが原因で、片側でばかり噛む癖があると、顎に徐々に負担がかかります。
ある日突然、顎が開かなくなってしまうこともあります。
顎関節症になってしまったらどうすれば良いのか
顎の音や痛みがある場合は顎関節症が疑われるため、まずは安静に過ごしましょう。
①やわらかい食事
症状が落ち着くまでは、おかゆ、うどん、卵、ヨーグルトなどやわらかい食べ物に変更しましょう。
②リラックスする時間を作る
意識的にリラックスする時間を作りましょう。
集中して仕事をする場合には、タイマーを使用するなど時間に区切りをつけて、「上下の歯が離れている」、「顎の力を抜く」、「目を閉じて深呼吸する」ことを意識しましょう。
③大きな口を開かない
口が開けないからと無理をして開けようとしないようにしましょう。
大きな口であくびをしたり、一口サイズが大きくなる物を食べないようにしましょう。
④顎を温める
痛みが長く続いている慢性の場合は、温湿布を顎に貼ったり、温めたタオルを顎にあてましょう。
顎の筋肉のマッサージも、血行をよくするため効果的です。
⑤マウスピースをする
一時的に自分で対処するのはよいですが、自己判断するのは顎関節症による痛みや症状が長引く可能性が高いので、早めに歯科医院を受診しましょう。
歯科医院では、顎関節症の改善のためにマウスピースを製作することが可能です。
他にも、入れ歯や詰めもの、被せものの噛み合わせを調整して、顎関節症の症状の経過を見ていきます。
まとめ
顎から音が鳴るのは、顎が正常でも起こります。
ただし、1週間しても症状が改善しない痛みや、口の開けづらさも同時に感じるようであれば注意が必要なので、自己判断せず、早めに歯科医院を受診する方がよいでしょう。
顎関節症は、命に関わるような病気ではありませんが、放置すると悪化して日常生活に支障がでてしまい、手術をしなくてはならない症状になることもあります。
少しでも気になることがあれば、歯科医院で相談してみましょう。
この記事の執筆監修者
阿部 顕 先生
■経歴
日本歯科大学 生命歯学部 卒業
日本歯科大学 研修医
埼玉県の開業医にて勤務
■所属学会