編集部コラム | 歯石取りが痛い原因と、痛みを抑える対処法

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目次

歯石取りはなぜ必要なのか
どうして痛みを感じるのか
歯石取りで感じる痛みを抑えるためには
歯石を取った後も注意。気をつけたいポイント
放置するとどうなるか
まとめ

 

歯石取りはなぜ必要なのか

 

歯石取りをする歯科衛生士と女性患者歯石とは、プラーク(歯垢)に唾液中のミネラルが混ざって石のように硬くなったものです。
 
歯石自体に毒素はないのですが、表面が軽石のようにデコボコとしており、汚れがつきやすく、さらにプラークが溜まってしまいます。
 

そのため、プラークのなかには多くの虫歯菌や歯周病菌が潜んでいますので、歯石が多いと歯周病や虫歯になるリスクが高く、また口臭にも繋がってしまいます。

歯石は一度できてしまうと、ご自身の歯磨きでは落とすことができません。

そのため、歯科医院で専用の器具を使い除去してもらう必要があります。

歯石取りは、基本的に3ヶ月~6ヶ月に1回のペースで除去してもらうのがおすすめです。

毎日どんなに丁寧に歯を磨いていても歯石は少なからずできてしまうものです。

どんな方も定期的に歯科医院に通い、クリーニングをしてもらいましょう。

 

どうして痛みを感じるのか

 

人によっては、歯石取りクリーニングで痛みを感じたことがあり苦手意識がある方もいるかもしれません。

基本的に健康な人の歯茎は、歯石取りの際に痛みを感じることはほとんどありません。

では、どうして歯石取りの際に痛みを感じてしまうのでしょうか?

 

・たくさん歯石が付いている

歯に歯石がついてしまうイメージ画像歯石は放置していると、どんどん硬く取りにくくなっていきます。
 
また量も増えていきますので、クリーニングの際には機械のパワーを強くして取る必要があります。

パワーが強くなるほど力が強くなるために、痛みを伴うことがあります。

歯石が少なく柔らかいほど取る際の力も小さくて済みますので、痛みを感じにくいです。

 

・歯茎が炎症を起こしている

歯石やプラークが溜まっていると、そこに溜まった細菌が毒素を放ち歯茎が炎症を起こしていきます。

これを「歯肉炎」と呼びますが、歯肉炎を起こしていると歯茎はとても敏感な状態になり、少しの刺激でも痛みを感じやすくなります。

クリーニングをすると歯肉炎も改善されていきます。

 

・歯茎が下がってしまっている

歯の模型を拡大した画像何らかの理由で歯茎が下がっていると、エナメル質に覆われていない歯根が露出して「知覚過敏」を起こしやすくなってしまいます。
 
歯根部分に清掃器具が当たり、歯がしみるような痛みを感じることがあるかもしれません。

また、付いていた歯石がクリーニングによって除去されると、今まで歯石で覆われていた歯根が露出し、知覚過敏になってしまうこともあります。

特に歯石取りの処置後は痛みやしみを感じやすくなるため、注意が必要です。

 

歯石取りで感じる痛みを抑えるためには

 

先ほど説明した理由で歯石取りの際に痛みを感じることがあるかもしれません。

そこで、なるべく痛みのないクリーニングにするためにも、ご自身でできる対処法をお伝えします。

まずは、歯石取りの処置前にできることとして、毎日の歯磨きをしっかりと行い、歯茎に炎症を起こさないことです。

前日だけしっかりと歯磨きをしていても歯茎の炎症は無くならないので、もっと前から丁寧な歯磨きを意識しましょう。

現在、歯茎に炎症が起きてしまっている人は、毛先の細く柔らかい歯ブラシを使って歯茎と歯の境目を丁寧に磨いてあげるようにしましょう。

しっかりブラッシングを行っていると炎症や出血は収まり、歯茎が引き締まってきます。

歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやフロスなどの清掃補助具を使用するのもおすすめです。

もし歯石取りの処置中に強い痛みを感じるようであれば、遠慮なく伝えましょう。

機械のパワーを下げたり、手動の器具へと変更したり、麻酔を使用したりするなど対処することができます。

 

歯石を取った後も注意。気をつけたいポイント

 

歯石取りの処置後は歯茎が敏感になっている状態で、人によっては歯石を取ったことで歯根が露出し知覚過敏を起こしやすくなっているかもしれません。

冷たい飲み物や食べ物は避けるようにして、歯磨きの際には知覚過敏用の歯磨き粉と柔らかい歯ブラシを使用して優しく丁寧に磨くようにしましょう。

歯石取りの後の痛みやしみは数日で治ってくることがほとんどです。

もし強い痛みが長時間続くようであれば、歯科医師に相談しましょう。

 

放置するとどうなるか

 

歯石が付いていても「特に痛みも感じないし…」と放置してしまう方がいます。

歯石を放置してしまうと、歯石を土台にして溜まったプラークの中で細菌がどんどん繁殖し、毒素を出しながら歯茎や歯を支えている骨に悪影響を及ぼしていきます。

最初は歯茎が赤く腫れ、出血を起こす「歯肉炎」になり、進行していくと歯を支えている骨を溶かしていく「歯周病」へと変わっていきます。重度の歯周病になってしまうと、どんなに歯自体が健康でもグラグラになって抜けてしまいます。

また、一度失ってしまった骨は元に戻ることはありません。

歯周病を起こさないためにも、定期的な歯石取りは重要です。

何より、歯石が溜まってくると見た目にも不衛生で、口臭を起こしやすくなり他人に不快感を与えてしまいます。

ご自身の丁寧な歯磨きと定期的なクリーニングで、清潔で健康なお口をキープしましょう。

 

まとめ

 

今回は、歯石取りの痛みについてお話ししました。

歯石取りに痛みを感じる原因としてはいくつかありますが、多いケースが、硬い歯石がたくさん付いていることによって清掃器具のパワーを強くしないといけないこと、そして歯茎に炎症起きていること、歯茎が下がって知覚過敏を起こしてしまっていることです。

そのため、普段から丁寧な歯磨きを心がけて歯石をつけないようにし、歯茎を健康に保っておきましょう。

また、知覚過敏を起こしている人は専用の歯磨き粉を使うのがおすすめです。

歯石取りで痛みを感じないようになるとクリーニングも積極的に通えるようになってきます。

 

この記事の執筆監修者

 
阿部 顕阿部 顕 先生

■経歴

日本歯科大学 生命歯学部 卒業

日本歯科大学 研修医

埼玉県の開業医にて勤務

■所属学会

日本歯周病学会

日本歯内療法学会

日本顎咬合学会

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