編集部コラム | 歯石を自分で取る場合のリスクと注意点

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毎日歯を磨いているのにも関わらず、「歯に歯石が溜まってきた」、「歯石が目立って気になる」などの悩みがある方がいらっしゃるかもしれません。

気になるあまり、つまようじや爪などで、自分で歯石を削り取ろうとした経験はないでしょうか?

しかし、自己流で歯石を取ろうとするのは危険な行為です。

今回は歯石ができる仕組みや、除去する方法をご紹介します。

歯石を予防する対策も合わせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

目次

歯石とは?できてしまう仕組み
放置せず定期的に除去を
歯石を自分で取る方法と注意すべきリスク
歯石を予防する方法
まとめ

 

歯石とは?できてしまう仕組み

 

歯の模型と歯石を取るためのスケーラー歯石は、歯に強固に付着している細菌の住みかです。
 
歯垢(プラーク)という細菌の塊が、歯ブラシで除去しきれずに2日程度放置されてしまうと、石のように固まって歯石になります。
 
はじめから、歯ブラシでも落とせない硬い歯石が付くわけではありません。

食事の後のセルフケアを怠ってしまったり、適切な清掃ができていないと、食べかすは歯に取り残されます。

すると、食べかすに細菌が付着、増殖して「歯垢」になります。

さらに、歯垢を落とせていない時間が長くなると、唾液中に含まれるミネラル成分により、徐々に歯垢が固められてしまうのです。

この現象は、唾液の働きのひとつである「再石灰化の促進」という仕組みに歯垢が巻き込まれて起こります。

再石灰化は、初期の虫歯を元に戻そうとする働きです。

虫歯菌は、食べかすなどに含まれる「糖」をエサにして、分解するときに「酸」を生成します。

すると、酸により歯の表面のミネラル成分(リンやカルシウム)が溶けだしてしまい、やがて虫歯が進行していきます。

これを食い止める働きをするのが、再石灰化なのです。

唾液の歯を守る働きにより歯垢がかためられた結果、歯石が出来てしまうのです。

 

放置せず定期的に除去を

 

細菌のイメージ画像歯石は、舌で触ると表面がザラザラしています。
 
このザラザラした部分には歯垢が付着しやすく、悪循環の原因になるため、早めに歯科医院で除去してもらう方がよいです。

放置しておくとどんなリスクがあるのかを、詳しく見ていきましょう。

 

①歯周病リスクが高くなる

歯垢や歯石が蓄積する環境では、細菌も増殖していきます。

細菌の感染により歯周病になってしまうと、歯ぐきの炎症や出血を引き起こし、歯を支えている骨が溶かされるとグラグラと動くようになり、最悪の場合は歯を抜かなければならなくなってしまいます。

 

②口臭

歯石が溜まって歯ぐきに炎症が起こったり、汚れがさらに蓄積したりすると、細菌が増えて口臭の原因になります。

歯周病になってしまうと特有のガスが発生し、口臭はさらに強くなってしまいます。

 

③虫歯などのトラブル

歯石が歯の表面や歯ぐきの内部まで覆うように付着していると、虫歯になっていても気が付きにくく、進行を許してしまいます。

また、歯石があることで歯ぐきが下がると、象牙質がむき出しになり、知覚過敏の原因になる場合もあるため、早めに除去しておきましょう。

 

④被せものやインプラントに悪影響

クラウンやブリッジ、インプラントなどの人工歯を入れる際、その歯や隣接する部分に歯石があると、後でトラブルを引き起こす可能性があります。

せっかく装着してもすぐに取れてしまったり、歯ぐきが腫れたり、抜け落ちてしまう原因になりかねません。

 

歯石を自分で取る方法と注意すべきリスク

 

洗面台歯石が気になって自己流で取りたくなる気持ちは分かります。
 
歯石を取る道具(スケーラー)はネットなどで簡単に購入することが可能で、歯石を取ることができるかもしれません。

しかし、無理に歯石をとる行為は危険なため、なるべくプロによる歯石除去の施術を受けることをおすすめします。

 

歯石を取る方法

歯石を取るには、まずスケーラーを消毒しましょう。

アルコールや煮沸消毒を行い、二次感染リスクを防ぎます。

必ず鏡を使用して、作業している部分を見ながら行いましょう。

スケーラーは3本の指で持ち、1本の指は歯に置いて、固定源として操作します。

一度歯石を取ったら、スケーラーを拭き取ってから、再度歯石を除去していきましょう。

すべて取り終えたらスケーラーは煮沸消毒をし、乾燥させてから保管します。

 

自分で行うリスク

自己流で取り除くことになるため、決して無理に歯石を取ろうとしないでください。

また、歯ぐきの内部にある縁下歯石という黒っぽい歯石は、歯ぐきを傷つける危険が高く、技術も必要となるため取らない方が無難です。

リスクがあることを踏まえた上で、誤って歯ぐきをスケーラーで刺したり、力を入れすぎて歯にダメージを与えたりしないように、細心の注意を払いましょう。

通常、歯石除去は、知識や技術を学んで国家資格を取得した歯科医師や歯科衛生士が行う、プロフェッショナルケアです。

時間がないなどの都合で、歯科医院になかなか行けない方もいるかもしれませんが、誤って口の中を怪我をするよりは、最初から歯科医院で歯石を取り除いてもらうのが良いでしょう。

 

歯石を予防する方法

 

歯石は「適切なセルフケア」と「定期検診」で予防できます。

まずは歯科医院でクリーニングを受けて、きれいに取り除いてもらいましょう。

磨き残しの癖がある場合には、ブラッシング方法を指導してもらえます。

歯石が多い原因はブラッシング不良による場合が多いため、適切なブラッシング方法を身に着けましょう。

ポイントは、「力を入れすぎない」、「歯と歯ぐきの間や、歯と歯の間を磨くことを意識する」、「フロスや歯間ブラシなどの清掃補助用具を使用する」ことです。

歯ブラシだけでの清掃では、歯垢は約6割程度しか落とせません。

フロスなどの清掃補助用具をプラスするだけで、歯垢除去率は8割になると言われています。

丁寧にセルフケアをしていてもどうしても取り除けない歯垢や歯石は、年に3~4回程度を目安に、歯科医院のクリーニングで定期的に取り除いてもらうのがよいでしょう。

 

まとめ

 

歯石を自分で取ることは確かに可能ですが、リスクを考えると歯科医院で除去してもらった方が安心です。

また、歯石の再付着を予防するためには、セルフケアを改善することと、定期検診に通うことが大切になります。

無理に自分で歯石を触らず、プロに任せてお口の健康を守りましょう。

 

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