編集部コラム | 初期虫歯の治療法と黒い点ができてしまう原因

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歯科医院に「歯が黒くなっているが、そのままにしておいて良いのか」と訪れる方がいらっしゃいます。

虫歯といえば歯に穴が空いているイメージですが、穴が空いていなくても、黒い点のようなものがある場合は、虫歯の場合があります。

今回の記事では、歯に黒ずみや黒い点が出来る原因やその理由、初期虫歯の特徴や治療方法についてお伝えしていきます。

 

目次

歯に黒ずみや黒い点が出来る原因とは
虫歯が黒くなる理由とは
歯茎の黒ずみを抑えるための予防法とは
まとめ

 

歯に黒ずみや黒い点が出来る原因とは

 

歯に黒ずみや黒い点が出来る原因にはどのようなものがあるのでしょうか。

それぞれ、見た目の特徴や治療方法についても見ていきましょう。

 

【虫歯】

虫歯のイラストに虫眼鏡を重ねる歯科医師の手虫歯になると歯が黒くなります。
 
歯の溝や歯と歯の間など、汚れが付きやすい部分が黒くなっている場合、虫歯の可能性があります。

黒い部分全て治療の必要があるというわけではなく、レントゲン検査を行い進行性のものと判断した場合、治療を行います。

虫歯になった部分は、自然に治ることはないので削り取る必要があります。

削り取った部分の大きさによって、白い詰め物をしたり、金属で補修したりします。

虫歯をそのままにしておくと、神経に近づき冷たいものが染みたり、痛みが出たりするので、痛みのない初期のうちに治療することが大切です。

 

【黒い歯石】

歯についた汚れが固くなり、歯ブラシなどでは落ちなくなったものを歯石といいます。

歯の表面についた歯石は白いのですが、歯と歯茎のあいだの溝(歯周ポケット)深くについた歯石は、血液の成分も交じるため黒い歯石になります。

歯の根元に黒いものが付着している場合、歯石のことが多いです。

進行性のものではないので、そのままにしておいて痛みが出ることはありませんが、歯石は歯周病の要因になりますので、歯科医院で除去する必要があります。

また、歯石がつく場合は、ブラッシングがうまく出来ていない可能性が高いので、歯ブラシの仕方に気をつけましょう。

 

【神経のない歯】

神経のない歯、もしくは何らかの原因で神経が死んでしまっている歯は、黒くなります。

歯の一部分ではなく、歯全体が黒ずんで見えるのが特徴です。

神経を取る治療をして黒くなっている場合は、痛みなどがでる心配はありません。治療を行っていない場合は、そのままにしておくと痛みが出る場合があるので治療の必要があります。

黒くなっている歯を改善したい場合は、歯の周りを削って上から被せものをする、もしくは、歯の内部に漂白剤を入れるウォーキングブリーチ(前歯のみ)を行うことで見た目の回復を行います。

 

【虫歯以外の歯の着色】

コーヒーやタバコなどの着色が歯につくとその部分が黒くなります。

前歯の表面や裏側に薄く黒い着色がある場合は、虫歯以外の着色です。

病気ではないので治療の必要はありませんが、見た目が気になる場合は、歯科医院で歯面清掃を行って貰うときれいになります。

 

虫歯が黒くなる理由とは

 
なぜ虫歯になると歯が黒くなるのでしょうか。

虫歯で歯が黒くなる理由とは、また黒くなければ虫歯ではないのか、も気になることかと思います。

 

【虫歯で歯が黒くなる理由とは】

虫歯が黒くなる理由は2つあり、1つ目は歯が修復される際のもの、もう1つは虫歯が進行する際のものです。

食事をする際に歯は表面のエナメル質が溶けます。溶けたエナメル質は唾液の成分によって修復されるのですが、その際に黒い着色を拾って修復してしまうことがあり、結果歯が黒くなります。この着色は、硬く安定しているので削って治療する必要はありません。

一方、虫歯が進行する過程で、歯に含まれるタンパク質が虫歯の細菌によって分解されて黒くなります。ゆっくりと進行する虫歯によく見られる現象ですが、放置しておくと大きくなってしまうので治療の必要があります。

2つのうちどちらの理由で黒くなっているのか、見ただけで判断するのは難しいので、歯科医院でレントゲンを取って診断する方が良いでしょう。

 

【黒くなければ虫歯ではない?】

虫歯で黒くなる理由についてお伝えしましたが、黒くなくても虫歯になっている場合はあります。

ゆっくりと虫歯が進む場合は黒く変色するのですが、急速に虫歯が進む場合は黒くなる前に歯がどんどん溶けていってしまいます。

子供の歯や、生え変わったばかりの大人の歯は、歯の質が柔らかいので、虫歯が急速に進んでしまいます。黒くないから大丈夫と思って放置しておくと神経にまで進行してしまうので、歯の表面が溶けている、穴があいている、といった場合は早めに歯科医院に行きましょう。

 

初期虫歯の特徴と治療方法

 
虫歯は初期のうちに対処することが必要です。
 
初期虫歯にはどのような特徴があるのか、またどのような治療方法があるのでしょうか。

【初期虫歯の特徴】

初期の虫歯は、歯の表面が白く変色したり、濁ったような見た目に変化します。

若い人ですと冷たいものが染みたりすることはありますが、ほとんどの場合は痛みなどの自覚症状はありません。

 

【治療方法】

レントゲンやレーザーで歯の内部を探るダイアグノデントという機器で、虫歯が内部まで進行しているかどうかの検査をします。表面だけであれば歯ブラシ等の指導を行い、経過観察をします。

唾液には、溶けた歯を修復する機能があるので表面だけの虫歯であれば進行することはありません。

検査の結果、歯の内部にまで進行している虫歯であれば治療を行います。

初期の虫歯であれば、麻酔をせずに削って白い詰め物をする、簡単な治療ですむことがほとんどです。

 

まとめ

 

歯が黒くなる原因や、初期の虫歯についてお伝えしてきました。

歯の黒ずみや黒い点は、虫歯なのか歯石なのか、また、治療が必要かどうか、など個人で判断するのは難しいです。

適切な診断と処置が必要なので、歯科医院で診てもらうようにしましょう。

 

※虫歯治療が気になる方は、こちらの記事もお読みください

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この記事の執筆監修者

 
阿部 顕阿部 顕 先生

■経歴

日本歯科大学 生命歯学部 卒業

日本歯科大学 研修医

埼玉県の開業医にて勤務

■所属学会

日本歯周病学会

日本歯内療法学会

日本顎咬合学会

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